ツンデレ?ヤンデレ?
最初に牽制してきた、ノアイユ様はやはり暫くは警戒オーラ満載だった。でも私はそんな事気にしない、商品を完成させる方が大切。なので気にせず手は触りますが粉々にされたら嫌なので絶対に握りません。
ノアイユ様は学生とはいえ指折りの魔力の持ち主だった。魔石をそのまま指に乗せてネイルして使ってみたり、両手だったり片手だったり、魔石を砕いて前世で言うラメのように使ってみたり、量の調節をしてみたりと、週1回の実験なのだが気がつけば1年が経とうとしていた。
「うん…大体量と使い方はこれくらいで安定しそうですね。あとは実際に実戦でどこまでの耐久性があるかだな」
ぶつぶつと言いながら私はノートに結果を纏める。
1年も経つとノアイユ様の警戒オーラも大分やわらかくなってきたもので
「ミラ、もうこれで商品化になりそうなのか?」
なぜか私のことを"ミラ"と呼び捨てにされるようにもなった。
「いえ、まだです。今は私が爪に塗っておりますが、実際に実戦に出たときにはご自身で塗っていただかなければなりません。なのでより使いやすく邪魔にならないようなタイプで使用できるように煮詰めていきます。あとはノアイユ様は魔力量も高いし扱いも上手なので今の感じでいいと思うのですが、魔力量が少なく扱いも上手でない方のデータも取っておきたくて…。騎士学校にどなたか適任の男性はいらっしゃるでしょうか?いれば是非ご紹介していただきたいのですが」
と、私はにこやかに話す。
ん?ノアイユ様の様子がおかしいぞ?さっきまで和やかだった空気が一変してどんよりとした空気になった気がする…
ボソッと「…男だと…?ミラに男を紹介するのか…?」
んんん?なに???
なにも婚約者探ししてるわけじゃなくてただのデータが欲しいんだけど私は!なんでそんな不穏な空気を纏うのさ!ひーん(泣)
「ああああ、あの、ノアイユ様?「アクセルでいい」あ、アクセル様。騎士学校にいらっしゃるのは男性だけですよね「女もいる」あの、でしたら先程の条件に合う方でしたらどちらでも構わないので連れてきていただけないでしょうか?」
「…よし!女でいいのなら適任のやつがいる、今度一緒に連れてこよう!」
パァっと明るい笑顔を見せるアクセル様。
なぁーーんか半年たったくらいから妙に懐かれてる気がするような…?しないような?
殺気がでなくなったからいいや、と思って放っておいたらなんか空気が甘くなってるような…いやいや、そうやって女子達は勘違いして落ちるのかもしれないから何も考えない方が楽ね。うん。
と、私はアクセル様を見上げると優しい笑顔で返される。
うん、イケメン。眼福。お腹いっぱいです。合掌。
そして翌週はアクセル様に連れてこられた女性騎士様達のデータも無事に取らしてもらい、いよいよ仕上げに入っていくのであった。
作業過程はサクサクいかせてください