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信念という名の何か

タケゾウ達は森から帰ってきた。

エウロパとガニメデは

一度目を覚ますと

飯を食べ、また眠りについてしまったので

カリストとタマキが交代で看病をしていた。

ジュジュはエウロパとガニメデの

回復を確認した後、部屋に戻り

そのまま布団にダイブした。






タケゾウは風呂に入り

一人で飯を食べるとそのまま

借りていた部屋に戻った。







そして辺りは暗くなり

静まり返った夜に

月明かりが

うっすら積もった雪を

照らしていた。








タケゾウは外で刀を振っていた。







「寝付けませんか?」

タマキがタケゾウの元にやってきた。

「…別にそんなんじゃねーよ。」

タケゾウはタマキのことを見ず

刀を振り続けた。






「後悔…しているのですか?」

風を斬る音とともに

タマキの眼前に切っ先が向けられた。






「後悔?

そんなもんするはずねーだろ。

俺は守るために強くなりたいと

努力してきた。

それが叶ったんだ。

嬉しくて誇らしくすらある。

それにあの場でアドアリスを

殺す以外は皆殺されていた可能性だってある。

俺はみんなにとっても良いことをしたはずだ。」

「そうですね。

もし、タケゾウさんが負けていたら

あの場にいた他の誰かが死んでいたかも

しれませんからね。」

「その通りだ。

それに俺はアドアリスに散々な目に

合わされた。

あいつが邪魔しなければ

今頃みんなで笑って過ごせていたかもしれない。」

「そう…なんですね?」

「ああ。

あいつは俺にとって害悪でしかない。

それを殺した。

これであいつにもう奪われることはない。」

「ええ、ええ。

その通りですね。」

「…なのに…。

なんでこんなに気持ちが晴れないんだ!!

殺す前より、怨みが、憎しみが

どんどん増してきやがる!!

くそ!!

くそ!!」

タケゾウは大地に向け

刀を何度も振り下ろした。







「はぁはぁ…。

あいつにもきっと

恋人や家族やもしかしたら子供が

いたかもしれない!

大切に思う何かがあったかもしれない!

守りたいものがあったかもしれない!

帰りたい場所があったかもしれない!

仲間が心配して探しているかもしれない!

きっとあったはずなんだ!

あいつにも大切な何かが!」

「そう…ですね。

きっとそれを守るために

剣の腕を磨き

剣の神と称されるほどになったのだと

思いますよ。

誰にだって大切な何かが

あって、帰りたい場所があると思います。」

「だから!!

だから許せないんだ!!

他の誰かにだってあるんだよ!

守りたい何かが!

大切な何かが!

帰りたい場所が!

何でそれを奪って壊して平然と

俺に目を覚ませとか言ってくるんだ!

おかしいのはお前らのほうだろう!!

弱いから守れない。

奪われても仕方ない。

殺されないように

奪われないように

殺すしかない!!

こんなの間違ってんだろ!!」

「それは…。」

タケゾウはタマキにあたった。

タマキが悪いなどとは微塵も思っていないだろう。

だが、心に引っかかった物を

声にして吐き出した。







「なぜなんでしょうか…。

本当に悪いのはなんなんでしょうね。

今、世界は戦争をまた始めました。

皆、自分の大義を抱え

信念の元に他国を攻撃しています。」

「戦争?

ははは。

そんなに殺したいのかよ。

そんなに奪いたいのかよ。

はは。

やっぱりそうだよな。

この世界にきて…わかってたことなんだ。

けど…納得なんてできるはずがねえ。」

タケゾウはの顔はスっと怒りの表情を消し

静かに決意したようなそんな表情となった。







「タケゾウさん?」

「ははは。

この世界は俺にとって不都合だ。」

「不都合…ですか。」

「ああ。

だから世界に教えてやる。

俺がこの戦争をぶっ壊して

世界の在り方もぶっ壊して

変えてやる。

世界に復讐してやるよ。

俺の信念セイギの名の下に。」

そこに木の陰から誰かが歩いてきた。







「私もその通りだと思いますわ。

この世界は今、私にとっても不都合ですわ。」

ジュジュだった。

タケゾウの大声で

様子を見に外に出てきていたのだろう。






「私もそれに手を貸します。

こんな世界、一度滅んだ方が

世界のためですわ。」

「ジュ…姫までそんな…。

ですが…タケゾウさんのいう通りですね。

皆、守りたいものがあるのに

相手のそれを平気で奪うのは

どうかしています。」

「ということで

悪…じゃなかった。

その…タケゾウ!

私も手を貸しますわ。」

「姫。

私もともに。」

そこに忍者のようにカリストが現れた。







「こらこら二人とも。

ダメに決まってるではないですか。」

「なぜダメに決まってるんですの?」

ジュジュがタマキに反論しようとした時。







「…。

いらない。

姫さん。

あんたも辛いことがあって

きっと絶望したんだろ?

まずは一人でやってみろよ?」

「な!」

ジュジュはそうきっぱりと言ったタケゾウを

睨みつけた。

「それに俺より弱い奴はいらない。

引きこもり姫は黙って部屋で寝てろ。」

タケゾウはとてつもなく冷静だった。

「言わせておけば…そうですわ!

タケゾウは私と友達になりたいのですよね?」

「現在進行形で

友達でもなんでもないあんたに

俺は背中を預けて殺し合いなんて真っ平御免だ。

あんたもそうだろ?

だからそれとこれは別の話だ。

交渉材料がお粗末すぎたな。

さて、ということだタマキ。

魔法をよこせ。

それと戦争のことをもっと詳しく教えろ。

俺にはやらなきゃいけないことがある。

それに確かめなきゃいけないこともな。」

「やれやれ。

ではとりあえず私の部屋に行きましょう。

二人とも。

今日はもう遅いので

もう寝ましょう。」

「ぐ…。」

「…。」

ジュジュは唇を噛み締めタケゾウを睨みは

したものの、言い返すことはできなかった。

カリストはそんなジュジュを見つめていた。











タケゾウとタマキは部屋に戻った。

「さてさて。

では現在の戦争について話ましょう。

今、世界は大きく三つの勢力に分かれています。

魔族、龍人族、魚人族の連合と人族、小人族の連合

そして詳細不明のカエルスという団体に分かれています。

これは推測ではありますがカエルスは天人族が

大きく関与している可能性があります。

それからカエルスは色々な種族を受け入れて

その規模を大きくしています。

ちなみに我々獣人族は中立という立場を取っています。」

「なるほど。

戦争はいつから始まったんだ?」

「確か半年ほど前に

魔族が人族を強襲した聞いています。

その前にあった会合のような場で

魔王と人族の王が争い

お互いが死んでしまったのが原因なのでは

と聞きました。」

「…なるほどな。

ってことは戦争が始まって少なくても半年は経っている

ってことなんだな?」

「そうなります。」

「そうか。

ん?

確か獣人族がいる森は

この三日月みたいな大陸のちょうど真ん中

じゃなかったか?」

「その通りです。

一応、通行はできるように

道は通していますが

我々に攻撃を仕掛けようときた場合は

幻惑の森の餌食となります。

私達が中立をやめて

どこかに加勢することとなれば

この戦争も大きく動くでしょう。

すでに何度か人族の神と王が

ユーピテルを訪ねて来ています。」

「森抜けられないのにどうやって?」

「神の皆には丸薬を渡していますので。

何かあったときにここなら安全ですから。」

「なるほど。

ん?

神が来たってことはその地を長く離れたってことか?

それじゃ魔法と加護が無くなるんじゃねーのか?」

「それは…ニチカの裏切りで証明されて

しまったので…。

神がその地からいなくなってもの魔法が使えると。

まんまと我々を召喚したあの神に騙されました。

なので今は神がその地にいなくても

特に問題はないようです。

それに人族の領地からならゆっくり往復しても

二週間もかからないので

仮に魔法と加護が無くなるという

話が本当だった場合でも

問題ないかと思います。」

「そうか…。」







タケゾウは次の行動について悩んでいた。









「タケゾウさん。

きっと森で見たことが現実か

確かめに行くんですよね?

これは作った側からの意見ですが…

もし幻だったとしても

それは将来起こりうる危険があるものだと

覚えておいてください。

その人の無意識化にある意識を

現実と織り交ぜて幻を見せたことになるはずです。

その中でタケゾウさんが出した答えが

きっとその後に出す答えとなることを。

もしそれが幻なのであれば

その最悪の未来を防ぐ方法を

タケゾウさんなら見つけられると

私は信じていますよ。」

「…。」

『最悪?

そんな優しい未来じゃねーぞ。

みんなの無事を確認したい…。

だが…。

みんなが争った理由は他でもない俺だ。

俺がどちらかにつけば

あれはきっと起こりうる未来ということか。

俺が原因で争いに…。

ただ…あの全てが幻かどうかを

まず確認しないとな。

希望…か。

絶望しなきゃ気付けなかったことなんだろうなこれは。

とにかく確認から始めっか。

それに壊すことに変わりはない。

もっと強くなるんだ。』







タケゾウはタマキに言われたことを考えていた。

それが幻だとするなら

それは起きる可能性がある未来だと。

それを見たことがあるタケゾウなら

答えが出ると。

その答えは簡単なものなのだろう。

争いの原因がタケゾウなのであれば

それに関わらない。

タケゾウがいなければ

争いにはならない。

ただすでに戦争は始まっている。

争いを止めるには

その戦争をどうにかする必要がある。

そのために強さがいる。

いつもどうなっても

たどり着く答えは強さだった。

そしてタケゾウが

タマキに話し始める。








「俺が見た最悪が仮に幻だとするなら

確かめに行きたい。

ただ、その最悪が起きた原因は俺だ。

それをなんとかするにしても

やはり力がいる。

その上で俺が出来ることをしようと思う。

だからタマキ。

俺に魔法の付与をしてくれ。

後になるが…約束は必ず守るから。」

「いいですよ。

ただどの魔法もそうですが

修練は必ず必要です。

急いでいるとは思いますが

付与の後、ここで少し修練してから

行ってください。

この約束を守ってもらえるなら

付与します。」

「わかった。

約束する。」

「ではでは。」

タマキはそう言うとタケゾウの額に

手を当てた。








「これで終わりです。」

「ああ。

今日はゆっくり休んでくれ。」

「タケゾウさんも今日は休んでくださいね。」

「ああ。

そうするよ。」







タケゾウはタマキの部屋を後にした。

部屋に戻ると紋様を確認した。





「確かにもらったみたいだな。

修練して…その後どっちに行くかな。

ま、それは修練しながら考えるとするか。

今日はもう寝よう。」






こうして静かな夜はゆっくりと

すぎて行くのであった。








読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク、評価お願いします。

コツコツ投稿していければなと思っています。

楽しんでいただければ幸いです。

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