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溺愛じゃなくてヤンデレっぽいです


そして物語は冒頭へと戻る。



あの後黄色い歓声を振り切りアクセル様にガゼボまで連れてこられた。私を先に椅子に座らせその前に自分が座り、状況が飲み込めない私の手をガッチリホールドしている。

「ミラ、僕の可愛いミラ。一体君は今何を考えているんだい?折角2人きりでいるんだから、僕のことを考えてほしいな?」


うん、どうしたんだこの人。3年前はここまでフェロモン出てなかった気がするんだけど?眼福どころの騒ぎではない、まじで気絶した御令嬢いるでしょこれ。


とりあえず私はぎこちない笑顔で返す。すると数メートル離れた場所にいる侍女さえも倒れてしまいそうな笑顔で返される。


「ぶ、無事に帰ってこられてなによりですわ」

「ああ、このお守りのおかげかな」


そう言ってアクセル様が取り出したのはAと言うイニシャルと裏にはmilaと刺繍が入ったハンカチだった。


え?それってアシルお兄様に送ったハンカチじゃないの!


そこで全てが繋がった。アシルお兄様からの手紙に絶対に名前じゃなくてイニシャルでと何度も何度も念押ししてあったこと、リュカお兄様に名前を入れろと言われたこと。


にゃろう、最初からアクセル様にあげるためのものだったんだな。だとわかってたらもう少し丁寧に作ったのに。


と言うかなんでアクセル様が私のハンカチなんて欲しいんだ?


「ミラ、僕はこの3年間君に会いたくて会いたくて触れたくてもみくちゃにしたくて仕方がなかったよ。やっぱりきちんと婚約を結んでから出立すればよかったと何度後悔したことか。その度にアシルに無理を言って君からの贈り物を添えてもらった。これが僕の心の精神安定だったんだ」


と言ってアクセル様はハンカチをクンクンと嗅ぎ出した。

なんだろう、イケメンて何しても様になるとかずるくない?それに一人称も俺から僕になってるし。あともみくちゃて。さらっと言ったけどこわ。てか!!!


「こ、こんやく?????」


何それ初耳なんだけど。てかこんな壁の花ならぬ壁のドライフラワーでぽっちゃり地味子のどこが好きになる要素があったんだ???


驚きと戸惑いを隠せない私にアクセル様は続ける。

「魔石ネイルの開発中に僕は君に恋に落ちたんだ。こんな気持ち初めてだったよ。毎週のように会ってたのに急に3年間も顔が見れなくなって……気が狂いそうだった。気持ちなんて本当はわかりたくないけれど、今まで僕に言い寄ってきた令嬢達の気持ちがわかるようだよ」


あははは、と引き立った笑顔で返す。


正直私は"恋"というものがわからない。前世も仕事人間だったし、今だって仕事一筋だ。しかもここに来て言い寄ってくれるのが国一番と言っても過言ではないアクセル様だよ?正直この後もっと綺麗でもっとアクセル様を思ってくれる令嬢が現れたら私なんてポイされるに決まってる。だからなのかどうしても、眼福だけど、フェロモンに鼻血が出てしまいそうだけど、ストンと恋には落ちれない。


アクセル様なら私程度の女じゃなくても引く手数多だもの。無駄にポジティブな私だけど、どうやら恋だけはポジティブにはなれないらしい。


はぁ、と一呼吸置いてアクセル様に向かい合い話す。ぐっ眩しい。

「…アクセル様。今あなたはきっと生まれたての雛のようなものです。今までの御令嬢と少し違った私がそばにいた、と言うだけで。今後私よりも容姿も家柄も性格も良い方が現れれば、私にしておかなければ良かった、と思う日が来るでしょう。私がそれまでに貴方に恋をしてしまったら、私は酷く傷つかねばなりません。また、私は恋に落ちたことがないですが、恋をしたら貴方の嫌いな御令嬢になりうる可能性もあるんですよ?それでも貴方は受け入れてくれますか?」


アクセル様はこの世の終わりのような顔をし、絶望オーラを纏い始めた。


ぐっそれでも眼福ってどゆこと。でも私だって傷つきたくないもん。


「……そうだね」

お、わかってもらえたのかな?とは言えこんなに人の多い夜会でやらかされてしまったので、暫くは夜会に出られないかもな…。絡まれるのは面倒だし。


「ミラには僕がどれだけミラを愛おしくて愛くるしくて息が出来なくなるほど君に恋焦がれていたかと言うことを痛いほど教えるところから始めないとだね」


ん?聞いてた?私の話聞いてた?今魔王(リュカおにいさま)なみにスルーしたよね??


「ミラ、婚約しよう。もし僕の責任でこの婚約を解消するときがくるのであれば、僕の全財産100億金貨を渡すことを約束するよ」


「ひゃっ100億金貨?!?!?!」

そんなに個人資産持ってるんかい!!

そう言うとアクセル様は契約書を作り出し、私の手を取り契約を結ぶ。

ちょいちょいちょいちょい!いいの?!ほんとにいいの?!


驚きすぎて声にならない私をよそにテキパキと契約を結ぶアクセル様。

「婚約は侯爵家から正式に出すよ。多分()()()()手紙が着くかと思う。だから()()()()()にはミラの家に向かうから準備しておいてね」

ちゅ、と手の甲にキスを落とす。



まって、なにも入ってこないし飲み込めない。明日?!明日婚約するのわたし?!どゆこと?手紙ってそんな早く作れて運べるものなの?



色々なことがありすぎてどうやら私は座ったまま気絶してしまったらしい。伯爵家にはアシルお兄様がいたから無事に回収して帰ってこれたと侍女に聞いた。良かったあの夜会にアシルお兄様がいて。



目が覚めたのは夜中だったので、もう一度寝てみることにする。どうか悪い夢でありますようにと願いを込めて。


多分狙った獲物は逃がさない

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