布団という幸せ
翌日。
「ふあー。
やっぱり布団っていいな。
久しぶりにすげー寝た気がする。」
上半身を起こし
少し伸びた後
あたりを見渡しながら
そんな久しぶりの寝心地に
感動したタケゾウ。
「…。
こりゃ二度寝さんの出番だな。
うん。
寝よう。」
そう独り言を言うと
タケゾウはまた布団の中で
丸くなった。
「そうはさせませんよ!!」
「うわ!!」
タマキがタケゾウの布団を剥ぎ取った。
「おい!
何すんだよ!
寒い!」
「二度寝なんてさせませんよ!
こんなに晴れたいい天気何ですから
一緒に朝ごはんを食べましょう!」
「ぐ…。
確かに腹は減ったな…。
仕方ない。
洗面所みたいなのはあんのか?」
「はいはい。
ありますよ。
ではまず顔を洗ってきてください。」
タケゾウは起き上がり
顔を洗い目を覚ました。
「いただきます。」
「どうぞどうぞ。
召し上がれ。」
「ところでよ。
その後、姫さんはどうだったんだ?」
「少し眠って落ち着いたみたいでして
特に問題などはありませんでした。
一応、気にしてくれてはいたのですね。」
「そりゃな。
友達にならなきゃいけない相手だからな。
今日は少し話でもしてみるか。」
「うんうん。
お互いのことを知れば
きっと何か変化があるかと思いますよ。」
「ああ。
そうしてみるよ。
もう起きてんのかな?」
「もう起きていると思いますよ。」
「んじゃま、飯食ったら行ってみるか。」
タケゾウはそう言うと
ご飯をおかわりし
久しぶりの美味しい米に
感動しつつ
朝食を終えた。
そしてジュジュがいる本殿に向かった。
「なんか部屋にいても眩しいとは
思ってたけど…雪降ったのか。
すげー綺麗だな。
しっかし本当に天気いいな。
久しぶりに空が青い。」
外に出ると一面の銀世界がタケゾウの視界に
飛び込んできた。
太陽の光に照らされて
大地はキラキラと光っていた。
足跡一つない真っ白な大地は
踏みしめるたびに
ギシっギシっと音を立て
タケゾウの足跡を残していった。
木々は枯れ落ちた葉の代わりに
まるで満開の雪の花を咲かせたように
雪化粧をしていた。
そんな光景を横目に
タケゾウは空を見上げ
あくびまじりに歩いていた。
「ん?
あれ姫さんじゃん。」
ジュジュは大きな木の下に
椅子として置かれているだろう
切り株に座っていた。
雪化粧した太く、大きな枝の隙間から
朝の光が優しくジュジュを照らしていた。
タケゾウが近づいてみると
ジュジュは小鳥達に
食べ物を分けていた。
そしてジュジュが立ち上がり
横にソっと伸ばした指の先に一羽の小鳥が止まった。
ジュジュは止まった鳥の頬を
逆の手の指で優しく撫で
そして優しく笑いかけた。
「まるで…森の女神みたいだな。」
タケゾウは目の前の神々しくもある
その光景に魅了されていた。
少しして我に帰ると
頭を少し掻きながら
ジュジュに声をかけた。
「姫さん。
おはよう。」
その声に振り返るジュジュ。
金色の髪がなびきながこちらをみた。
小鳥達は一斉に飛び去ってしまった。
タケゾウを見たジュジュは
先ほどとは打って変わって
敵意をむき出しにしている。
「朝から何か用ですか?
昨日の続きならすぐにでも受けて立つですわ。」
そう冷たく言い放ったジュジュ。
タケゾウはこの変わりように
少し困惑はしたものの
初日に見た虚ろで憂いを帯びた
悲しみに満ちたエメラルドの瞳から
『まあ、こっちのほうがしっくりくるな。』
などと内心思っていた。
「用って言えば用がある。」
「なんですの?
手短にお願いしますわ。」
「ああ。
じゃ手短に。
俺と友達になってくれないか?」
ジュジュは目の前の見知らぬ男が
何を言っているのか
全く理解できず
数秒時が止まったように固まった。
あまりに唐突に
あまりに手短すぎる
その用件に対し
状況を整理しようとしたが
ジュジュには到底
理解できるものではなかった。
「嫌。」
ジュジュが数秒かかり
答えを導き出した。
「そうか。
まあ、そりゃそうだ。
そういえば昨日、俺がここに
いるのがおかしいとかなんとか言ってたな?」
「それはそうですわ。
あなたどうやってこの森を抜けて…」
「タケゾウさん!!」
そこにタマキが血だらけで
血相変えて走ってきた。
「どうしたんだよ?
大丈夫か?」
「大変、大変なんです!
来てもらえませんか?」
タマキはタケゾウにそう尋ねつつ
すでに衣服を引っ張り
タケゾウを連れて行こうとしていた。
「だ!な、なんだって!
わかったから!」
タケゾウは少し抵抗したが
諦めて、タマキについて走っていった。
ジュジュもその慌てぶりから
気になったのか
二人の後を追った。
「しっかりしろ!」
到着したタマキの住んでいる建物では
カリストが叫んでいるのが
聞こえてきた。
「おい。
どうしてんだ一体なに…」
タケゾウが切り出そうとした時に
後ろからジュジュがタケゾウを押しのけ
そこにいる者に駆け寄る。
「タケゾウさん!
見ての通りです!!
助けてください!!」
タケゾウの眼下にはエウロパとガニメデが
倒れていた。
そこではカリストが
薬草と塗り薬のような物を二人につけているが
どう見てもそんな物では対処できる
怪我ではない。
そしてジュジュがその隣で
泣き叫んでいた。
「二人ともしっかりするのです!!
ひぐっ!
命令ですわ!!
ひぐっ!!
お願い!!
ひぐっ!
もう誰も失いたくないのですわ!!
うぅ…!
死んじゃ…嫌ですわぁぁぁぁぁあああ!!!!」
「うるせえ。」
タケゾウは目の前で泣き叫んでいたジュジュと
必死に薬草と塗り薬をつけていたカリストの
衣服を掴み
後ろに投げた。
「な、何をするんですの!?」
「…!?」
「おいタマキ?
お前再生使えるんじゃ…」
「もうやってます!
ですが…恥ずかしい話…私には
再生の適正があまりなかったようで
神の中でも一、二を争うほど
再生が下手です。」
「なるほど。
それで俺か。」
叫ぶジュジュを無視して
タケゾウはタマキと話をした。
「んじゃま、やりますか。」
タケゾウはどちらも重症なのは
見てわかったので
まずはエウロパから再生をし始めた。
『刺し傷…切り傷…。
どう見ても刃物でやられた傷に
しか見えないな。
こいつら結構強かったような?
とりあえず一宿一飯の恩義くらいは
タマキに返さないとな。』
そんなことを考えながらエウロパの再生を
完了させたタケゾウ。
続け様にガニメデの再生をし始め
あっという間に完了させた。
「終わったぞ。
それで?
どうしたんだこ…」
そう言いかけたタケゾウをまた押しのけて
ジュジュが二人に駆け寄った。
「本当に?
ひぐ…よかった…
二人とも良かったですわ…うぅ…ひぐ。」
ジュジュが二人に抱きついた。
「ったく。
治したとはいえ、血は足りてないんだ。
あんまり刺激を与えるなよ。」
「わ!わかっていますわ!!」
カリストがタケゾウの前に来て
深く、深く頭を下げた。
「…ありがとう…。
本当に…ありがとう。」
おそらく泣いているのだろうと
タケゾウは思った。
タケゾウにも仲間を失う気持ちは
痛いほどわかるので
「ああ。
気にすんな。」
とカリストの肩に手を軽く触れると
タマキの方に歩を進めた。
「それで。
どうしたんだ?」
「二人には早朝から
森に薬草を取りに行ってもらっていまして…。
朝食の後、遅いなと思い
外に出て見ると
エウロパがガニメデを肩に抱えて
登って来ているのが見えて…。
エウロパが『人の形をした化け物が出た。』
と言って気絶してしまい
今に至ります。」
「人の形をした化け物?
スケルトンにで…」
「行くですわカリスト。
その化け物を討伐します。」
「御意!」
タケゾウの話を遮って二人は部屋を出て行ってしまった。
「待ちなさ…カリストまで…。
タケゾウさん。
申し訳ありませんが手を貸して欲しいです。」
「はぁ。
さっきから遮られてばかりだ。
いいけどよ。
タマキは強いんだろ?
神なんだから。」
「そうですね。
一応は強いはずですが…。
この二人も相当に強いのです。
それがここまでやられたことを
考えると、嫌な予感がしてしまいます。」
「ふーん。
ま、恩はあるしお前に死なれたら
困ることは確かだからな。」
「では時間がありません。
これを飲んでください。」
タマキはそう言うと白い丸薬をタケゾウに渡した。
「なんだこれ?」
「はい?…はい!???
これを知らないのですか???」
「知らないよ。
腹痛いの治すあれか?」
「ええ!!? …ええ!!!!
これを知らないでどうやってここに
来たのですか?!?!??」
「は?
森を抜けてここに来たけど?
これとなんの関係があるんだ?」
タマキは尋常ではない驚ぶりだった。
タケゾウは疑問しかないと言った顔だ。
「ふぅ…ふぅ。
…今は時間がありません。
とにかくあの二人と合流しましょう。
説明は走りながらします!」
「…わかった。」
タケゾウの疑問は解消されることなく
タケゾウとタマキは先に行ってしまった
二人を追いかけて
森に入っていったのであった。
読んでいただきありがとうございます。
コツコツ投稿できたらなと思っています。
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楽しんでいただければ幸いです。




