ミラ16歳になりました
さて皆さま、私ミラはなんと16歳になりました!
13歳で社交界デビューをしてからは壁の花ならぬ壁のドライフラワーになり、地味子に益々磨きをかけ、日夜ドレスの研究をし、日々新しいデザインを考え世に生み出しているところです!
最近では有名なオートクチュール店とコラボしたり、ドレスによって付け替えたいとの願いを叶えるためにネイルチップも開発したり、相変わらず仕事人間で生きています(にんまり)
お父様もお母様も婚約の話を一切持ってこないし、学校でも何故か男性からは避けられてたものだから私は未だに独り身。自由気ままでいんだけどね!
そうそう、リュカお兄様は無事にカメリア様と結婚して王都に住んでいるわ。可愛い赤ちゃんも生まれたの!本当に可愛すぎて癒される〜いつでも遊びに来てってカメリア様が言ってくれるからお言葉に甘えて毎日行ってたら流石に多すぎとリュカお兄様に怒られてしまったわ。仕方ないから今は自粛しているところ。
アシルお兄様は本当は2年の予定だったんだけど魔獣が予想以上に出てきてしまったのでまだ帰ってきてないの。ちなみに同じ部署に配属されたアクセル様も。でも3年したら帰ってくるとのことで、何とアシルお兄様は今日帰ってくるのよね。
「ねぇオリヴィエ、なんで今日の夜会ってこんなに人が多いの?いつもの倍ぐらい居ない?」
私は唯一と言っても過言ではない伯爵令嬢で学友のオリヴィエ•ロアン伯爵令嬢に話しかける。
「え、ミラ知らないで今日ここにいるの?今日はノアイユ侯爵家子息のアクセル様が帰ってくる日じゃない!近々でも大きい夜会は今日しかないし、今日の夜会の主催者は侯爵家だから挨拶に来るんじゃないかってみんな張ってるのよ」
あ、そうか。アシルお兄様が帰ってきたんだからアクセル様も帰ってくるのか。リュカお兄様に、今日私が夜会に行くって言ったらアシルも行くかもみたいなこと言ってたような言ってないような。
「はぁ〜21歳になったアクセル様って一体どんな感じなんだろう」
そうか、ここにいる御令嬢はみんなアクセル様目当てなのか。うわぁ〜さぞかしうんざりするんだろうなぁ。せっかく3年近くのびのび過ごされてたのに(?)帰ってきてそうそう女性にもみくちゃにされるなんて、心中お察ししますわ(わからんけど)
モテるって大変だなぁ。地味子の私は壁の花になって好きなドレスを好きなだけみて、家に帰ってデザイン起こして、そんでスクールで教える。
好きなことして幸せなのに、真逆の人もいるもんだ。
うんうん、と1人勝手に納得する。すると
「ミラ!」
聞き慣れた声に顔を上げる。
「アシルお兄様!」
そこには3年前よりもだいぶ逞しくなったアシルお兄様がいた。
「お兄様、随分と男らしくなりましたね!見違えるようですわ」
「さすがに最前線だったからな、いやー何度生死を彷徨ったことか!(でもミラの魔石ネイルのおかげで魔力切れも回避できたよ。)ホントに出来た妹だよミラは」
ネイルの部分は小声で話してくれるお兄様。あら随分と気が使えるようになったのね。おほほ。
「いえいえ、お役に立てたようでなりよりですわ。あ、そうだお兄様、こちらは私の学友のオリヴィエ•ロアン伯爵令嬢です。とっても仲良くしてもらっているの」
「初めまして、オリヴィエ•ロアンです。私こそミラには良くしてもらっていますわ」
「ミラの兄のアシルです。妹と友だちになってくれてありがとう!」
挨拶を交わし3人でわちゃわちゃと話していると、遠くから黄色い歓声が聞こえてきた。
「すごい…歓声通り越して悲鳴じゃないの」
「絶対これってアクセル様が来たって事じゃない。ミラ、今日は壁の花になんかならないで見に行きましょうよ!」
「えぇ……いいよ別に私は。オリヴィエ1人で見てきなよ。私はここで壁の花を極めるから」
正直なところホントにめんどくさいし行きたくなかった。
「じゃ、一目見てくるわ!」とオリヴィエは行ってしまった。案外ミーハーなんだからっ。
「お前なぁ……いや、うーん、アクセルと会わないとか無駄な抵抗だと思うぞ?」
「へ?なにが?」
「あ、いや。こっちの話」
あちこちで黄色い歓声が上がっている。
多分アクセル様が動いているのだろう、人の波が動くのを見ながら兄妹2人して壁の花になる。
「そう言えばアシルお兄様、なんで大量の刺繍ハンカチなんか頼んだのよ。出立前に沢山名前入りのハンカチあげたじゃない」
「あっ、あーーー!あれだよほら、やっぱ汚すからさ、何枚あっても困らないじゃん?」
「まぁ、そうだけど。リュカお兄様なんて後ろに私の名前も入れろとか言うのよ?何でお兄様はAのイニシャルだけで私はmilaって入れなきゃならないのよ!かなり面倒だったのよ」
もうっと私は顔を膨れさせる。
「いや、まじでリュカ兄さんナイスアイディアだったわ」
「あーあ今日はゆっくり観察ができないわ。私帰る。アシルお兄様は?まだいるの?」
「あ、いや、あの」
すると先程まで遠くに聞こえていた黄色い歓声が急に近くになり周りを見渡すと
「ミラ、僕に会わないで帰るなんて酷いじゃないか。寂しかったのは僕だけかい?」
とフェロモンがメーター振り切ったのではないかと言うほど色っぽくて艶っぽいイケメンが更に増したアクセル様が居たのだった。
多分御令嬢で倒れてるかたもチラホラ