私は紛れもなくミラです。
「リュカお兄様!いっいつからそこに…?」
リュカお兄様16歳、レニエ伯爵家の長子。根は優しいんだけど多分腹黒。うん、多分腹黒。だってすでにこちらをみるお顔が獲物を捕らえた蛇のような顔をしてるもの(ガクブル)
「……で、なんの気が重いのかな?」
おっと完全スルーきました!つまり私が発言しないと話が先に進まないってことですね、はい、わかりました!
私は早々白旗をあげ、入り口に立っている兄を部屋へと招き入れる。そして人払いをした後、兄に今までの経緯を話すことにした。
「リュカお兄様、今から私が話すことは信じられないことかもしれません。ですが私はリュカお兄様に嘘はつかないと誓います」
そう言うと私は手を出しリュカお兄様の手に触れる。
そう、この世界は魔法が使えるのだ。そして今から話すことに虚偽がないと言う契約を結ぶ。
一瞬驚いたような顔をしてコチラをみたが気にせず続ける。これがあれば今から話すことに虚偽がないことは証明できるから。
リュカお兄様と契約を結んだ後、私はここ近々で起こった事を話した。熱にうなされて転生したこと、転生前のことは仕事のことしか思い出せないこと、そしてミラの記憶はあるがミラの魂は天に召されたこと、全て洗いざらい話した。
「……以上です」
今思えば私はミラであってミラでない。もしかしたら出て行けって言われるかも…?いや、もしそうなったらそうなっただ。運命を受け入れよう。
うつむく私の頭の上から声が掛かる。
「…そうか。なるほど、だからミラの気配が変わったのか。納得がいくな」
「ミラ…」
顔を上げるのが怖い。スカートを握りしめた手に力が入る。
「例えお前の魂が変わったとしても、私たちにとっては大切な妹に変わりはない。8歳までのミラの魂が天に還ったとしても、ミラ、今君はミラとしてここにいる。それに前世の記憶は仕事のことしかないのだろう?ならば君はほぼミラじゃないか。何も気にすることはない」
ボタボタと涙が溢れ出てくる。あぁ、そうか。ミラの魂は天に還ったと思ったけれども、たしかにミラは私の中にいるんだ。
「おっおに…いさま、わたしはミラでいいのでしょうか?」
「いいも何も君はミラ以外の何者でもないだろう」
そう言ってお兄様は私を優しく抱きしめる。そうだ、私はミラだ。この世界でミラとして生まれ変わったんだ。ならばミラとして、精一杯生きよう。
暫くお兄様の腕の中で泣いた私はいつの間にか眠ってしまっていたらしい。そりゃそうだ、病み上がりの8歳、さすがに気が張りすぎていたのだろう。
そして次に目が覚めたときには何故か家族全員集まったサロンにてリュカお兄様に抱えられてソファの上だった。
なぜ。
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