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練馬に転生した男ンガガゴ  作者: 練☆馬太郎
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俺はンガガゴ


 俺の名前はンガガゴ・シモニタ。

 ある朝、いつものように狩りに出かけた俺は曲がり角で美少女にぶつかった。

 ただの美少女ではない。食パンを咥えてトラックを運転する美少女だ。

 俺は死んだ。


 死の際、薄れゆく意識の中で俺は思った。


 ああ……。

 異世界転生……したいなァ……!


 そうして俺は異世界転生することになった。


 練馬(ねりま)に。




 東京都練馬区・練馬。

 人口約一五〇〇〇(いちまんごせん)人。面積(ななひゃく)(きゅうじゅう)(よん)平方メートル。

 駅前には喫茶店やカラオケが並び、携帯ショップもある。

 少し歩けば靴〇通センターもある――――大都市。


 俺が元々いた森だらけの世界とはまるで真逆の世界。

 言語まで違うため、

 周りの人々と話せるようになるまで実に一年も費やしてしまった。

 その際、俺をサポートしてくれたのが練馬人の少女、真理音(マリネ)だった。


 転生直後で何も分からなかった俺を引き取ってくれたマリネは、

 今日に至るまで言語や練馬での生き方を俺に教えてくれたのだ。

 彼女には感謝してもしきれない。


「ンガガゴさん、早く準備しないと学校に遅刻しちゃうよ!」


 セミショートの黒髪をなびかせながら、マリネは急かす様に言った。

 眼鏡の奥に見せる彼女の瞳はやんわりと俺に微笑みかけている。


 そうだ。今日は俺の初登校日。

 都立練馬ネリネリ・ネリーン高校に編入する日なのだ。




「な、なんとか間に合ったね。ンガガゴさん……!」


 時間ギリギリで教室に駆け込み、マリネは全力疾走で乱れた息を整える。

 教室内を見渡すとそこには三十数人ほどの生徒。

 その殆どが見慣れぬ生徒、つまり俺に向かって視線を投げていた。

 ネリーン高校2年A組。


「今日から……ここが俺のクラス」


 なんだか感慨深い。

 俺が元々いた世界には学校なんてものはなかった。

 狩りで獲物を捕獲し、その日を生き抜いていくだけの生活。

 学ぶのは実戦でのみ。周りの人間は全て競争相手(ライバル)――。


 だが今は違う。

 この教室内にいる生徒全員が俺の仲間なのだ。

 転生し、住民票を取得するまでの一年。長かった。


「おい! てめェ!」


 そんな俺の思いとは裏腹に挑発的な声がかけられる。

 目を向けるとそこには長身細身の金髪男が。


 金髪男は椅子から立ち上がると、

 ポケットに両手を入れたままこちらへ歩いてきた。

 ガムでも噛んでいるのだろうか。

 口からは常にくちゃくちゃと不快な音が鳴っている。


 狩りをしていた時を思い出す。間違いない、これは威嚇。

 意図は分からないがこの金髪男は俺を挑発し、冷静さを失わせようとしている。

 だが一流のハンターだった俺にその手は通用しない。


「何の用だ」


 にやけ面を眼前まで運んだ金髪男に向かって、俺は言う。


「ぺぁっ!」


 足元にガムが吐き捨てられる。

 そして金髪男は言った。


「気に食わねぇな、その態度……。俺は根藤(ねふじ)。このクラスの(ばん)だ」


 番……その言葉はまだ習っていないが、

 察するに群れの長といったところだろう。

 なるほど。この男は長として自らの力を誇示したいという訳か。


「有り金をよこせ。さもなきゃブッ飛ばしちゃうよ?」


 郷に入っては郷に従え。

 穏便に済ませるなら金髪男に従うのが正解だろう。

 だが。



 初対面の相手に対する無礼の数々。

 学生らしからぬ金色の頭髪(校則違反)

 そして暴力で他者を脅し、金銭を奪おうとする歪んだ性根。


 この男は長の器ではない!


「貴様に金は渡せん。失せろ下郎め」


「なんだとォ……!」


 根藤は顔を赤に染まらせ、怒りに打ち震える。

 今にも殴りかかってくると思ったが奴は制服の内側に手を突っ込んだ。

 武器を出すつもりか。


 いや、違う。

 根藤が出したものは俺の想像を遥かに越えるものだった。

 あれは野菜。


 ――――大根(だいこん)だ。


「お前に決闘を申し込むぜェ! 練馬大根チャンバラ(ジ・ハード)をなァ!!」



初めての投稿で至らぬ点などあると思います。

おかしいところがありましたら教えて下さい。

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[良い点] おんjに貼る勇気 [気になる点] 特に無し。非の打ち所がないわな [一言] おんjから来ますたw
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