みんなアクセルが大好き
パチパチ、と目を覚ます。フカフカのお布団…と思ったのも束の間。
「おはよう、ミラ。よく眠れたかい?」
と朝からとっても爽やかなアクセル様と目が合った。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ミラっ落ち着いて!」
お、落ち着いてられますこれ?!だって朝起きたら目の前にアクセル様だよ?てかなんで一緒に寝てるの私たち?!?!
「ミラ、落ち着いてよく聞いてね、昨日のことは覚えているかい?」
そう言われて考えてみる。そうだった。あまりの雷の怖さに気が動転していたけど、私が雷が苦手なのを知ってくれていて、部屋まで来てくれたんだった。
「…取り乱しマシタ。すみません…」
親切に来てくれた人に対してなんて仕打ち。穴があったら入りたい。
「いいんだよ、婚約者なんだし。ミラが安心して眠れただけで僕は嬉しいしさ」
お、おう。なんてイケメン発言。でも昨日はホントに1人だったら泣いて眠れなかったし…
「アクセル様、ありがとうございました。すごく良く眠れました」
と、お礼は述べておいた。
アクセル様は俯き加減で『あぁーちゃんと理性保てて良かったマジで危ない…』などとゴニョゴニョ申していたが。
その後は一旦アクセル様には退室していただき侍女の方に着替えを手伝ってもらう。ホントに仕事が丁寧で早い。さすが侯爵家。
着替えが終わると食堂へと向かう。既に用意のできていたダニエル様とクラリス様に挨拶をしてから席に座る。
はぁ〜朝ご飯楽しみだなぁ。なんて考えていたら、急に乱暴な足音が聞こえてきてバタンとドアが開いた。
「兄様に婚約者が出来たと聞いて慌てて帰ってきました!!兄様の婚約者はどちら様ですか?俺にも会わせてください!」
と、アクセル様とどことなく似ている少年が入ってきた。
「ライアン!場所と時間を弁えろ!」
「だ、だって兄様の婚約だなんて一大事で…」
と、振り向いたライアンと呼ばれた少年とバチッと目が合った。
流れる沈黙。
「に、兄様まさか…まさかと思うけど、このちんちくりんが兄様の婚約者なのかい…?」
「「ライアン!!」」
ダニエル様とクラリス様の声が重なる。
いや、うん、わかる。そうだよね、こんなちんちくりんが婚約者とか不思議だよね。わかるわかる。
すると不穏なオーラを纏ったアクセル様がそれはもうドスの利いたお声を発した。
「…次にちんちくりんとか言ってみろ。お前と家族の縁を切るからな…」
「だ、だって……俺は認めないぞ!兄様は騙されてるんだ!兄様ならもっと美人と結婚できるだろ!!」
と、半泣きになりながら部屋を出て行ってしまった。
「ごめんなさいね、ミラちゃん。あの子昔っからアクセルが大好きなんだけど、こうイマイチ物事を表面的にしか見れなくて…」
「はぁ…騎士学校に行って少しは鍛えられたかと思ったが……」
ダニエル様もクラリス様も呆れ顔で。
「いやいやいや、全然気にしていないので。私自身、なんでアクセル様が婚約者に選んでくれたのか未だに不思議ですもん」えへへ、と笑ったが後ろからドス黒いオーラが近づいてくる気がする(滝汗)
「ミラはまだまだ僕がミラのどこが好きか聴き足りないんだね。いくらでも何時間でも何日かけてでも話すから覚悟しててね」
逃がさないからな、と顔に書いてある笑顔は初めて見ましたよ私。ワーオ。
「あんな形の紹介だったが、アイツは弟のライアン。今騎士学校に行っているんだ」
そう言えば私ってアクセル様の家族のことすら初めて聞くのか。まだまだ知らないことが沢山だなぁ。
「アクセル様?弟さんが居るなんて初めて聞きました。私、まだまだアクセル様のこと知らないことだらけみたいです。だから色々聞かせてくださいね」
と言うと何故か感極まったアクセル様に抱きしめられ、さらに膝の上に乗せられて朝ご飯を食べるという暴挙にでました。
なんでやねん。
親公認の溺愛ぶり