王城
『で…でけえ…。』
タケゾウは賑わいを背に歩き始め
どんどんと街の中心を目指した。
そして大きな川のような外堀の奥にある
城を発見した。
巨大な城壁から少し頭を出しているその城は
おそらく修繕の途中だった。
というのも目に見える城壁の一部は欠損
その近くには足場のようなものが建ち
夜だというのに
作業しているものがいる。
その川のような外堀は城を一周しているようで
城に行くには大きな橋を渡るしかなかったが
そこには複数の兵士が待機していた。
『この橋は無理…だな。
というより橋が数本あると仮定して
全部兵士いるだろうな。
うーん…。
騒ぎになるのは困る。
となると城に入るのは無理か。
とりあえず周りを少し見てみるか。』
タケゾウは大きな外堀を一周することにした。
『走らないとダメかな?
デカすぎる。』
あまりにも大きな城のせいで
一周するのも大変だろうと
タケゾウは少し駆け足で
外堀に沿って走り始めた。
ちょうどタケゾウのいた場所の裏側に
差し掛かりタケゾウの元いた場所とは
別の光景が飛び込んできた。
『な…なんだこれ…。』
そこの城壁は完全に崩壊し
城は修繕中だった。
『城壁をこんなどデカく壊すなんて
まるで巨人でも歩いた後みてえだ。』
そして街にも被害があったのか
そこから目に見える建物は
修繕中、あるいは更地のような物になっていた。
『夜だってのに
作業してるんだな…。
かなりの被害だったんだろう…。
ってことは魔族はここから襲撃したのか…。
何にしても城に今入るのは難しいか。』
タケゾウは城に入ることは諦め
まずは宿周辺で情報収集することにした。
『情報といえば酒場っていう勝手なイメージは
あるが…酒場に行って追い出される可能性のが
高いからな…。
となると飯をメインにしてそうなとこで
兵士とかがいそうな…
あ、あの辺の出店良さそうだな。』
タケゾウはウロウロしなが店を物色し
良さそうな出店を見つけ
そこで聞き耳をたてることにした。
『…。』
タケゾウは適当に料理と飲み物を頼み
聞き耳をたて時間を過ごした。
嫁さんの愚痴や仕事への不満
上司の悪口など
色々なものが聞こえてくる中
タケゾウにとって興味深い話も
聞こえてきた。
「あー。
あいつら頑張ってるよな。
特にあの女。
元から剣の扱いがうまかったしな。」
「ああ。
俺も何度か助けられたよ。
それにあの長い刀の男。」
「ああ。
あの坊主は…最初はダメだろって
思ったんだけどな。
今じゃあの中で一番強いからな。
それに魔法も一番ってんだから
恐れ入ったよ。」
「自分と同じくらいの剣をよくもまあ
あんな自在に操るもんだよな。
はははは。」
「ちげーねぇ。
背、低いもんな。
ははははは。」
「召喚された時は
あんなに皆オドオドしてたのにな。
あの事件後は皆
目の色変えて頑張ってるよな。」
「そりゃあれだけ友が死んだんだ。
頑張る他ねえだろ。」
「バカ!
あんま大きな声で言うな。
一応これは機密事項なんだろ?」
「そういやそうか。
っても聞いた噂程度しか
知らねえんだし
大丈夫だろ。」
「それは…ま、そうか。
…大変だろうなあいつら。
いきなり知らない所に無理やり召喚されて
友が死んだんだ。
これからも俺たちができることはしてやろうぜ!」
「ああ!
勇者万歳!」
『…死んだ?
死んだって誰が?
…モトカズ…まさかほんとに…。』
タケゾウはその話を聴きながら
拳を握り締めて片方の手の平で
グっと包んでいた。
『落ち着け…。
まだサヤ達のことを話してると
決まったわけじゃねえ。
…でも…。』
拭えない心当たりがタケゾウにはあった。
『次の店に行くか。
焦っても仕方ねえし。』
タケゾウは何とか自身を落ち着かせ
また店を探し始めた。
その後、何件か入ってみたが
あまり有益な情報は手に入らなかった。
『ま、一日目はこんなもん…。
最後にギルドにでも行くか。』
タケゾウはギルドへと足を運んだ。
中に入ると広間には意外にも結構な
人がいた。
皆、飯を食い、酒を飲んでいるようだ。
『結構人がいるな。
まあ、好都合っちゃ好都合か。』
タケゾウはフードを深くかぶると
そのまま掲示板の前にいった。
『さすがに飯はもういらないし…。
なんか依頼を受けておくか。
ってもあんま出てないな。
カウンターに言って聞いてみるか。』
タケゾウはカウンターに向かった。
そこには先客がいたので後ろで待った。
「すまない。
本日、モーティアを大量に捕らえてきた者に
伝言を頼みたいのだが。」
「あ、ひ、ひ!」
「しー!
皆に聞こえるではないか馬鹿者!」
「す、すいません。
承知しました。
どのようなご伝言でしょう?」
前にいる者はどこか聞いたことのある声をしていた。
『ひ、ひ?
もしかして…。
めんどうだから逃げるか。』
タケゾウはその後ろに並んでいたのだが
さりげなく後ろを離れ、歩き出した。
「あ、お兄さん。
こっちで用件聞きますよ?」
カウンターの奥にもう一人いたようで
その男がタケゾウに声をかけてきた。
『ぐ…さすがにこのまま出れば
不自然だ。
仕方ないか。』
「あ、遅くにすまん。
依頼を受けたいのだが…」
タケゾウは言っていて気が付いた。
依頼を受けるときは
タグを見せるはずだった。
「なるほど。
どんな依頼がいいですか?」
カウンターの男はまだ貼られていない
だろう依頼の用紙を数枚取り出した。
「薬草採取に…光晶石収集…魔物討伐に
あと畑の手伝いもありますね。
どうしますか?」
「じゃ…魔物…討伐。」
「はい。
わかりました。
ではこれどうぞ。」
男はそう言うと
ハンコを押し依頼書をタケゾウに渡した。
「ああ。
ありがとう。」
『よかった。
これなら気付かれて…』
タケゾウは安堵し
なんとなくその者がいる方を向いてしまった。
「あ!」
「あ…。」
「聞いたことある声だと思った!」
思った以上に近くで
タケゾウのことを見ていたその者と
タケゾウは目が合ってしまった。
タケゾウは見ていないと自分に言い聞かせ
反転し、歩き出した。
その際、フードを掴まれ
顔があらわになってしまった。
「なぜ逃げる。」
「あ…いや…別に逃げてない。」
「あれ?
あなたはモーティアを一人で捕まえた
確かタケゾウさんですよね?」
「あ!
その人です!」
「あ…。」
「何!
そうだったのか…。
優秀な人材と思い勧誘に来たが…。
そうはいかないな。
そうだタケゾウ。
この前言っていた礼の件
もしよければ…」
「いらん!
とにかく俺はもう行く。
また今度な。」
タケゾウは掴まれていたフードを
無理矢理引っ張った。
「そうか。
それでは仕方ないな。
ただ…外にいる者は私ほど
簡単には諦めることはないぞ?」
「は?
誰か連れて来てんのか?
おい。
裏口はどこだ?」
「一応従業員口がこっちに。」
男はそう言うとカウンターの奥を指差した。
「そうか。
じゃ俺はそっちから出る。
てか俺のことみんなには言ってないのか?」
「言っていない。
今は誰とも関わりたくないのだろう?」
「それがわかってるなら
声かけるなよ。
…けどま…ありがとな。
じゃあな。」
タケゾウはカウンターをヒョイっと飛び越えると
そのまま従業員口に向かった。
『誰がいたんだろうな。
ま…何にしても今は俺の言うこと
聞くやつなんていないだろうし。
…待てよ。
あいつ俺のこと話してないのか…。
となると、あいつに色々聞く方が
早いんじゃねえか?』
タケゾウはノブに手をかけて
いたが、ドアは開けず
そのままカウンターに戻った。
「おい。」
「あれ?
さっきまたなって…。
おほん!
なんだ?
何か用なのか?」
「さっき言ってた礼の件だけど
今でもいいのか?」
「それは構わない。
今日と明日は城でやることが
あるのでな。
ここに残る予定だ。」
「そうか。
じゃ礼を頼むわ。」
「おお!
そうか!
ではタケゾウ。
外の者に伝えてくるので少し待て。」
「ああ。」
その女は外に出て数分し
戻ってきた。
「では、行こう。」
「ああ。
一応、従業員口から頼む。」
「わかった。」
タケゾウと女は
従業員口から外に出たのであった。
読んでいただきありがとうございます。
ブックマーク、評価お願いします。
現在、出張先で書いています…。
ゴールデンウィークが欲しい…。
皆さんのゴールデンウィークは楽しいものに
なることを祈っています。
まだ続きますのでよろしければ
最後までお付き合いお願いします。




