イライエのリオ
「ところで
なんて言って連れて来てたやつ
帰したんだ?」
「これから少し
男と用があると伝えたのだ。」
「はい?
そんなんで帰ったのか?
誰連れて来てたんだよ。」
タケゾウはどこから出たのか
変な声が出るほど驚き
そして呆れた様子で訪ねた。
「ヨシオカと兵士達を連れて来ていた。」
「キヨトか?」
「いや、父親の方だ。
兵士が…その変なやつでな。
何か気を使っているようだった。
ヨシオカ殿を連れて城に戻った。」
「その兵士何考えてんだ。
まあ、俺としてはありがたいが。」
二人はギルドを出て
人目を避けつつ進んだ。
「ところで自己紹介がまだだったな。
私はこのイライエの姫、リオだ。
歳は17歳だ。」
黒く美しい大きな瞳、そして黒い綺麗な長い髪。
その長い髪を横に一つにまとめ結っている。
白いローブを羽織り、腰には剣を装備している。
ローブの下に時折見える
白いドレスシャツに赤いハイウエストのスカート。
そのスカートがくびれを強調させ
ドレスシャツからは大きな胸の谷間がちらほらと
見え隠れしていた。
足元は黒いニーハイブーツを履いている。
「17!?」
「そうだ。」
「…そうか。」
『老けて見えるのかな…。
はぁ…何がいけないんだろ…。』
言葉とは裏腹に落ち込んだ顔を
しているリオ。
「実年齢よりは上に見えるな。」
タケゾウは思ったことを
そのまま口に出した。
「む…やはりそうか…。」
リオはさらに深く落ち込んだ。
「…てかその話し方…やめろよ。
ムカつくし。」
「む…そうはいかん。
私はイライエの姫なのだ。」
「それ、俺には関係なくね?
そもそもこの世界の者じゃないし。」
「た、確かにそれはそうだが…」
「それが老けて見える原因だろ。
てか、俺に対して偉そうにすんな。
殺すぞ。」
「ぐ…タケゾウの言う通りではある…。」
「めんどくせえな。
普通に話さないなら今殺す。」
「わ、わかったわ。
じゃ…普通に話すから…。」
「ああ。
そんで礼の件だが…なんで顔赤くしてんだ?」
「へ!?」
「まあ…いいか。
とりあえずどっか人があまり来ないとこはないのか?」
「あ、う、うん。
ある。
こっちに来て。」
『ふ、普通に話すの恥ずかしい!』
リオは顔を両手で多いながら
タケゾウの前を歩いた。
とても早く。
「ここなら大丈夫だと思う。」
「確かにこの時間は誰も来ないだろうな。」
そこは人気がなく少し寒気がする
墓地のある寺だった。
大きな墓地には
タケゾウの世界とよく似た
墓石がたくさん並んでいた。
その横にある寺の鐘のある
場所の階段に二人は腰をかけた。
「さて。
礼の件だけど、俺の質問に答えてくれ。」
「う、うん!」
「…おい。
まあ…いいか。
聞きたいことは山のようにあるが…。
まずはみんなの安否だ。」
「タケゾウの仲間のことね…。
言いにくいことだけど…。
その仲間の半数以上は…死んでしまった。」
「死んだ!?」
「うん。
戦場で命を落とした者、狩りにいって
命を落とした者、襲われて命を落とした者…。
たくさんのタケゾウの仲間が死んでしまったの。
今、生きているのは
ヨシオカ殿、サヤ、ユイ、ヒマリ、アオイ、ツムギ
ミオ、キヨト、ショウジロウ、ソウタ、ハルキ
コウタ、ケント、タクミ、タイチ、ユウマ…。
後はハルが…魔族に捕まっているの。」
「そ…んな。
モトカズは…」
「モトカズは襲われたの。
デンジと一緒に…。
目撃証言だと魔族にやられたらしいの。」
「そんなバカな!
魔族はそんなことはしない!」
「でも…私達はそう聞いている。
タケゾウ。
私達にとって魔族はどうしても敵なの。
私から父を奪い、仲間を奪い…。
城は見た?
魔王と龍人が突如攻め込んできたの。
始めは二人で。
その後、増援が到着して…。
たくさんの被害が出たんだ。
あれは…許せることじゃない。」
リオは拳をギュっと握り
唇を噛み締めた。
「ルーナ…マルース…。」
「そして戦争になった。
カエルスが大きく介入し始めて
今は膠着状態だけど
小競り合いみたいなのは
よく起きてるの。」
「…。」
「カエルスは結構暴れ放題って感じの
集まりだったんだけど
最近は統率が取れてて…。
世界が均衡を保ってるのも
その力が大きいかな。」
「 …。」
「何がしたいんだ…。」
「…。
私は平和にしたい。
民が笑って暮らせる世界になってほしい。」
「それなら話し合いすればいいだろ。」
「その通りね。
けど…もう血が流れすぎたの。
この戦争はどちらかが
滅ぶまで続くわ。
魔族側がどう思っているか
わからないけど…少なからず
人族の王はそう思ってるわ。」
「ぐ…。」
重苦しい雰囲気が
その場に立ち込めた。
場所が場所なだけに
とても嫌な空気感だ。
「ふう…。
血が流れたならそう…なるよな。 」
『落ち着け。
ここでまた頭に血登らせてたら
今までとなんもかわんねえ。』
「じゃ次だ。
魔族と人族の会談のことはなんて聞いてる?
その場にいたか?」
「その場にはいなかったわ。
魔王が協定を破り
私の父を殺した。
なんとか相打ちで被害を最小限に留めた
って聞いてる。」
「俺は人族の王が協定を破って
魔王に襲いかかったと聞いてる。
魔王が相打ちで騒ぎを止めて
王の乱心とか言って人族に戦争の意思はない
って聞いてる。」
「そんなはずない!
父がそんなことするはずない!」
「そうだよな。」
「え?」
「俺も今の魔王が理由も無く
モトカズとかデンジを襲わせるとは
到底思えない。
今回の二人でイライエを襲った件は
俺を探してのことなんだろうけどな。
それはなぜか知ってるか?」
「それは魔王が好機だと思って…」
「どう考えても違うだろ。
二人で攻めるとか
頭イかれてるだろうが。
お前ら人族が
時空扉とかっての使って
俺たちを襲って
そんで俺がいなくなったのが原因だ。
アドアリスが帰ってこなかったのは
その時空扉ってのが
不安定だったからだろうな。
そのせいで
俺たちは幻想の森を彷徨うことになった。
そもそもの火種はお前らだ。」
「そ、そんな…私何にも聞いてない…。」
「じゃ次だ。
太陽の神はどんなやつだ?
最近変わったところはないか?」
「変わったこと…はないよ。
太陽の神は民を愛し
民にも慕われているもん。
今回の襲撃でも
体を張ってみんなを守ってくれたし。
小人族との同盟を
結んで来てくれたのも
神だって聞いてる。
明るくて本当に太陽みたいな人だよ。
同盟のことも襲撃されたことも
本当に迅速に対応してくれたもん。」
「…俺が想像してる人物とは
まったく別人みてーだな。」
『迅速な対応…ね。』
タケゾウは少し状況を整理し始めた。
『事実だけを抜粋しよう。
太陽の神は白髪野郎に力を借りて
みんなを召喚した。
モトカズとデンジは殺された。
それに他の召喚された奴らも
生きてない。
人族と魔族の王は会談の場で死んだ。
それで互いが怨んでいる状況。
そこで俺の失踪という形から
大規模な戦争に突入。
白髪野郎が絡んでるのは間違いないとして
太陽の神は何が目的だ?
サクヤから聞いた話と約束だと
太陽の神が戦争を起こしたはずだ。
俺から見える状況では
いつでも人族が原因に思える。
リオのほうから見ればその逆か。
アドアリス達が来た時も
話だけ聞いていると
完全に太陽の神が
あいつらのこと
洗脳に近い何かしてるとしか思えない。
サヤが俺の話を聞かなかったんだしな。
会談の件ももしかしたら洗脳…。
そんな魔法はないんじゃねえか。
体質得意?』
「タケゾウ?」
真剣に考え込むタケゾウの顔をリオが
心配そうに覗き込んだ。
「この世界に精神支配をする魔法
ってあったりするのか?」
「ないと思うけど?」
「そう…か。
やっぱないか。
…あ?」
タケゾウは立ち上がり
刀を抜いた。
「おいリオ。
俺のこと騙したのか?」
「え!?
タケゾウどういう…」
「…。
はあ。」
タケゾウはリオに切っ先を向けた。
その瞬間、暗闇から四人の人影が
四方から飛び出した。
「リオ。
騙したのか。」
「騙してない!」
「おい貴様!
姫様に手を出すな!」
「うるせえな。
お前には聞いてないんだよ。」
「あらあら。
随分と変わったのね。
それにこの人にそんな口を聞いていいのかしら?」
「その話し方…お前あん時の。」
四人はローブのフードを取った。
「み、みんな!
どうして…?」
「せ、先生!」
タケゾウはフードを取った。
「先生!
俺だ!
タケゾウだよ!」
「…タケゾウくんだったのか。
今は君の声に耳を貸せない。
私は君をここで捕らえる!」
ヨシオカはタケゾウに剣を向け
そして四方から一気にタケゾウに斬りかかった。
タケゾウはいち早く
その場から飛び退いた。
「先生…。
あんたもか。」
「姫様ご無事ですか?」
兵士の二人が姫を背後に置き
タケゾウに向け剣を構える。
そしてヨシオカともう一人がさらに前に立ち
タケゾウに向け剣を構えた。
「おいババア。
何がしてえんだお前ら。」
「あらあら。
ヨシオカ先生。
教育がなってないんじゃないかしら?」
「…。
タケゾウくん。
一つだけ聞きたい。」
「なんだよ先生?」
「君は魔族の仲間なのかい?」
「…それを聞いてどうする?」
「…魔族の仲間だと言うのなら…。
君のことをここで斬って捨てる。」
「…デンジのことか?」
「そうだ!
さぁ!
どうなんだ!
はっきりしろ!」
「あらあら。
先生。
タケゾウくんは捕獲と決まっているんですよ?」
「おい!
答えろ!」
「あらあら。」
「先生…。
あんたも…。」
タケゾウは少しうつむき考えた。
『きっとキヨトが言ってるだろうな…。
戦わない…とはいかないか。』
「先生。
手加減してやるから
かかってこいよ。」
「舐めた態度を取るな!
裏切り者め!!」
ヨシオカはタケゾウ目掛け
一直線に斬りかかった。
再開した先生との決闘が始まった。
読んでいただきありがとうございます。
ブックマーク、評価お願いします。
GWはどうお過ごしですか?
私は連日の仕事で
体調不良です笑
皆様もお体にお気をつけて
残りのお休みもお仕事も頑張ってください。
そんな合間に楽しんでいただければ幸いです。




