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The Chess  作者: 今日のジャム
Ⅸ ミドルゲーム
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Ⅸ ミドルゲーム 2. 独りのアリス㊤ 3

 ロッドとプロミーは最初に地図屋へ行った。プロミーは地図屋に入るのは初めてであった。店の中では大きな地図、箱入りの地図の棚、カウンターのショーケースに並ぶ最新式の地図が所狭しと並んでいた。店の中は古い地図の匂いがした。


 ロッドは店に入ると、慣れたように店主に問うた。


「これからクエストに行こうと思う。この町の隣にあるタージェル遺跡の異空間魔術の迷宮を表した古地図は今あるだろうか?」


 店主は鼻眼鏡を持ち上げて、ゆっくりと答えた。


「はい、ございますよ。この地図はうちの一番の目玉商品ですからねぇ」


 店主はカウンターの奥から一つの小箱を持ってきて、中身を取り出した。紙の地図だった。しかしそこに描かれた図面の線はうっすらと白く光っていた。ロッドは図面の一ヶ所を見付けて指を置いた。その場所は、地図上の遺跡の入り口であった。すると、地図の上の空間に迷路のような壁の映像が浮かび上がった。指を地図上の道に沿ってなぞると、映像は立体的に迷路の道を進んで行った。


「これは、冒険者達が持ち帰った情報を地図にしたものだよ。タージェル遺跡は広いからねぇ。だからまだ誰も辿り着いてない所のことは載ってないよ」


「店主よ、ありがとう。何かタージェル遺跡で話に聞いていることはないか?」


 ロッドは地図を受け取り代金を払うと、店主に尋ねた。


「ううん、そうだねぇ。遺跡の探索をした冒険者たちは何も見ぬまま帰ってくる人ばかりでねぇ。でも伝説によれば、遺跡で眠る古代の王にはアルストロメリアの花を一輪捧げるよう言われているから、皆が準備していくね」


 ロッドはささやかな助言に感謝を言い、プロミーと店を後にした。


「この地図を持っていてくれないか、プロミー」


 ロッドは地図をプロミーに手渡した。


「私とブリックリヒトは戦闘に備えて歩くから、プロミーは移動中この地図でどこを歩いているか確認して欲しい」


「はい、分かりました」


 プロミーは頷くと地図を鞄にしまった。


 その次に行ったのは道具屋だった。そこでアルストロメリアが置いてあったので花を購入した。他に傷薬などの常備薬や、象蜂の蜂蜜の体力回復ドリンクなど補充する物を買い、旅の支度を整えた。


 市場では干し肉やパンを数日分買い揃え、日が傾きかけた頃、二人は教会へ行った。


 教会では初老の僧侶が二人を出迎えた。町の人はまだ来ていなかった。


「ようこそ、騎士ロッドとプロミーさん。明日のクエストまで、ゆっくり町で足を休めて下さい。


 それではチェスのお話をします。八月十七日。チェス第十七日目。赤の王都にいたポーンの暗殺者ジャスミン・ルフェが王城を出発しました。あと、白の闇のビショップマーブルが聖堂の町ニストへと大鳩で訪いました。以上です」


「ありがとう」


 礼を言うと、ロッドとプロミーは教会を後にした。


 その後二人は宿屋へ戻り、旅の荷を解き足を休めた。そして夕食時になると酒場へ行った。


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