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文化祭といえば恋

「ショウジロウ今日も休みだな。」

「…そうだね。」

翌日。

ショウジロウが登校してくることはなかった。

そんな中、準備は順調に進んでいった。











「タケゾー。

これもやっといて。」

「はいはい。

人使い荒い…。

いえ。

なんでもありません。」

「よろしい。」

サヤはタケゾウに

看板の色塗りを頼み

すぐ他の班の手伝いにまわった。












「ほんと人使い荒いよな。

ん?

キヨト?」

「…あ、いやそんなことないんじゃないかな?

人一倍頑張ってるだけだよ。」

「まあ…頑張ってはいるよな。」

タケゾウが隣で作業していた

キヨトに話し掛けると

間が空いて返事が返ってきた。













「サヤのこと見てたのか?」

「え!」

ガシャンという音と共に

ペンキの缶が倒れた。












「あ、ご、ごめん!」

キヨトは急いで近くにあった

布で拭き始めた。

「何やってんだよ。」

「だ、大丈夫?」

「タケゾー!

何やってんの!」

そこにハルとサヤがやってきた。












「いやいや。

俺じゃねーっての。」

「え?

キヨトくんがやったの?

…ごめん!

とりあえず拭こう!」

「うん。

布、他にもあるかな?」

「ご、ごめんねみんな。

ありがとう…。」

そばにいた者も加わり

掃除が始まった。

幸い看板にはかかっていなかったので

看板は作り直さずに済んだ。

だがペンキが一色足りなくなってしまった。











「とりあえず綺麗にはなったな。」

「そうだね。

本当にありがとうみんな。」

キヨトがそう言うと

皆、自分の作業に戻って行った。









「キヨトくんも

ミスすることあるんだね。」

「私もそう思った。

てっきりタケゾーだと…」

「失礼だなおい。」

「ごめん。」

「ぷぷ。

キヨトくんも人間なんだなって

思えたからむしろよかったよ。」

「サヤ…いくらなんでも

それは失礼だよ。」

「そうだぞ。

それに俺にもとても失礼だと思います。」

「ご、ごめんね。

一応、人間なんだよ。」

「あははは。

一応ってなんだよ。」

「「はははは。」」

「そうだよ。

一応じゃなく人間でしょ?」

「う…そうだね。」

タケゾウとサヤとハルは盛大に笑った。

キヨトはどこか恥ずかしそうに

でも居心地は良さそうに

苦笑いした。










「ってことで

ペンキ足りなくなったし

買ってこい。」

「あ、そうだよね。

行ってくるよ。」

「サヤも行ってこいよ。」

「え!

何で私まで?」

「失礼だからだよ。」

「そんなに根に持たなくても…。」

「ふふ。

そうだね。

サヤ失礼だったもんね。」

「ハルまで…。」

「みんなももう今日は作業終わりだろうし

行ってこい。

リーダーだろ?」

「う…わかったよ。

行こキヨトくん!」

「あ、う、うん!」

サヤはキヨトと共に

ペンキを買いに教室から出て行った。












「ふふ。」

「どうした?」

出て行った二人を見て

ハルがクスっと笑った。








「もしかしてアシスト的な感じ?」

「アシスト?

どういうことだ?

気晴らしに二人で行かせただけだよ。」

「ふーん。

そうなんだ。」

ハルはニヤニヤしながら

タケゾウに言った。









「さて、そんなことより

看板の続きやらないとな。

ハルも手伝ってくれよ。」

「はーい。」

タケゾウはハルと一緒に看板の

色塗りを再開した。











「おーし。

大体いいんじゃないか?」

「わーい!

ほぼできたー!

可愛いじゃん看板。」

サヤとキヨトが買い出しに出かけ

程なくして、足りなくなった色を

除き、看板が完成した。

気付けば他の者は帰っており

教室にはタケゾウとハルが二人で

残っていた。









「あー疲れた。」

「でも楽しかったね!」

「そうだな。」

タケゾウはそう言うと床に大の字に

横になった。

「あ、気持ち良さそう。

ハルもしよーっと。」

そう言うとハルも床に大の字に

寝転んだ。










「ん?

ハルも?」

タケゾウはハルが自分のことを

名前で呼んだことに

さりげなくツッコミを入れた。










「あ!」

ハルは急ぎ上半身を起こし

両手で口をふさいだ。

タケゾウもゆっくりと上半身を起こした。

正面には床にある看板を挟んで

夕日より赤く染まった顔を

小さな両の手で隠そうとしている

ハルが座っていた。










「…内緒にしてね。」

「え?

何?」

小さい声でハルが何か言ったのを

タケゾウは聞き取れず、聞き返した。










「内緒にしてねって言ったの!」

ハルは少し甲高い声で

タケゾウに言った。











「あ、ああ。

てか、別にいいんじゃねえの?」

「よくない!

せっかく直ってきたのに…。」

「なんか問題でもあんのか?」

「ぶりっ子だって…前の学校でバカにされて…。」

「あはははは。

その顔で?」

「ひ、ひどい!

顔は関係ないじゃん!」

「いや、だってぶりっ子って

顔じゃねえだろ。

マジ面白いな。

いいじゃん直さなくて。

ギャップ的なさ。」

「よ、よくないもん!」

「そうか?

可愛くていいと思うけどな。」

「え!

や、やめてよ。

恥ずかしい。」

「ま、本人が直したいなら

いいけどさ。

しかし、看板うまくいったな。」

「…そ、そうだね。

うん。

あとはこの辺とこの辺に

キヨトくんが買ってくるよ色が入って…」

ハルはタケゾウに少しからかわれた

と思いながらも

気をとりなおし、前かがみに看板の

まだ塗られていないところを指差した。

タケゾウはそんなハルに目をやると

前かがみになった胸元につい目をやってしまった。









「…って聞いてる?」

ハルがそういってタケゾウを見た。

タケゾウはハっと我に返ると

すぐさま顔を反らした。








「…なんかあやしい。」

「な、何が!?」

「今、胸元見てたんでしょ?」

「み、見てない!

断じて見てない!」

形勢逆転である。

ハルは一気に口撃に転じた。










「とか言って耳まで赤いよ?

えーどうしてかなー?」

「そ、そんなことない!

断じてない!」

「ふーん。

やましいことがないなら

こっち見てよ。

タケゾウくん?」

「う…。」

タケゾウは防戦一方の戦いに

終止符を打つべく

ハルのいるほうに座りながら

勢いよく方向転換した。









「あ、やっぱり

顔真っ赤じゃん。」

ハルは看板を越え

タケゾウの真後ろまで攻め入り

膝を抱えタケゾウを見ていた。

突然タケゾウの目の前に現れた

ハルの笑顔は

まるで歳上の女性が

少し子供っぽく

照れ笑いしているそれだった。

タケゾウの時はそこで少しの間

止まった。










「…って近いね。」

ハルのその一言でタケゾウの時は

ようやく動いた。








「あ、ああ。

わ、悪い。」

ハルは離れようと

立ち上がり、一歩後ろに踏み出した。

出したその足が看板に引っかかる。






「きゃっ!!」

「あ!

あぶねえ!」

タケゾウは咄嗟に手を伸ばし

立ち上がり、ハルの手を掴むと

自分の元に引き寄せ抱き止めた。











「…あ、ありがと。」

「あ、う、うん。」

耳元で聞こえたその声に

何とか反応すると

腰に回した手を緩めた。









『『し、心臓の音が…うるさい。』』

タケゾウとハルはゆっくりと

離れると

教室にはしばしの静寂が流れた。

窓から差し込む夕日は

教室の床に反射し

二人の顔を赤く染める。









『だ、ダメだ。

何も考えられない。

ハルの顔がみ、見れない。』

『ど、どうしよう。

タケゾウくんの顔が

み、見れない。』

お互いがそう思いながらも

ゆっくりと顔を上げた。












「…た、タケ…」

「は…」

その静寂を破るように

ガラガラと教室のドアが開く。










「 ゾウしゃん!!!」

「うあ!!」

「え?

ゾウしゃん?」

静寂をかき消したのは

ハルの甲高い声と

タケゾウの驚いた声と

サヤの疑問に満ちた声だった。

キヨトはサヤの後ろで

ペンキを持ちながら

首を傾げた。










「ゾウがどうしたの?」

間の抜けたキヨトの声が

最後に教室に響いたのであった。

読んでいただきありがとうございます。

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楽しんでいただければ幸いです。

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