町奉行所の役人いろいろ
「町方同心」は八丁堀の組屋敷に住んでいたため、「八丁堀同心」とも呼ばれている。給与は30俵二人扶持。役宅への出仕の際は小者2~3人を連れて出かけた。
町方同心には定町廻同心・臨時廻同心・隠密廻同心がいて、これを「三廻同心」といった。
「定町廻同心」は、分担して江戸市中を巡廻した町方同心であり、犯罪者の捕縛にあたった。定員は六人。時代劇でよくでてくる町方同心はこの定町廻同心である。彼らは非番のときでも休まずに市中を見廻った。そのさいには小者を二~三人、御用箱持ちの供一人、中間一人を引きつれている。
「臨時廻同心」は、定町廻同心の人員不足を補充すべく設立された町方同心。以前、定町廻同心を務めあげた者から任命されるので、自然と年配者で占められた。定員は六名。
「隠密廻同心」は、町奉行直属の同心。名前のごとく隠密に事件を捜査して奉行に知らせ、容疑者の証拠を集めたりした。ただし、犯罪者の捕縛はしない。定員二名。
他にも町奉行所の役人はいろいろある。
「年番方」は奉行所すべての取り締り、金銭の出納・保管の役目をおこなった。与力三騎、同心六人、書物方三人。
「吟味方」詮議所において、刑事事件の容疑者の取り調べ、民事訴訟の審理などをした。与力十騎、同心二十人。
「例繰方」は犯罪の内容や判例を整理した。与力二騎、同心四人。
「風烈廻昼夜廻」火事がおきないように、風の烈しい日も、昼夜にかかわらず市中を巡廻した。与力二騎、同心四人。
「高積見廻」材木や炭、俵が乱雑に積み上げられ、出火しやすい危険性があるか見廻る。与力一騎、同心二人。
「町火消人足改」火事がおきたばあい、町火消を指揮した役目。与力二騎、同心四人。
「本所方」本所深川の地域すべての民政をおこなった。与力一騎、同心二人。
「定橋掛」江戸幕府が管理していた橋の監督と管理をおこなった。与力一騎、同心二人。幕府管理の橋にだけ、たまねぎのような形の擬宝珠がつけられていた。
「牢屋見廻」伝馬町にある牢屋敷すべての監督。与力一騎、同心二人。
「人足寄場定掛」石川島にある人足寄場の監督。与力一騎、同心二人。
「養生所見廻」小石川養生所の事務と監督。与力一騎、同心二人。
「非常取締掛」非常事件の取締りに関連した事務。与力八騎、同心十六人。