アシルの恋の行方
どうもみなさんこんにちは。
レニエ伯爵家次男のアシルです。
リュカ兄さんは早々結婚(しかもこの国の第三王女のカメリア様)
妹のミラはまさかの前世持ち。そしてまさかの侯爵家の嫁。
俺は?そう、1人身……
しかも兄妹2人がとんでもない人と結婚したもんだから俺の所にくる縁談なんて大体兄さんと繋がりを持ちたい家か、アクセルを狙っている御令嬢たちばかり。
俺前世でなんかした?!
っていうくらいまったくまともな縁談にありつけない。
いや、ほらさ?貴族だから政略結婚とかもわかるよ?でも俺は別にこのまま平民でも全然構わないんだよね。それに幸せそうな兄と妹見てると、俺だって恋愛結婚してぇーもん……。
と、言うわけで今日はそんな俺の話聞いてくれる?
◇◇◇
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「アシルどしたの?」
職場の机の上に突っ伏し、俺は可愛い可愛い義弟の前で大きなため息をつく。
「これが溜息我慢できますか」
「なに、また変な女だったん?」
とアクセルはククっと笑う。
「今回のは酷かった。最初から終わりまでずっとお前の話。時々ミラの悪口。反吐が出るかと思った」
と、ミラの悪口と俺の口から出た途端空気が変わる。
「……ちょっとそいつの名前教えて」
おーこわっ。まったくミラの事となるとホントに別人の様になるなコイツは。
「てかアシル結婚したいの?」
「んーー…なんか縁談さ、全部断るのもなぁって。もしかしたらその中に俺のこと本当に良いって思ってくれてる人がいるかもじゃん?今のところ1人もいないけど」
「あー。なるほど。アシル優しいもんなぁ昔っから」
優しいんかね?と鼻で笑う。
優秀な兄と比較されたことは無かった。いつだって"お前にはお前の良さがある"とそう言われてきた。これはホントに周りに感謝だ。じゃなければあんな優秀な人と比べられていたら自己肯定感爆下がりでしょ。
兄は俺に無理難題を押し付けることはあったけど、結果的にどれも素晴らしいことになっている。特に今目の前に居るこの人。あの時毎日辛かったけど、リュカ兄さんが絶対話を纏めてこいって圧が………。
まぁ、結果的にかなり幸せな結末なので良いんだけど。でも俺めっちゃ頑張ったのにみんなからの扱い酷くない?!
「まじでアクセル俺に感謝しろよなぁ〜」
と弱々しく話す。
「アシルには感謝してもしきれないよ。あの時お前が諦めずに話しかけてきてくれたから今の俺がいるんだし」
と、アクセルは眩しいほどの笑顔を見せる。
はぁ、この無自覚人タラシめ。俺でも惚れそうになる笑顔見せやがって。
「あっアシル今日仕事終わりに時間ある?今巷で噂のクッキー屋に寄りたいんだけど」
「いや、それ俺に決定権ないよね?はいはい、行きますよ」
と、まさかこの買い物が俺の今後を左右する出来事になるとはこの時は知る由もなかった。
アシル兄さんのお話です!