163/259
Ⅸ-ii 白の王さま (8月9日~8月12日) 3. クイーンとルークと仲間たち 6
生穂が十時過ぎに帰宅した。帰りの荷を解いた生穂は、真の部屋へ行った。
「お姉ちゃん、今日はありがとう」
生穂は真に礼を言った。その顔は、昨日のように暗くはなかった。真は、生穂が楽になったようなを見て、ほっとした。
「明日は佐々木燎って人の顔を見てくるよ。福祉家政学科四年生の甲府凛さんが杜田先生に相談したと連絡が来れば、私とあさぎさんとで本人に通告しに行くよ。それができたら、もうメッセージは来ないと思うよ。大丈夫、生穂?」
生穂は頷いた。その顔に憂いが少し残っていた。
「うん、大丈夫」
灰色猫ガンダルヴァが生穂に寄り添った。
「いろんな人にお世話になったようだから、お姉ちゃんから私に代わってお礼を言ってくれる?」
「わかったよ、生穂」
真は請け負い、生穂はかすかに笑んだ。