私はネイリストになる!
目覚めてから一夜が明けた。昨日は両親に兄2人に侍女たちにもみくちゃにされて……慌てて丸秘ノートを隠しそして今も侍女の目を盗んで丸秘ノートを作成している。
「うんうん、大分思い出せてることは大筋が纏まってきたかな?」
兎に角仕事のことしか鮮明に思い出せないので、仕事のことを鮮明に思い出すことにした。
「ネイルかぁ…」
前世で私はネイリストとして働いてもいたし、スクールの講師としても働いていた。ま、バリバリの仕事人間だったのだけど。
「この世界にネイルはない。つまり私が始めればパイオニア!松下◯之助になれるってことね!!」
いや、どこ目指してるねん。
でも実際のところこの世界にはネイルというものは存在しない。でもこんなに煌びやかなドレスを着たら装飾品を着けるんだもの、ネイルがあれば更に生える!映えるばえる!!!
というか単純に私がネイルをしたいししてあげたい。
だって絶対に可愛いもん!
「よし、そうと決まればネイルを作るぞ!」
前世ではスクールの講師をしていたとともに、商品開発にも携わっていた。ある程度の知識はあるものの、この世界でどれ程通用するかはわからない。
やれるところまでやってみよう、ダメならまた考えればいいや。うん、このポジティブ精神まじで役立つ。
とは言え父は可もなく不可もなしな伯爵だし、上の兄は16歳、下の兄は13歳で2人とも学生だし…………うーん、あ!母がいたじゃん!父と母は政略結婚ではなく幼馴染で恋愛結婚。ちなみに母は平民の出なんだけど、母の生家が商人なんだよね。母のお兄さん、伯父様なら何かツテがあるかも?とは言えいきなり伯父のところに行ってもだから、まずは父と母に相談かしら。
「ちょっと突破口が見えてきたら、なんかやる気でてきた!うおー!またネイルのデザインがバンバン浮かぶ!今のうちに描き溜めしとこ!!」
こうして毎日デザインを描いたり、父と母と伯父に向けたプレゼン資料を作る日々を過ごす。
そしてそこから1週間、練りにねったプレゼン資料が出来上がったのだった。が、しかし問題が一つ。
「私8歳なのよね?こんな資料作ってもってったところでどう説明しようかしら……」
デザインを描いたりプレゼン資料を作ることに専念しすぎて失念していたのだが、よくよく考えればとてもじゃないけど8歳にこの資料作りは無理だろう。というかそもそもこの世界にない『ネイル』という発案をする時点で説明しなければならないことが山積みなのだ。あとは8歳までのミラはもういない、と言うことも。
「なんだか急に気が重くなってきたわ…」
「なんの気が重いって?」
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