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獣人の国の王都

「そういえば少しくらいは

上達したんですの?」

二人は出発し、森を進んでいた。

ギシギシと雪を踏みつけながら

ゆっくりと街に向かった。




「ん?魔法か?

実は全然うまくいかないんだよな。

ところで木の魔法で

木の何かを作る以外に

何が出来んの?」

タケゾウは白い息を吐きながら

ジュジュに聞き返した。






「それをタマキに聞かないで

修練していたんですの?

呆れますわね。

基本的に植物を操る力が木の魔法ですわ。

加護魔法は大げさに言うと

植物に生命を与えることができますわ。

実際は単調な命令をこなす

植物人形を作れるというところですわ。」

「ふーん。

じゃこんな森なら

木の魔法すげー使えるじゃん。」

「その通りですわ。

森でなくても、植物さえあれば

どんなところでも

操作は可能ですわ。」

「すげーな。

街に着くまで詳しく教えてくれよ。」

「人には偉そうに言ったくせに

随分と他力本願ですのね。

まぁいいことにしますわ。

あなたのようなクズには

私のような人がわかりやすく

説明してあげるのが優しさというものですわ。」

「はは。

姫さんなかなか言うね。

じゃ頼むわ。」








タケゾウとジュジュは

こんな調子ではあったが意外と

ギクシャクすることもなく会話をした。

おそらくジュジュがタケゾウに

興味があるからなのだろう。






「なるほどな。

ってことは植物に詳しくないと

その特性まではしっかり使えそうにないな。」

「その通りですわ。

この魔法には知識が必要不可欠なのですわ。」

「ということはそういうところから

勉強しないとダメだな。

時間もねえが…やるしかないか。」

「では本をお貸ししますわ。

時間がないというのはどういうことですの?

急いでこの世界を壊さないといけないんですの?」

「うーん。

簡単に説明すると

この森に入って俺は大切な人を失ったんだけど

幻覚だった可能性があるってことで

早くここから出て確かめに行きたいってことだ。」

「え!?

…やはりそうだったんですの…。

でもやっぱりこの森の幻覚に打ち勝って

私達がいるところまで来たなんて

全く信じられないですわ。」

「それはタマキも似たようなこと言ってたよ。

精神がぶっ壊れて、月の魔法で何とか

治して壊れて治してみたいな感じで

今に至るってとこだ。」

タケゾウの言葉に

ジュジュが押し黙った。

そして少し考えてから

またタケゾウに話しかけた。






「そう…なんですの…。

地獄を…見てきたんですわね。」

「まーな。

だけど姫さんも別に変わんねーだろ。

そういえばどうして強くなろうとしてたんだ?」

「それはどうしてもやらなくてはいけないことが

あるからですわ!」

「そうか。

まあ、頑張れよ。」

「な!もう少し詮索してきても

いいんですのよ!

どうしてそんなにあっさりしてるんですの!?」

「姫さんが自分でやるって決めたことなんだろ?

だから応援したんだよ。

それに俺には関係ないしな。」

「最後の一言は余計ですわ。

まぁ…確かにそうですわ。

あなたには関係のないことですわね。」

『楽しそう…。

あんなに色々な表情をする姫様…。

いつ以来だろう…。」

カリストは遠巻きに木の上から

二人を追跡していた。






そんな会話をしているうちに

タケゾウとジュジュは街に到着した。






「へえ。

思ったよりは栄えてるんだな。」

「ここはまだ王都の前の街なので

そこまで栄えてないですわ。」

「ふーん。

こんな物騒な森に囲まれてるから

もっと質素なのかと思ったよ。」

タケゾウは辺りをキョロキョロとしながら

ジュジュに言った。

タケゾウを見る者は皆、不思議そうにタケゾウを見ていた。









「確かに外部から誰かが来るなんてことは

ほとんどないですわ。

ですが我々は外に出ることができるので

たくさんの技術を持って帰ってくることが

でるのですわ。」

「あーなるほどな。

それで発展はするってことか。」

「そうですわ。

ですがそれも昔の話で

最近は外に出たあと戻って来る者も

外に出てみようとする者も

めっきり減ってしまったのですの。」

「ふーん…。

てかさ…気になってたんだけど…

獣人だから獣の特徴があるのはいいんだ。

それはわかる…。

街は木で出来ているのが大半で

でも結構洒落ててさ…。

そこまでは納得だ。

でもこの服装は一体なんなんだ?

どうしたらこうなる?」

「何がですの?」

「いやいや…。

街の人の服装だ。

なんでみんな

こんなにロックな格好してんだよ!」

タケゾウは辺りを見渡し

建造物や獣人の特徴などは

すんなり納得することができた。

思ったより人が多く

活気があって

植物の何かを加工した製品以外にも

鉄や土を加工して作っただろう製品も

目にした。

おそらくは外に出た者という者が

加工の技術を持ち帰り伝えた

おかげなのだろうと

ジュジュの話を聞いて納得していた。

だが、それより何より街の者の

服装がどう頑張っても違和感を

出していた。

皆、ロック系の格好をしているのだ。

革ジャンを羽織っている者までいた。







「変なことなんですの?

この服装は私が生まれる前からこうですわ。

昔、聞いた話ではあるのですが

タマキが広めたということを

聞いていますわ。

あと、我々が着ているこの衣服も

タマキが広めたと聞いているですわ。」

『あいつの趣味か…。

あの野郎、立場を上手いこと使って

こんなことを広めたのかよ。』

タケゾウは大きなため息とともに

タマキへのイメージと信頼感を吐き出した。








「ぶえくしょん!

うー寒いですね。

二人は街に無事着いたでしょうか?」

雪かきをしながら

くしゃみをしたタマキであった。








そしてタケゾウとジュジュは

さらに歩を進め

ナリミノの王都に到着した。






「ここが王都か。」

そこには木の大きな門があった。

そこに兵が立っていたが

道行く人々を止めて検査する

ということはやっていなかった。







「ふーん。

外から来る奴がいないってのは

こういうことになるんだな。」

「それだけ森が安全ということですわ。」

呆気なくタケゾウとジュジュは門を

素通りしたのであった。

タケゾウは少し不思議に思ったことがあった。

ジュジュに門兵が声をかけてこなかったことだ。

自分のことを不思議そうに見る者はいても

ジュジュを気に留める者はいなかった。







「さて。

お目当の物を探すとするか。」

「それでしたら

あの店が良いですわ。」

ジュジュに案内されながら

タケゾウは店を巡った。






街の道はしっかりと整備されていて

その周りには街路樹や花壇があった。

雪が積もっているため

華やかさは無いものの

植物とともに暮らしているというのが

わかる街並みだった。

家や店舗も木で作られていて

背の高い建物もたくさんあった。

そしてその奥の高台には城が建っていた。

広さもかなりの物だろう。

まるで山一つを街にしたような

そんな王都だった。

店内に入ると木の温かみを感じる

おしゃれな物が多かった。

だが…服装はどう頑張っても

ロック調な人しかいなかった。







「スコップにスノーダンプまであるとはな。

これならあの広い敷地もなんとかなりそうだな。」

タケゾウとジュジュはスコップとスノーダンプを購入した。

『しかし…ここの奴らは

俺のこと不思議そうに見てはいても

警戒してる感じが全然ねーな。

もしかしてみんなめちゃくちゃ

強いのか?

あるいは…バカなのか?』

状況を考えると

ここにいるはずのない種族というだけで

警戒するべきタケゾウに皆が優しく接してくれていた。

タケゾウはそこに危機感を感じていた。






「ところで姫さんは

城に顔出さなくてもいいのか?」

「…その必要はないですわ。

姫と言っても国の誰もが

私を知らないですの。」

「そういえば確かに誰も

声かけてこないもんな。

なんでなんだ?」

「守る為…そう言われ私はずっとあそこで

暮らしているんですの。

何かの行事でも

私が表舞台に立つことはないですわ。」

ジュジュは顔を下に向けながら

タケゾウに話した。

『なるほどな。

だから自分とこの国の姫さんに

みんな話しかけて来ないってことか。』





「ふーん。

そういえばここにはギルドってないのか?」

「ありますわ。

案内しますわ。」

ジュジュはタケゾウをギルドに案内した。






「結構立派だな。

でも…依頼なんてあんのかここ?」

タケゾウは疑問気に中に入った。

さっそくカウンターに向かい

そこにいた獣人の女性に声をかけた。







「すいません。

なんか適当に依頼見繕ってくれます?」

「承知しました。

首飾り拝見します。」

タケゾウは首飾りをカウンターの女性に見せた。







「星無し(ノーマーク)ですね。

うーん…今あるものですと

これなんていかがですか?」

「じゃそれで。」

「な!

見もしないでどうして

あっさり決めてしまうんですの?」

ジュジュがタケゾウのあまりにも

適当な決め方に

割って入った。






「えーっと…カシココの実の購入…?

買ってくるだけの依頼ですの?」

「はい。

ただ…ここは少し治安の悪い地域ですので

少々危険があります。

よろしいですか?」

「ああ。

問題無い。」

タケゾウは受付で依頼書にハンコをもらい

ギルドを後にした。







「あんな適当に決めてしまうなんて

信じられないですわ!」

「せっかく選んでくれたんだから

それでいいだろ。」

「それは…そうですが…。

それでもどんな物だろうと確認は

必要だと思いますの!」

「わかったわかった。

この地図によると

この先みたいだな。

さすがに俺もタダ飯

ずっと食ってるわけにもいかないから

少し付き合ったくれ。」





タケゾウは依頼書に書かれている地図を

見ながら、行く先を指差した。

その先は少し入り組んだ路地になっていて

あまり雰囲気の良いものではなかった。






「この先は…。」

「どうした?」

「あまり近寄らないようにと

皆に言われている場所なはずですの。」

「治安悪いって言ってたもんな。

待ってるか?」

「行きますわ。」

「お待ちください。」

そこに隠れて尾行していた

カリストが現れた。







「ここは…危険です。」

「わかっていますわ。

それでも行きますわ。」

「ですが…。」

「やっぱりついて来てたか。

んで、何か事情があんのか?」

「それは…。」

「ここは没落したエルフが住んでいる場所ですの。

街で皆が私に話しかけてこないのは

これが原因でもありますの。」

「へー。

そう。」

タケゾウは合点がいった。

自分のような他種族を警戒していないわけじゃなく

ジュジュを見て、皆が面倒ごとに巻き込まれないように

優しく接してその場をやり過ごしていたのだと。







「理由はわかった。

お前ら好きにしていいぞ。

先帰ってもいいし。」

「私も行きますわ。

カリストは好きにして良いですわ。」

「ま、待ってください。

危険な場所にわざわざ行かせるわけには…。」

「じゃついて来いよ。

俺も仕事なんだ。」

「…仕方ない。

危険を察知したら離脱するよう

約束してください。」

「わかったよ。

ってもお前ら強いだろ?

そんなビビる必要ないだろ。

ま、いいか。

んじゃま、行きますか。」








タケゾウとジュジュとカリストは

没落エルフの住む場所に足を踏み入れた。

読んでいただきありがとうございます。

コツコツ投稿できたらなと思っています。

ブックマーク、評価お願いします。

楽しんでいただければ幸いです。


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