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文化祭といえば本番

「来てたよ。

保険室登校ってやつだね。」

「…体調はもういいのか?」

「体調?

ああ。

あれなら嘘だよ。

そんなこともわからなかったのか?」

ショウジロウは

今にも高笑いを始めそうな

自分を抑えるように話した。










「…文化祭には来るのか?」

「は?

俺が?

行くわけないだろ。」

「まあ…。

そうだろうな。」

「わかってること聞くなよ。

それで。

お前はどっちを取るんだ?

サヤがいらないならよこせよ。」

「あ?

お前まだそんなこと…」

「ご、ごめん。

今のは本心じゃないんだ!

た、タケゾウくん。

ご、ごめんね!」

いきなり態度が豹変し

ショウジロウは保険室へ戻り

ドアを閉めた。









『あいつ…。

どっちが本物なんだ?

やっぱり…人格が…二つ?』

タケゾウはそんな人間に出会ったことが

ないため、にわかには信じがたい

とは思いつつ

今までのショウジロウについて

少し考えた。










『そう考えれば辻褄が合うよな。

問題はどっちがほんとで本物かって

ことだけど…。

どっちにしろ

サヤに危害を加えるやつのことなんて

気にかけてやるほうが

阿呆らしい。

あ、やべ!

教室戻らなきゃ!』

タケゾウは考えることをやめ

教室に走って戻った。













そして時は過ぎ

待ちに待った文化祭がやってきた。












「なんとか準備間に合ったな。」

「そうね。

タケゾーもお疲れ様。」

「サヤもな。」

「ちょっと二人とも。

まだ文化祭終わってないんだからね。」

「そうだよ。

今日が本番なんだ。

頑張っていこう。」

教室の外に掲げた

看板を見ながら

タケゾウとサヤは

すっかりやりきった気でいたので

ハルとキヨトがそれにツッコミを入れた。











「そこの四人!

早く準備して!」

「…。

俺は…いいかな…。」

「そうはいかないのであります。

さぁ皆の者!

捕獲するのだ!」

逃げようとしたタケゾウに

衣装班の者達が一斉に飛びかかった。









「わ、わかったって!

じ、自分でやるから!

あ、や、やめてー!!」

「ぼ、僕も自分で

やるから!

み、みんな落ち着いて!

あ、だ、だめー!」

タケゾウのついでとばかりに

どさくさに紛れて

キヨトまで

裏に攫われ

悲鳴をあげた。

気付けば衣装班ではない者まで参戦していた。









「まったく。

さ、着替えよハル。」

「うん。

着替えは自分のがいいもんね。」

「安心して。

二人には残った女子班が

手取り足取り

着せてあ・げ・る。」

「ま、まって!

着れるから!

だ、大丈夫!

あ、や、やめてぇえぇ!!」

「ハルも大丈夫だもん!

み、みんな目が怖いよ!

お、落ち着いて!

あ、い、いやぁあぁぁあ!!!」

残った衣装班の女子が今度は

サヤとハルを拘束し

攫って行った。

数人の男子が混ざろうとしていたが

それは女子によって

制裁を受けたのは言うまでもない。













「か、可愛い !!!

惚れ惚れしちゃう!」

「こ、これは…。

よもや生きているうちに

神に…女神に会うことができるとは。

我輩の生涯に、もはや悔いなし!」

サヤとハルが着替えを終え

暗幕で仕切られた

裏側から登場するとともに

教室からは歓声が上がった。









「ハル…。

可愛いすぎるでしょそれは。」

「そ、そんなことないよ。

それを言うならサヤだって…。」

サヤは洋装だった。

どこぞのお姫様を想像させるその衣装に

サヤらしさを取り入れたのか

活発に動きやすいように

スカートの丈は少し短めだ。

そしてまさかの金髪のウイッグ。

さらりと降りている長いウイッグで

いつもと違う雰囲気に

男女問わず見惚れた。







ハルは和装だった。

戦国のお姫様が現代に来たような

古風な感じを残しつつ

動きやすいようにこちらも

少し丈が短い。

こちらは可愛らしいかんざしと

ハルの綺麗な黒髪を活かし

後ろはまるで華のように

髪が編み込まれていた。

言うまでもないが

男女ともに見惚れていた。









「きゃーーー!」

突如、女子の歓声が上がる。

キヨトが出て来たのだ。









「ど、どうかな?

似合ってるといいけど…。」

キヨトはまさに王子様だった。

腰には剣、ネクタイに

ジャケット、そしてコート。

軍服にも似たそれを

昔の英国貴族のようにアレンジした衣装だった。

装飾品にかなり力が入っている。











「うお!

かっけー!」

「あぁ…。

かっこいい。」

男達は大きな声を上げ

歓声をあげた女達は

次は見惚れながらため息のように言った。








そんな中、視線を受けないよう

タケゾウがさりげなく現れた。









『『か、かっこいい!』』

お姫様二人はその存在にいち早く気付くと

声にこそ出していないが

完全にタケゾウに見惚れていた。

「ったく…。

なんで俺がこんな格好しなきゃいけねえんだよ。」

タケゾウはキヨトとは違い

侍のような格好だった。

腰には刀、藍色のその着物の前は少しはだけていて

タケゾウが普段鍛えている体が

チラチラと覗いている。

その上から羽織りものを纏い

髪は前髪を少し残し

一本に結っている。

よく見ると

タケゾウのその長い髪がさらに長くなっている。









「ふ、普段の格好より

そっちの方がしっくりきている気がするよ。」

タケゾウが出てきたことに気付き

キヨトが声をかけた。

「は?

お前にそれは言われたくねえよ。」

キヨトがタケゾウを褒め

タケゾウはタケゾウなりにキヨトを褒めた。

そんな人だかりを割るように

二人のナイトの元にお姫様がやってきた。












『う、うわぁ!

か、可愛い!』

『…こりゃ…やべえな。』

タケゾウとキヨトは

サヤとハルに見惚れてしまった。

それに気付いたサヤは

タケゾウに冷やかすように言った。









「あ、タケゾー。

見惚れちゃった?」

「ち、ちげーよ!

見惚れてなんてねえっての!」

「ムキになるところがあやしい…。」

「…すごく似合ってると思う。

とても綺麗だ。」

キヨトがその会話に割って入る形でサヤに言った。









「え!あ…あはは。

あ、ありがと。」

予想外のところからサヤは被弾し

タケゾウへの追撃が終わった。

そんなこんなでいよいよ文化祭が始まった。

タケゾウとハルは呼び込みをするべく

教室のドアの前に立ち

看板を持って働いた。

そんなタケゾウとハルを見て

どんどんお客さんが入っていく。

そして中から歓声が上がったり

ため息が聞こえたりと

店内は大忙しのようだ。












「よ、ようやく落ち着いたね。」

「そ、そうだね。

みんなもお疲れ様。」

「ほんと混みすぎ。」

「ほんとだね。

でもサヤとキヨトくんが

この格好じゃ学校中から人が来るのは

仕方ないよ。」

「何言ってんだよ。

ハル目当てで来てる奴もたくさんいたろ。」

「うん。

その通りだと思うよ。」

「そ、そんなことないよ!」

「そんなことあるっての。

ハルは充分綺麗だと思うよ。」

「え!

そ、そ、そんなこと…。」

ハルは最後まで言い切れず

タケゾーと目が合い

突如、顔が真っ赤になり

その顔を隠そうと両手で覆った。












「ど、どうした?」

タケゾウはそんな何も言わなくなったハルが

泣いてしまったのかと

少しオロオロしながら

ハルに聞いた。

「な、何でもないもん!

あ、呼び込みしなきゃ!

行ってきます!」

ハルはタケゾウに背を向けると

全力で教室から走って行った。












「あ、ま、待てよ!

俺も続きやってくるよ!」

タケゾウは教室から出たハルを

追いかけて飛び出して行った。












「あの二人仲よくなったよね。

…ってあれ?

サヤ…?」

「…あ!

う、うん!

そうだよね!

いいことだね!

さ、私達もがんばろ!」

キヨトがそう言うとサヤは一拍遅れて

声を出した。











『…絶対負けないからね!』

そんな戦いがひっそりと

火蓋を切ったとか切らなかったとか。

読んでいただきありがとうございます。

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楽しんでいただければ幸いです。

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