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修学旅行といえばおあいこ

「タケゾー。

私…間違ってたかな?」

「間違いなはずないだろ。

サヤはサヤの思ったことしたんだから。

…その元気出せよ。」







サヤはタケゾウに連れられて

せんべいなどが売っている

露店エリアに来ていた。








「でも…嫌だったのかなって…。」

「まあ…動物が苦手なのかもな。

でも怒鳴ることはないだろ。

落ち込むなって。」

「ひぐ…。」

「おい。

泣くなよ。

なんか食うか?」

「…いらない…。」

サヤは手で目を隠した。

「…サヤ。」

「ひぐ…タケゾー…。

あれ。

タケゾーがかぶってくれたら

元気出るかも。」

サヤは手で目を隠しながら

的確に露店の商品を指差した。









「…あれって…鹿の角か?」

「うん。

鹿の角のカチューシャ。」

「いや…それとこれとは…」

「ひぐ…うぅ…」

「わかっ…わかったよ。

おじさん。

それください。」

「あいよ。」

タケゾウは仕方なく

鹿の角付きカチューシャを購入し

頭に付けた。








「こ、っこれでいいだろ。

もう泣くなよ。」

タケゾウは恥ずかしそうに

つけると、後ろにいるサヤの方を

振り返った。

すると、パシャっという音と

共に嘘のような光景がタケゾウの

目に飛び込んで来た。

「うん!」

サヤは今まで泣いてなかったかのように

ものすごい笑顔でタケゾウの

その姿をカメラに収めていた。










「サヤ…てめえ…騙したな!」

「え?

何のこと?

知らなーい。」

「この!

おじさんもう一つくれ。」

「あいよ。」

タケゾウは素早くおじさんに

もう一つ鹿の角付きカチューシャを

売ってもらうと

サヤの頭にポンっと付けた。









「ははは!

これでおあいこだ!」

タケゾウは勝ち誇ったようにサヤに言った。

サヤは頭を触り

カチューシャを確認しながら

タケゾウに背を向けた。








「あ、あれ?

サヤ?」

『まさか…怒ったか?』

タケゾウが恐る恐る聞くと

サヤはトレードマークのポニーテールを

揺らしながら振り返った。








「ふふふ。

おあいこね。

ありがと、タケゾー!」

サヤはそのカチューシャに手を添えながら

笑顔で振り返った。

雲が隠した太陽は

地上にあったようだ。







「お、おう…。」

タケゾウは自身の鼓動が速くなり

体温が上がるのを感じた。

太陽に照らされたからだろうか。

それは今の本人には

到底気付くことなど

できないだろう。







サヤはその後、とても機嫌がよくなり

まるでスキップでもしているかのように

タケゾウの横を歩いた。

タケゾウに聞こえないような

声で『おあいこ、おあいこ』

と呟きながら。








そしてタケゾウとサヤは

公園の出入り口に戻ってきた。

そこにはショウジロウが待っていた。








「サヤさっきは…

ごめんな怒鳴って。」

「あ、ううん。

私も少し考えて話せばよかったよね。

ごめんね。

気を取り直して次にいこ!」

「ああ。

わかった。

ところでそれは?」

「あ、これはタケゾーに買ってもらったの。

可愛いでしょ?」

「似合ってるよ。

二人ともね。」

ショウジロウはタケゾウのほうを

向いて、にっこりと笑った。

「別に似合ってないだろ。

サヤ、そろそろ外しても…」

「ダメ!

絶対ダメ!」

「はあ。

わかったよ。

ほら、次に行こう。」

「うん!

おあいこ!」

「わかったから!」

そう言いながら三人は歩き出そう

として時、ショウジロウは

『トイレに行きたいから少し待っててくれ』

と公園の方に戻っていった。












ショウジロウはトイレの個室に入った。

『ふ、二人で買って来たんだな。

サヤの機嫌も戻ってよかった。』

「ムカつく!

ムカつく!ムカつく!

ムカつく!ムカつく!ムカつく!」

ショウジロウは中に入ると洋式の便器目掛け

蹴りを何度も繰り返した。









「なんだよあれ!

姉弟のくせに!

お揃いなんて付けやがって!

サヤは俺の物だ!

今に見てろよ…タケゾウ!」

ショウジロウは便器にありったけの

怒りを排泄したが

気持ちは収まらず

笑顔ではあるが

少し不機嫌さを隠せないまま

タケゾウとサヤに合流した。








「お待たせ。」

「大丈夫だよ。

さ、いこいこ!」

「おいサヤ。

あんまりはしゃぐと転ぶぞ!」

「大丈夫!

ほら、タケゾー!

いこー!」

「わかったって。

引っ張るなよ。」

「…。」









こうして三人は少しギクシャクは

していたものの、自由行動を終え

宿に戻った。












「お、ショウジロウ。

どうだった自由行動?」

宿の部屋は大部屋で

クラスの男子を半々にして皆泊まっていた。








「ん?

普通。」

「ぷぷ。

普通なわけないでしょ。

あのサヤと周ってるんだ。

楽しいに決まってる。」

「僕もそう思うよ。

いいなショウジロウくん。」

いつもの三人がショウジロウに

話しかけてきた。









「修学旅行をサヤと周れるとか

本当に人生の幸せの一つといっても

過言ではないよな。」

「ぷぷ。

本当それ。

自由行動での買い物だったり

ご飯もそうだし

何かと触れ合えそうだよな。」

「あ、僕もそう思うよ。

それに…もしかしたら

ラッキースケベ的な何かとか。」

「くわー!!

それはやべぇな!

手が触れ合っただけでもやばい!」

「ぷぷ。

あのサヤと二人っきりになったりとか

それだけで心臓止まるかもしれないもんな!」

「あぁ…。

あの柔らかいだろう肌に

触れてみたい…」

「うるさい。」

「「「え?」」」

突如、声を発したショウジロウの発言に

その場の空気が凍った。









「どうしたんだよショウジロウ?」

「そうだよ。

最近ずっとじゃないか。」

「ぷぷ。

もしかして彼氏にでもなったつもり

なんじゃないかな?

ショウジロウ。

気付け。

班が一緒なだけで

ショウジロウは何も変わってないんだよ。」

「あはは。

もし彼氏気取りなら相当痛いぞ。

お前もしかして少し優しくされて

勘違いしてんのか?

中二病でも患ったか?」

「ぷぷぷ。

確かにここ最近中二病っぽいかも!」

「僕もそう思った。」

「「「あははは!」」」

「はぁ。

話すのも疲れるよ最底辺ども。

お前らこそ勘違いすんな。

俺が仕方なくお前らと

話してやってるんだよ。

それにサヤの彼氏には

もうなったようなもんだ。

まぁ、見とけよ。」

「「「は?」」」

ショウジロウはそう言うと

ゆっくりと立ち上がって

部屋を出て行った。









「な、なんだよあいつ…。

目、座ってたぞ。」

「こ、これは少し危ないんじゃ…。」

「僕もそう思う…。

タケゾウくんに伝えたほうが…。」

「そうだな。

なんかやばい顔してたしな。」

三人は同じ部屋にいた

タケゾウに話をしに行った。










「…。

なんだよ。」

「お、お前話せよ。」

「僕は僕じゃない方が

いいと思うけどな。」

「ぷぷ。

誰でもいいから…」

「おい。

もじもじしてんな。

話があるなら聞くから言ってくれ。」

「…ショウジロウが変だったんだ。

サヤは俺の彼女になったとか

なるとか言って部屋を出て言ったんだよね。

なんかまずい感じだったって言うか…。」

「ほんとか?

わかった。

ありがとな。」

タケゾウは話してくれた者の肩をポンと

叩くと、急ぎ部屋を出て行った。

「「「お、おう。」」」

「いや、話したの俺な。」

「「…。」」









「サヤ…。

電話してごめんな。

今日、本当ごめんな。

もしよかったら

今から少し話できないかな?」

「あ、う、うん。

気にしなくていいのに。

少しならいいよ。

じゃ少ししたらロビーでいい?」

「うん。

待ってるよ。」

ショウジロウは部屋を出て

サヤに携帯電話で

電話をした。

修学旅行では自由行動など

範囲の広い行動があるため

携帯電話の持ち込みが原則許可されていた。








「くそ!

通話中か!」

タケゾウは部屋を出て

すぐにサヤの携帯電話に電話をしたが

通話中のためサヤは出なかった。










『ショウジロウ…。

あいつ、何考えてるんだ。

あの三人が違和感感じたってことは

俺の違和感も思い込みとかじゃないんだろうな。

何もないとは思うけど…。

とにかくその場に俺も行かないと。』

タケゾウはとりあえず

女子の階に上がるものの

先生が椅子に座り見張りをしていたので

断念し、ロビーに向かった。









『くそ。

サヤのやつ連絡返せよな。』

タケゾウは少し息を切らしながら

ロビーに到着した。







『ここにもいない…。

まさか…外に出たのか?』

ロビーを見渡しても

生徒がちらほらいるが

サヤとショウジロウの姿は無かった。









「あれ?

どうしたんだそんな息切らして。」

「あ、キヨト。

サヤ見なかったか?」

「ああ。

それなら

結構前にショウジロウと

外に行くの見たよ。」

「ありがとう!」

「あ、ああ。

どうしたんだい…って

もう行ったか。」

タケゾウはキヨトの質問を

聞く間もなく

外に飛び出して行った。










「ここでどうかな?」

「うん。」

ショウジロウはサヤを外に連れ出し

旅館の裏のベンチがあるところに

来て腰をかけた。








「ショウジロウくん。

今日はごめんね。

それで話って…

ショウジロウくん?」

ショウジロウはベンチには腰掛けず

サヤの前に立っていた。

サヤは目の前に立つショウジロウ

の表情が街灯のせいで

逆光となり見えなかった。







そして夜の風が少し肌寒く

その場を吹き抜けていった。

街灯に後ろ姿を照らされた

その少年はその口を

ゆっくりと開き

言葉を発したのであった。















読んでいただきありがとうございます。

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楽しんでいただければ幸いです。

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