ミラの浮気騒動〜前編〜
ミラの機嫌が良い。
うん、それは全然構わない。
なんか引っかかる。胸が……ざわざわというか。
あ、俺アクセル。この度ミラと籍だけ入れ(結婚式はまだ先)侯爵家の領地に家を作り、2人で(侍女や執事達はいるけど)生活を始めた。
ミラはネイルの仕事を続けたいとのことで、俺が日勤の時は朝一緒に伯爵家に行きそこから俺は出勤。夜警の時は前日に伯爵家に行きそこから夜警の間は伯爵家に寝泊まりしている。何故かって?いくら信頼している者たちでも、ミラ1人置いていくのは嫌だったから。その点実家ならまだ安心だ。幼き頃から勤めている人が多いからな。うん、俺は嫉妬深いんだよ、悪いか?
あ、伯爵家の仕事場が1番落ち着くとのことだから毎日伯爵家に行っているんだ。転移魔法でね。楽ちん。
で、話は戻るんだけど、さっき夜警から戻ってきたら部屋でミラが出かけるために服を選んでいた。
たしか、学友のオリヴィエ嬢と出かけると。勿論今までもオリヴィエ嬢と出かけたことはあった。と言うか何なら月1くらいで会っている。ミラが唯一の友達というから全然そこは気にしてない。…多分。
因みに俺はまだ彼女には会っていない。ミラ以外の女はどうでもいいが、ミラの友達なら話は別だ。だが今のところ予定が合わずで会わずじまい。
またまた話が戻るが、いつものオリヴィエ嬢と出かける時と、なんか雰囲気が違う気がするんだよな…。いつもの格好じゃないっていうか…化粧も違う気がするというか……まるで俺と出掛ける時のような雰囲気で。
そう、そうだ。俺と出掛ける時のような甘い感じがするんだ。だからこそ違和感を感じる。
「ミラ?オリヴィエ嬢と出かけるんだよな?」
「へ?そうですよ?どうかしましたか?」
「あ、いやべつに…」
これ以上は何も聞けない。ミラが嘘をついている様にも思えないからだ。でも胸騒ぎがする。なんだろう…。
俺はこの違和感を確かめるため今日はミラを尾行すると決めた。
正直ミラが街に出かける時はミラに内緒で影をつけてある。1人で出かける時は侍女が付き、そして影も。オリヴィエ嬢と会ったりする時は侍女は付けないが、俺がどうしてもと遠くに護衛をつけさせてもらっている。そして勿論影もつく。
今まで影からとミラの報告に相違があったことはない。ミラが俺に話してくれる内容も影からの報告も一緒だと安堵する。ミラを信用していないわけではない、俺が狭量なだけだ。
今日は影の報告なんか待っていられない。この目で確かめたい。
さて、サロンで寛いでいるアシルを無事買収し今日の夜警の押し付け完了。ミラは少し前に出て行ったからこのまま行けば追いつけるだろう。
そしてこの後俺は人生最大の窮地に立たされる事になるということに、今はまだ気が付いてなかったのだ。
誤字脱字報告ありがとうございます。本当に助かります。