お茶会
「とまあ…よくわかんねーことだらけだから
質問してもいいか?」
タケゾウはこのよくわからない状況は
ひとまず置いておいて
この者達の見た目について切り出した。
「うん。
うちのことなら何でも聞いて。」
「ヘルはエルフなのか?」
「うちはエルフが半分で
もう半分は…
簡単に言うと悪魔とかそんなところかな。」
「悪魔?
そんなもんが存在するんだな。
さっきのリルとかガルドってやつもか?」
「うん。
昔、現在の王と
うちの父は時期国王と呼ばれる存在だった。
けれど、王は一人。
うちの父は負けた。
まぁ、愛した女を間違えたのが原因だけど。
それが母。
それで追放され、うちらが産まれた。
悪魔とエルフのハーフ。
ハーフエルフなんて言ったりする人もいるらしいよ。
リルは狼、ガルドは蛇、そしてうちは悪魔。
皆それぞれが別の力を持って産まれた。
もちろん魔法も使えるんだ。
父の派閥にいた者も獣人と交わり
たくさんの者が産まれた。
それがここエリューズの館の没落エルフ達。」
「なるほどな。
ん…ってことは地下の牢屋の骨はもしかして…」
「そうだよ。
あれはうちとガルドとリルの両親。
なんて言うか…殺しちゃった。」
ヘルはタケゾウにテヘっと可愛らしく笑いかけた。
「殺しちゃったって…なんか話が食い違ってるな。
俺が聞いたのは確か
リルが言ういことを聞かないから
家族を人質にして
しっかり言うことを聞くように
躾けたって。
それでうっかり家族に食事を与えるのを
忘れてしまったとかなんとか言ってたな。
死んでしまった後、壊れちゃって。
仕方なく首輪をつけて
生かしてやってるとも言ってたな。」
「それは違うよ。
ラティには元々そう話してたけど
両親を殺しちゃったのはうち。
それでその間にいた子を殺したのはリル。
リルは…自分の力の制御ができなくて。
それで友達を殺してしまって
手に余る感じだったから
両親が殺そうとしたのを
うちがこの目で殺しちゃった。
それでリルはさらにおかしくなって
今に至るって感じ。
あ、ちなみに友達を殺したのも
うちってことにしたから
なんか怨まれちゃった。
でもその友達が死んだのも
そもそもその子が悪いんだけどね。
リルが殺さなくてもうちかガルドが
殺してただろうし。
くすくす。
それで鎖に繋がないと
本当暴れ放題しちゃうから大変。
でも…いつか大人になったら
少しは分かり合えるって
うちは思ってるから
色んな人に触れ合えるように
ラティにつけてたんだー。
だけどラティったら調子に乗りやすいから
色々任せたら
さらに調子乗るし…
今回のことで少しよくならないかな。」
「へえ…。
ま、だいたいわかったわ。
つまり家族想いのいい姉ってとこか。」
タケゾウがそう言ったところで
グレトがお茶とラティを連れてきた。
そこにリルとガルドもやってきた。
「ラティ。
無様だっだね。
その腕は当分戒めとして
そのままで生活してね。」
「そ、そんな…。」
「ありゃ。
ラティ。
残念だったな。
見る目を養うのも商売する上で
大切なことだ。
いい経験だと思えばいい。」
「…。」
ガルドはラティの背中を軽くパンパンと叩き
ラティはトホホと顔を伏せた。
その光景を何も言わずリルが見ていた。
「ガルド様の言う通り。
ラティは少し大切調子に乗りやすいので
反省したほうがいいと思います。」
「皆の言う通り。
簡単に調子に乗るからいけないんだよ。」
「ひ、ひどいですよ。
べ、別にそんな調子になんて乗ってないですよ!」
「くすくす。
あ、そういえば皆に紹介が
まだだったね。
タケゾウとその仲間達。
うちのダーリンになる人だよ。
皆仲良くね。」
ヘルは皆にシレっとタケゾウの紹介をした。
「誰がなるかー!」
もちろんのようにタケゾウが思い切りツッコミをいれた。
「うちの目を見ても壊れなかったんだー。
すごくない?
ねぇ?
すごくない?」
ヘルは自身の眼帯をしている目を指差しながた
まるで自分のことを自慢するように
周りにいる者に言った。
「そりゃすげーわ。
タケゾウあんたすげーよ。
この目見ても死なねぇなんて
並みじゃねーな。」
「そ、それは確かに…。
腕だけで済んで良かったと言うべきもしれないです。」
「本当なのですか?
事実なら大変なことですね。」
「……。」
「おい。
勝手に盛り上がってんじゃねーよ。
誰がダーリンだ。
そもそも別に目が合ったくらいで
死んだり壊れたりしてたまるかよ。
あんなもん地獄でもなんでもねーわ。
つーか綺麗な瞳すらあったぞ。」
「え!?
瞳まで見たのに生きてんのかあんた!?
こりゃたまげたね。
俺ですら見たことねぇよ。
あんた俺らの仲間になれよ。
あんたなら良いお婿さんになれそうだ。」
「なるかー!!
どうなればそんなもんになるんだよ!
変な当て字するんじゃねー!!」
「あ!
うち、嫁ぐのも可。」
「いやいや。
どっちの家に行くかみたいな会話してる
わけじゃねーからな!
そもそもまず付き合ってないし。
結婚もしない!」
「なるほどー。
じゃうちと付き合って!」
「付き合わない!」
「タケゾウの彼女になりたーい!」
そう言って駄々をこね、口を尖らせ
タケゾウに迫るヘルを
皆が笑って見ていた。
タケゾウは迫るヘルから逃げながら
部屋をぐるぐると走っていた。
そんな光景を見て
ジュジュは思い切り拍子抜けしていた。
カリストに聞いた話とは別の光景が
その視界に映っていたからだ。
「カリスト。
拍子抜けしましたわ。」
「…そう…ですね。」
カリスト本人もかなり拍子抜けした様子だ。
「こりゃ気分がいいわ。
あんたみたいなのもいるんだな。」
「はぁはぁ…ん?
何がだ?
うわ!」
「捕まえたー。
これでうちはタケゾウの彼女ー!」
ガルドの話に耳を傾けた途端
タケゾウはヘルに捕まった。
背に背負うような形で
軽く首が絞まった。
「ぐ…くるじい…。」
「はははは。
本当に楽しいやつだな。
…俺たち…特にヘルかな。
産まれた頃から悪魔だなんだと
言われて育ったからな。
生活するのにやっぱ街に行ったりはすんだよ。
そこでよ。
やっぱ悪魔の子だのなんだの言われてよ。
そりゃひでぇわってくらいの差別もあったのよ。
どうしてもな…。
その…。
怨んだり、憎んだりはしちまうわけよ。
命ってものの価値ってのが
その当時の俺達にはすごく薄くてな。
そんですぐ殺して
さらに差別されるわけ。
ま、今ならそれが当たり前なのが
わかるけどな。
けどあんた…タケゾウみたいに
初対面でも分け隔てなく
接してくれるやつもいるのかと思うとよ。
どうでもいいと思ったこの世界も
悪くねーのかなって思うんだわ。
なぁ。
俺たちの仲間になれよ。
あんたもあれだろ?
奪われて壊されて大切なもん失って
それでも前に進んだ側だろ?
そっちの嬢ちゃんもなかなか良いもん
持ってそうだが、まだ足りない。
危なっかしい程度だ。
あんたのそれとは比べものにならないわ。」
「おいおい。
お前に俺の何がわかるんだよ。
つーか苦しい!
いい加減離れろ!」
「やだよー!」
「わかるさ。
その目は死や地獄なんて
まるで甘い程の何かをくぐった奴の目だ。
ヘルの目を見て壊れなかったのも頷ける。
あんた、壊れた経験したの
一度や二度じゃないだろ?」
「…お前に言われたくねーわ蛇目野郎。
俺の目のほうが何倍も清らかだっつーの。」
「はは。
そりゃ確かにこの目に比べたら
不気味じゃねーわな。
はははは。」
「ったく。
買いかぶりすぎだ。
この女だって結構大変な目にあってんだぞ?
それでも前に進もうとしてんだ。
あんまり怒らすと殺されるぞ?」
「タケゾウ!
そんなことしないですわ!」
「ははは。
こりゃ怒らせないようにしないとな。」
「だからそんなことしないですわ!」
「つーか本当離れろこら!」
「嫌だって言ってるじゃん!」
その場にいるものが皆、笑顔で会話をした。
まるで戦ったことなどなかったかのように。
そしてようやくタケゾウはヘルを
引き剥がすことに成功した。
「はぁはぁ。
…ところでなんで奴隷市なんてやってんだ?」
「あー。
それはね…。」
「ヘル様。
それはさすがに…。」
「ラティ。
いいじゃねーか。
仲間になってくれって言ってるんだ。
隠し事はしないほうがいいさ。」
「そうですかね…。
ですがガルド様。
話が外に広まったら…。」
「別に秘密ならそれでいいぞ?
そこまで興味ねえから。」
「おいー!
あんたから聞いてきたんでしょうが!」
「まぁまぁ。
ラティ落ち着いて。
うちらが奴隷市してるのは
父のやっていたことを引き継いで
やっているんだけど
今の目的は
以前のそれとは全く別のために
やってるんだ。」
「そうそう。
昔の…親父がやってたときの
奴隷市はここまで規模を大きくやってなかったんだ。
本当に奴隷として
人を売ってたからな。」
「うん。
うちに変わってからはそういうのは
やめることにしたの。」
「なんでだ?」
「え?
それは…」
ヘルが話の続きをしようと
した時に部屋に数人の奴隷
が入ってきた。
「ヘル様。
お話中すいません。
今日は店じまいしても大丈夫ですか?」
「あ、いいよー。
皆にもご飯食べててって言っといて。」
「わかりました。
すいません失礼しました。」
そう言うと奴隷達は部屋を出て行った。
「…え?
あれはどういうことですの?」
「ありゃ見たまんまさ。
ここに本当の意味の奴隷なんていないってこと。」
「え!
そうなんですの!?」
「うん。
うち、そういうの嫌いだからさ。」
「全然意味わかんねーぞ?」
「ふふ。
じゃタケゾウ。
よかったらうちらと食事でもどう?」
「ん?
ああ。」
タケゾウとジュジュとカリストは疑問を
残したまま、ヘル達についていき
食事をすることにした。
読んでいただきありがとうございます。
見切り発車の怖さを痛感してます。笑
今後も更新は遅いと思いますがどうか
お付き合いいただければ幸いです。
よろしくお願いします。




