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Ⅸ ミドルゲーム 2. 独りのアリス㊦ 3
翌日二十一日朝、プロミーとロッドは教会へ行った後、町で旅道具を揃え、昼に旅立つことにした。白の王道から赤の王都への道まで来た時、ロッドが一言告げた。
「私はここで王城に引き返そうと思う、プロミー」
「ロッド様……」
プロミーは別れを惜しむように、ロッドを見つめた。ロッドは微笑んで返した。アメジスト色の瞳がプロミーの悲しみを優しく受け入れた。
「また……、会えますか……?」
プロミーは自分の言葉が無理を言っていることを承知で呟くように言った。ロッドは答えず、プロミーの心を受け取るのみだった。
「良い旅を祈っている」
最後に明るい表情でそういうと、ロッドは馬を翻し白の王都へ向けて出発した。プロミーはロッドを見送り、姿が見えなくなってもしばらく立ち尽くしていた。小鹿が心配そうに黒い大きな瞳でプロミーを見上げた。プロミーは小鹿に応えてその背に乗り、旅を出発した。