秋は死んだ
少しばかり早すぎる朝焼けの中
冬はこう呟く
「秋は死んだ」
日に日に寒さは増して
心臓なのか 心なのか
分かりはしないけれど
確かに 私の何かは凍えていて
下がる気温に伴い 思考はマイナスに近づき
それに騙されんと あるいは騙そうと
悪意や欺瞞に満ちたテクストが街に溢れだす
凍えそうな部屋では
吐息が窓ガラスに張り付いて
一面を曇らせるように
私たちの溜め息が 視界に張り付いて
暖かな思考や理想に 目隠しする
とうとう私は立ち止まり
右足から歩き始めるか それとも左足からか
そんなことにすら迷ってしまうから
ただ風に吹かれるがままの
枯れ葉たちの舞踊を眺めては
どこかメランコリックな共感に苛まれて
少しばかり遅すぎる夕焼けの中
私はこう呟く
「冬が生まれた」