大乱闘、エルフ風な奴らと人
「っとその前に…。」
タケゾウは庭に鎖で繋がれた者達の
鎖を壊し始めた。
「てめぇ!
何してんだ!!」
「は?
お前、商品管理くらいしろよ。
この状態の庭で俺やお前が暴れたら
こいつら死ぬぞ?」
「ぐ…おい!
誰かいねーのか!」
「へ、へい!」
「こいつらの鎖取って
どっかに寄せとけ!」
「へ、へい!」
タケゾウを案内した金髪の男が隠れていたようで
そいつがどんどん鎖を外し
奴隷達は庭の隅に避難した。
「さて、これでいいだろ。
じゃお二人さん。
かかってこいよ。」
「何から何までナメやがって…
てめぇ…生きて帰れると思うなよ!!!」
「御託はいいから早く来いよ。
それともビビって何もできないのか?」
「ぐふふ…じゃお望み通り殺してやるよ!!」
エルフ風の男は地をえぐりその場からタケゾウに
一直線で向かっていった。
そして横殴りに腕をタケゾウにぶち当てた。
タケゾウは腕でとりあえず受けてみたのだが…。
『げ…思った以上に…強えな…』
タケゾウは完全にナメていた。
まずいと判断し、その勢いのまま横に
自分から飛んだ。
だが、エルフ風の男の腕の勢いが
さらに追い打ちをかける形となり
タケゾウは思った以上に
飛ばされてしまった。
「ふーん。
結構やるじゃ…」
そう言おうとしたその時、次は子供がタケゾウに
襲いかかった。
鋭い爪がタケゾウが出した腕を貫いた。
「ぐ!」
タケゾウは子供を蹴り飛ばすと
自動再生が素早く体を再生した。
『思った以上だな。
子供のほうが速さは上かな。
けど、あの男
思った以上の腕力だな。』
「結構やるじゃんお二人さん。
んじゃま、次は俺が…っと!」
タケゾウが刀を抜き、構えようとした
その視界の端から
何かが飛んできたので
タケゾウは抜いた刀でそのまま防御した。
ギリギリと音を立て
刀と交わったそれは
子供の爪だった。
もはやナイフと言っても過言ではない
その鋭利な爪は
刀すら凌ぐほどの切れ味がありそうだ。
「おいガキ!
そんなに慌てん…な!!」
タケゾウは刀でなんとか子供の一撃を押し返した。
そこに間髪入れず
エルフ風の男が顔を狙い
蹴りが放ってきた。
タケゾウはそれをしゃがんでかわすと
そのままエルフ風の男に
斜め上げの斬撃を放つも
エルフ風の男はしなやかにそれをかわした。
そこにまた間髪入れずタケゾウの背後から
子供の鋭い爪が襲いかかった。
タケゾウはそれをしゃがんだ体制からバク宙で
かわし背後に回り
横払い一撃、子供に放ったが疾風のごとく
子供は視界から消えていた。
息もつかせないほどの攻防だった。
「ったく。
せっかちだなお前ら。
仕切り直しといくか。」
タケゾウは円を今できる最大限に高めた。
タケゾウの周りにはたくさんの魔力が具現化しては
吸い込まれるようにタケゾウに入っていった。
そしてこの攻防はあっけなく終わりを告げた。
「お前な。
頭に血がのぼって考えてなかったみたいだけどさ。
月の魔法が使えた時点で加護魔法も使えるかもとか
思わなかった?」
「ぐ…きゃぁああぁあぁああ!!!」
エルフ風の男はタケゾウの魔力の具現化を
見て、危険があると判断し
襲いかかったのだが、タケゾウの反射の魔法により
簡単に弾き飛ばされてしまった。
そしてタケゾウはその機を逃すことなく
エルフ風の男の肩を刀で貫き
そのまま、地面に押し倒した。
子供はタケゾウの雰囲気に直感的に
危険を察知し、距離を取っていた。
それもそうだろう。
この世界では魔法は目に見えても
魔力が目に見えることなどないのだから。
「ぐぎゃぁああ!!」
「はぁ。
うるさい。」
タケゾウはその空いた口にかかとを突っ込んだ。
歯が折れる感触がタケゾウに伝わる。
そしてタケゾウは
刺した刀を思い切り引き抜くと
今度は足に突き刺した。
そしてまた引き抜くと
次は腹、腕、逆の肩、手のひら、逆の足と
どんどん刺していった。
エルフ風の男はタケゾウの足を掴むと
その強靭な握力でタケゾウの
足の骨を砕いた。
だが、タケゾウの足は自動再生に
よってあっという間に治ってしまった。
刺される激痛をなんとかしようと
今度はその爪を伸ばし、タケゾウの足を
斬り落とそうとしたが、力の入らない体制から
放たれたその攻撃は簡単にタケゾウに
刀で防がれてしまった。
「おいおい。
こんなもんかよ?
お前強いんだろ?
このままじゃ俺に殺されるぞ?
いいのか?」
「うぅぅう!!ふぐぅう!!」
エルフ風の男はタケゾウの足を両手で掴むと
また骨を砕いたが、またあっという間にに
治ってしまった。
「はぁ。
俺は…他に何かねえのかって
言ってんだよ。」
タケゾウはそう言うと
振り上げた刀で片方の腕を簡単に
斬り落とした。
「ふぎゃゆうぅうぅうう!!!」
エルフ風の男の叫び声が
口の中に押し込められながら響く。
「だから。
なんかねえのかって!
おい!
お前強いんだろ?
強いことでここで偉そうにして
色んなもん奪っては壊してたんだろ!?
俺のこと殺してみろよ!!
ああ”!!」
突然叫び声を上げたタケゾウを
足の裏ごしに見上げたエルフ風の男。
その目は完全に人のそれではなかった。
奪う側から奪われる側に
自分の立場が変わっていることを
初めてここで認識したのだった。
エルフ風の男の目から涙が溢れた。
もごもごと命乞いのようなことを始めた。
『死にたくない』『助けてくれ』
そんなありきたりな言葉が
タケゾウの足から振動となって
タケゾウの脳に届いた。
「お前はこれまでその言葉を
一回でも…ただの一度でも聞いたのかよ?
誰だって大切なもんがあるんだ。
お前はそれを考えたことあんのか?
ああ…おい…答えろよ…。
答えろって言ってんだろ!!」
タケゾウは男の顔のすぐ横に刀を突き刺した。
悪魔の目で覗かれたエルフ風の男は
心臓を鷲掴みにされたように
息を止め、恐怖を全身で感じた。
「うちの館、エリューズにようこそ。
ところでそれは何ていう遊び?」
タケゾウに一人の女が声をかけてきた。
子供がものすごい勢いで距離を取り
全力の警戒をその女に向けている。
女はこの男と同じで
エルフのようにしか見えない。
黒いまるでタケゾウの世界のゴスロリのような
ワンピースに革ジャンを羽織っている。
腰元にはベルトとともに
小刀程度のナイフが何本か据えられている。
髪は美しい金髪で手入れが行き届いているように見える。
おそらく長いその髪を綺麗に二つに結っている。
前髪は綺麗に揃えられており
そこから覗く片方の目には眼帯をしていた。
背はそれほど大きくない。
妖艶とも違った
何やら危険な香りを醸し出すその女には
綺麗な花には棘がある
という言葉がぴったりだ。
「やっぱり親玉がいたのか。
この使えない奴だけで
こんなことしてるわけねーもんな。」
「使えないとか失礼な人。
本当のことは心でしか言っちゃダメだと
誰かに習わなかった?
ところであなたは誰?」
女はそう言うと一足飛びで
あっという間にタケゾウの間合いに
踏み入った。
『こいつ!!
いつの間に!』
タケゾウは突如間合いに入られ
構えることしかできなかった。
「もう。
うちびっくりしたよ?
いきなりひどいね。
ねぇ?
ガキンチョ?」
そこに子供が女の顔面目掛け
殴りかかった。
それを女は見もせずに手のひらで
鷲掴みにすると
子供の方を向いて微笑んだ。
「おらぁあ!」
そこに間髪入れず、タケゾウが
構えた刀を振り下ろした。
それを女は親指と人差し指で掴むと
そのまま、タケゾウごと
投げ飛ばした。
タケゾウは空中でヒラリと
体制を整えると
着地とともに、全速力で斬りかかった。
そこに女は捕まえていた子供を
勢いよく投げ飛ばした。
「ぐ!
あぶね!」
タケゾウは子供も抱きとめるように
受け止めると、そのままカウンターを
もらったように
力が働いている方とは逆の方に
吹き飛ばされた。
「二人とも。
とてもせっかちね。
今、ここで争うつもりなんてないのに。
とりあえず『これ』は返してもらいますよ。」
女がそう言うと
木の化け物が地中より現れ
横たわっていたエルフ風の男を
屋敷の中に運ばせた。
「ぐ…いてて…おいガキ!
大丈夫か?」
タケゾウは子供に声をかけたが
子供は震え、タケゾウの腹の上で振り返り
女を睨みつけていた。
「そんな目をしたって
うちの優位は変わらないよ?」
「…まあ、確かにな。
お前のが強いかもしれねーな。
けどな…。」
タケゾウは子供を地に降ろし
ゆっくりと立ち上がった。
そして微笑む女に
ニヤリと笑い
刀を構えた。
「俺のほうが強えかもしんねーぞ?」
女はとても驚いた様子で
タケゾウを見た。
そしてクスリと笑い
タケゾウを見つめた。
「ふふ。
あなたとてもかっこいいね。
惚れてしまいそう。」
わざとらしく、頬に手を当て
とろけるような眼つきで
タケゾウを見つめる女。
「んじゃま、惚れてもらうとするか。
惚れる前に、死ぬなよ?」
「うふふふ。
あははは。
うち、面白い人好き。
じゃ、熱烈な求愛をしてね。」
お互いが力強く地を蹴り
とてつもない衝撃波とともに激突した。
お久しぶりです。。。
詰まってしまってなかなか投稿できませんでした。
すいません。
ようやく希望が見えたので投稿です。
楽しんでいただければ幸いです。




