2人の温度差が激しすぎる
「………」
「アクセル君はアシルと同級生でね、今回のことを話したら快く引き受けてくれたんだよ!」
いやいやいや、めっちゃくちゃリュカお兄様笑顔がこわい!連れてきたのアシルお兄様じゃないじゃん!しかもそこに現れたのは、社交界デビューしていない私でも知っている国1番のギガントイケメンと称されるノアイユ侯爵子息がいらっしゃるとかどゆこと?!?!
てかどう見てもお隣にいらっしゃる方からはふざけんじゃねーよオーラがでてますし、どこをみたら快くと取れるのかがわからないですわよ。いったいどんな手を使ったのよリュカお兄様……ホントに魔王にみえてきた。ガクブル
「ミラ、アクセル君は学校が休みの週末1日だけうちに来て協力してくれるから、時間を有意義に使って実験に励んでおくれよ」
とポンと私の肩を叩くと、リュカお兄様はもの凄い笑顔で去って行った。去り際にノアイユ様に何か言ってたみたいだけど、更に不穏な空気を纏ってしまった気がしたんだけど何言ったのよコノヤロウ。
ピリピリオーラ、不満爆発寸前のノアイユ様に駆け寄り挨拶をする。
「申し遅れました、レニエ伯爵家が娘ミラにございます。この度は貴重なお時間をいただきありがとうございます。精一杯がんばりますので…」
と言ったところで手で制される。
「…長ったらしい挨拶とかいらないから。少しでも俺に好意を見せたら即刻中止にするからな。あと俺と2人きりになったとか絶対に口外するなよ…あと絶対に俺の事好きになるなよ。…返事は?」
「あっはっはい」
なんだろう、ここで気が強い御令嬢なら[ピッキーンなに!イケメンのくせにやなつ!ぜったいにすきになんかならないっちゅーの(脳◯そ夫)]とかってなるかもしれないんだろうけど、苦労してきたんだろうなぁって言うのがヒシヒシと伝わってきたから哀れみの視線しか送れない…。こんな平々凡々のぽっちゃり地味子なんてはなから相手にされないなんてわかってるのに、こんな私にも2回も牽制しなきゃならないなんて相当苦労されてるんだろうなぁ…。心中お察しできないけど(なったことないから)大丈夫だよ、安心しておくれ、という生暖かい視線だけ送っておくよ。どこ目線やねん私。
「……っい、おい!聞いてるのか?!」
はっイカンイカン脳内トリップしてた。
「あっすみません、大丈夫です。これからよろしくお願いします。一つだけお願いというかご了承いただきたいことがあるのですが?」
「なんだ」
「これからノアイユ様にご協力していただくのは"ネイル"というものです。これは爪に色を塗るので手を触ることだけご了承していただきたいのです」
「…握ってきたら容赦なく骨まで潰すからな」
しねぇよ。こえーよ。
「神に誓っていたしません」
ギロッと睨まれた。うん、大丈夫大丈夫、まだ信用するに値してないもんね。全然平気。前世のクレーマーより全然理に適ってるから怖くない。
「…今後の説明をしろ」
「畏まりました」
こうして私は今後の説明をし、詳細を話した。
最初ネイルと言うものに馴染みがないため、は?みたいな顔をされたが実際に見せながら説明をし、魔石が1番役に立てるようにしていきたいと、そのために協力してほしいとのことを再度伝えた。
そんなこんなでノアイユ様との週1回の実験が始まったのだった。
前世の記憶はちょいちょい鮮明に思い出します。(すぐ忘れるけど)