誰にでも苦手なものはあります
やばい。侯爵家の布団めっちゃフカフカ〜
あの後私はまた美味しいディナーをいただき(ニコニコとしたダニエル様とクラリス様とアクセル様に囲まれながら)侍女達に湯浴みをしてもらい今に至る。
至れり尽くせり。ハァーお布団フカフカで気持ちが良い〜(にんまり)
としたのも束の間。
私は今絶賛布団の中で震えていた。
外は大雨、更に雷。雷。そう雷。私は雷が大の苦手なのだ。
「うぅ……こわいよぅ……」
布団の中で泣きべそをかきながら震える。
いつも伯爵家なら、お父様とお母様の布団に潜り込んだり、侍女に側にいてもらったりしたのだけど今日はそうもいかない。人を呼ぶにも布団から出るのも怖いし、身動きが取れない。
ピカッゴロゴロドーン!!!
「〜〜〜〜!!!!!!」
怖すぎて声にならない声で泣く。
うぅっ…こわいよぅ…とその時。
ドンドン!と戸を叩く音が。
「ミラ?ミラ居るかい?入ってもいい?」
「は、はい…」
なんとか私は布団から顔を出して返事をする。
するとそこには既に湯浴みを終えた格好をしたアクセル様が入ってきた。
「雷、大丈夫?」
すごく心配そうに私の顔を覗き込む。人が来てくれた安心感で私は思わずアクセル様に抱きついて泣き出してしまった。
「えっミっミラ…」
そしてガタガタと震える私をそっと抱きしめてくれる。
理性が…とかなんとか言ってたけどなりふり構っていられない!だって怖いんだもん!!
「はしたなくてすみません」
わかっちゃいるけど人の温もりほど安心するものはない。
「ん、いいんだよ、落ち着くまでそばにいるから」
そう言ってアクセル様は抱きしめてくれる。
ずっと小声で理性が、いやダメだろなんてブツブツ言っているが。
アクセル様は背も高くて鍛えているだけあって筋肉質でもあった。少しゴツゴツした手も、厚い胸板も、お風呂上がりの良い匂いもなんて心地よいのだろう。
雷が鳴るたびに震える私を強く抱きしめてくれる。
そんな優しい温もりに囲まれて安心しきった私はいつの間にか眠ってしまっていた。
そして翌朝。
本能と理性の狭間に