お風呂の回です!
「くはー。
まさかこんな立派な風呂に入れるなんて。
ここは天国だな。」
タケゾウはとても大きな檜風呂に入っていた。
まるで高級な旅館にでも来たような
そんな風呂だった。
「にしても…どーすっかな。」
タケゾウは風呂に入りながら考えが
答えを見つけることなんてできるはずもなかった。
「うーん。
兄…か。
さすがに妹より強くないとシャレにならないけど…。
そもそも俺って強くなったのか?
制限解除、円
それに再生をほぼ無意識に使えるようになった。
調和ってやつが今ならよくわかる。
高め、満たし、治す。
調度良いのか魔力の具現化もしてないし。
たまにふんわり見える程度だな。
あ。
でも月炎使った時はどうだったかな?
反射使うと一気に魔力減るからな…。
そういえばあれ以来独り言も増えたな。
そのせいかわかんねーけど
物事を冷静というか客観的に
見れている気もする。
はは。
なんか自分っていう他人って感じだな。
…。
見た感じエウロパもガニメデも
バレないように手を抜いてたな。
…。
俺はどの程度変わったのだろう。
試してみるのには良い機会か。」
タケゾウの興味はすでに自分の変化について
知りたいという単純なものに変わっていた。
できることもどうしていいかも
わからないので
まずは自分のことを確かめたい
というものだった。
変化があっても残念な部分は変わらなかった。
だが、以前と変わってしまった部分も
多くあったのだが
タケゾウ本人はそのことには気付かなかった。
風呂から上がり
タマキ小袖という衣類を借りて
タケゾウは修練を行なっていた
場所に行った。
そこではすでにジュジュが倒れて
おり、カリストが薬を塗って
再生を行なっていた。
だが、傷が治っているような気配はなかった。
どれも軽い切り傷程度ではあるが
それでも見るからに痛々しい。
「俺がやるよ。」
タケゾウはカリストにそう言うと
再生を使い、あっという間に
ジュジュの傷を治した。
「なぜ再生を使える?」
「サクヤっていう神と仲良いんだよ。
ところで姫さん大丈夫か?
起きれそうか?」
タケゾウは頬をトントンと叩いてみた。
するとジュジュが目を覚ました。
「お、起きたな。
俺タケゾウ。
よろしく。」
タケゾウは横になっているジュジュに手を差し伸べた。
「ん…。」
ジュジュは伸びてきた手をパンと
払いのけ、起き上がった。
『傷が…?
どういう…?』
体の異変を感じ、先ほど切り傷があった
であろうところを見るジュジュ。
だがそこに傷は全くなかった。
それどころか傷跡も無くなっている。
「おーい。
俺、タ・ケ・ゾ・ウ。
聞いてる?」
タケゾウは疑問気に自分の体を見ている
ジュジュに迫り、言った。
すると、タケゾウの頬目掛け
平手打ちが飛んできた。
タケゾウはそれをジュジュとは反対の
手で掴むと
「ほい。
握手な。
俺がこれからは修練することに
なったからさ。
よろしくな。」
と無理矢理握手をした。
「人族が何故ここにいるのですの?
あなたがここにいることがどれほど
不自然なことかわかっていらっしゃらないのですの?」
その握手を無理矢理振りほどくと
ジュジュはタケゾウに剣を向けた。
「そうなの?
けど、着いたんだから仕方ないじゃん。」
タケゾウは両手を頭の後ろに組んで
唇を尖らせた。
「そういう問題ではないと言っているのですわ。
どこのどなたか存じませんが
ここから立ち去っていただけます?
私には遊んでいる暇などないのですわ。」
「じゃ力ずくで排除してみてよ。
良い修練になりそうじゃね?」
タケゾウは笑いながらそういうと
ジュジュは構わず剣を突き出した。
タケゾウは危なげなく横にかわした。
「手加減されんの嫌いなんでしょ?」
タケゾウはそう言うと一旦距離を取った。
「修練の際、手加減などされていては
強くなどなれないですわ。」
「だってよカリスト。
他の奴らも隠れて見てんだろ?
ということで俺も自分を試してみてーから
よろしく頼むよ?
お姫様。」
「…さっきから…バカにするのも…
いい加減にしなさい!!!」
ジュジュが叫び、手の平をタケゾウ
に向け何か魔法を使おうとした
その瞬間だった。
「おしい。」
タケゾウの刀はジュジュの喉元に添えられていた。
カリストはその刀の一撃になんとか反応し
なんとかタケゾウの刀を
ジュジュの喉元で止めた。
「う…うそ…。」
ジュジュは自らの血が引いて冷たくなるのを感じた。
『ぐ…こいつ…今本気で…!』
そこに隠れて見ていたであろう
エウロパ、ガニメデが合流した。
「「姫!!」」
あまりの本気の一撃に
隠れていることなどできなかったのであろう。
「俺ってもしかして結構…速い?」
タケゾウ本人も少し驚いていた。
カリストはタケゾウを目で捉えていたが
ジュジュには目にも止まらぬ速さだった。
タケゾウは刀を鞘に納め、また距離を取った。
「手加減なしでやってくれよ姫さん。
自分がされて嫌なこと他人にしちゃダメだぞ。」
タケゾウはジュジュそう言った。
ようやく我に帰ったジュジュは
ようやく魔法を発動させる。
「この…束縛乃根!!!」
タケゾウの足元から突如、木の根が生え
タケゾウの手と足と首に巻きつき
まるで磔にされたように身動きがとれなくなってしまった。
「箱庭!!!」
そしてすぐさまタケゾウのまわりに木の牢獄
を作り出した。
「はぁはぁ…そしてこれで…終わりですわ!!!
木偶乃坊!!!」
「姫!!いけません!!!」
カリストの制止も間に合わず
木の牢獄の中には
木の化け物が出現した。
「はぁはぁはぁ。
ふふふ…これであなたもお終いなのですわ。
私の木偶乃坊は…少し特殊でして
今回の子はあなたを切り刻んでくれるよう
とても強固な子を選びましたの。
さぁ。
己の無力を認め、絶望し、助けを乞うのですわ。
ふふふ…あははははは!!!!」
『姫…。
これだけの魔法…もう魔力はないはず。
だが、姫のこの魔法を回避するのは不可能。
体術や剣術では部が悪いかと思ったが
これではあの人族もひとたまりもない。
これ以上は…。』
「もうやめ…」
「く…ふ…はは…あははははは!!!!」
四人はえも言われぬ恐怖を感じた。
それは間違いなくその人族の者から発せられていた。
「ふはは…
無力?
絶望?
助けを乞う?
何をどう見ればそう見えるのか
全くもってわかんねーな。」
「つ、強がりよ!!!
木偶乃坊!!!」
木偶乃坊はそのたくさんの腕を
しならせ、動けないタケゾウを
まるで鞭で叩くように切り刻んだ。
そしてたくさんの腕を捻り
鋭く尖らせ、タケゾウの顔面に放とうとした。
その時、タケゾウの体が炎に包まれた。
「くははは。
無力に絶望して助けを乞うなんて…
とうの昔に済ませてきた!!!!
俺を絶望させてーなら
地獄くらいは持ってこい!!!」
タケゾウはその炎で全身を焼いた。
体に巻き付いた根を焼き払ったのだ。
そして自身の体は再生により
あっという間に治して見せた。
「そ、そんな…!」
「月炎・三日月!!」
タケゾウは木偶乃坊に月炎・三日月を
放ち、真っ二つに切り裂き灰にした。
「月炎・天満炎月」
タケゾウを閉じ込めていた箱庭が
炎に焼かれ、灰となって消えた。
「バカな!
それに魔力が具現化だと!?
そんなもの見たことも聞いたこともない!」
エウロパが出てきたタケゾウを見て言った。
「ん?
ああ、さすがに再生を使いすぎか。
それに月炎も結構魔力持ってかれるもんな。」
「き、貴様は一体何者だ!!!」
ガニメデが刀を構え
タケゾウにに言った。
「何者?
俺はタケゾウだとそう言ったんだけど
聞こえてないのかお前ら?
ま、そんなことはどうでもいい。
姫さん。
本気でやっていいんだよな?」
ジュジュと他の三人の顔が一気に強張った。
目の前にいる何かが
放つその殺意に嫌でも冷や汗が噴き出した。
「さあ、皆さん。
本当の絶望の時間だ。」
目の前の何かが不敵に笑った。
そして気付いてしまった。
踏んではいけない者の尻尾を踏んだことに。
「あ、悪魔…。」
ジュジュはそう言うとあまりの殺意に
腰が抜け、尻餅をついた。
他の三人も動けずにいた。
ジュジュ達の絶望の時間の開幕であった。
読んでいただきありがとうございます。
コツコツ投稿していけたらなと思っています。
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楽しんでいただければ幸いです。




