Ⅸ ミドルゲーム 2. 独りのアリス㊥ 1
翌日の朝、プロミーとロッドは、食事を済ませるとメルローズとガーネットと共に教会へ行った。ロッドの愛馬とプロミーの小鹿は宿に休ませておいた。教会ではすでにブリックリヒト、ピコット、フローが待っていた。一行は僧侶から暁鐘の知らせを受け取ると、教会を出て、遺跡へ向けて出発した。
旅の道は霧がかった森の中であった。朝が過ぎても霧は消えることは無く、ドリアードが現れそうな、古い大木が生い茂っていた。
「ここからでも魔力が届いているね」
杖を持ったブリックリヒトが歩きながらロッドに言った。
「この森自体魔力が高いから、隠れて眠るにはいい場所みたいだね」
一行は森の中で昼食を摂り、昼過ぎに遺跡に到着した。森の中にあるその土でできた広い建物は、壁は木の蔦に覆われ、まるで森に守られているような様子だった。魔力を持たないロッドでも、魔術で守られていることが分かった。一行は入口を二つ互いに確認すると、コインでどちらから行くかを決めた。そして取決めが終わった時、メルローズは遺跡の前で宣誓した。
「古の魔術師が創りしゲームにて我らは誓う
タージェル遺跡のクエストで白の者と試合をする。
先に王の部屋を見付けた方が勝ちとする。
試合は赤四人対白三人で、クロスを賭けるのは二人対二人とする
赤のナイト メルローズ クイーン フロー
白のナイト ロッド ルーク ブリックリヒト」
対するロッドも文言を唱えた。
「我ら同じく赤の者と戦うことを誓う」
クロスを賭けた者達のクロスが淡く光った。光が止むと、フローが開始の言葉を放った。
「それじゃ、始めようか~!」
その言葉とともに、紅白は分かれてそれぞれの遺跡の入り口へと向かった。