こんにゃくじゃなくて、婚約
するとともなくアクセル様が現れる。
「ミラ……ありがとう」
うぬぅ!!凄い色っぽい返事!フェロモンに当てられるぅ!
「あ、あの。まだアクセル様のこと好きとかよくわからなくて、でもわからないままにしないでこれから知ろうと思います…。そんな私でもいいですか?」
あれ、返事がないな。…まさかそれじゃダメってこと?!
私は恐る恐る顔を上げると
抱きしめられた。
「あらあらあら、母たちは退散しましょうね」
「うんうん」
外野はゾロゾロと部屋から出て行く。温かい空気を纏わせて。終始アシルお兄様だけ憐れみの目をしていたけども。
「断られたらどうしようかと思った。僕は絶対ミラじゃなくちゃ嫌だったから。(もし断られたら使える権力は全て使って君を囲うつもりだったけど)」
私は抱きしめられながら思う。
心の声漏れてまっせアクセル様。(半泣き)
「そういえば、母がかなり気に入ってたよ君のネイル」
「えっ本当ですか?」
「あぁ、こんなに素敵なネイルを作る子が義理の娘になるなんて嬉しいと言っていたから、嫁姑問題は気にしないで平気だよ(にっこり)」
スン、と真顔になる。うん、既に外堀固めてるじゃん。
社交界の花と呼ばれるほどのアクセル様のお母様に私はまだお会いした事がない。侍女の方にスタンダードなネイルは教えたものの、正直本人と会わないとインスピレーションが湧かないってのもあって彼女自身に合うネイルは作ったことがないのだ。
「あ、あのアクセル様?お願いがあるのですが」
「ミラのお願いなら何でも聞くよ!」
「アクセル様のお母様にお会いしてみたいです!」
「母に?」
そんなお願いなの?と言わんばかりの顔をされる。
「えぇ、お礼も兼ねて…「うん!うん!よし、今から会いに行こう!父も母もきっと喜ぶから!!」
ん?ネイルのお礼に侯爵様?
なんとなく勘違いしてるアクセル様を止める事はできずそのままあれよあれよと私は侯爵家へと連れていかれる。
お見送りの家族の笑顔ったらまぁ良いこと。(アシルお兄様以外)
「じゃあミラ、スピード飛ばして行くから舌を噛まない様にしてね!」
ちょい!馬なんて初めて乗るんだけど!!
ひぇ〜普通こういう時って馬車じゃないの?と思ったけどアクセル様曰く『ミラに会いたくてかっ飛ばしてきちゃった⭐︎』だそうで。
かっ飛ばして侯爵家に着く頃にはお昼が過ぎようとしていた。
アシルお兄様、ちゃんといました