再構築
「お前がいたせいで…
そのせいで俺が死んだ。」
そのいるはずのない上半身だけの兵士は
タケゾウにそう言った。
「確かに理由はお前に取ってその通りかも
しれないが、死んだのは結果としてお前が弱いからだろ?
てかなんでおばけ見えるんだ俺?
ま、いいか。」
そう言うとタケゾウはおもむろに刀を
構え、地に向かい
月炎・三日月を放った。
「んー…あんまり抉れないな。
ならもう少し。」
そう言うと数度月炎・三日月を放ち
地面を抉り取った。
「ほらよ。」
タケゾウはその兵士を担ぎ上げ、その抉った場所に投げ入れた。
「な、何をする!?」
兵士は驚きを隠せずそう言った。
「何って墓だよ。
お前もう死んでるんだろ?
あん時は俺も必死でさ。
一応悪かったとは思ってるんだぞ?
あん時はできなかったから
今、弔ってやるよ。
ま、ゆっくり寝てくれや。」
タケゾウはそう言うとその兵士に向かい
月炎・三日月を放った。
抉った地面の周りはゆっくりと崩れ
その兵士は燃えながら地面に埋まった。
「さて…問題はなんでおばけなんてもんが見えたかだが…。」
それを考えていると
またスケルトンが現れた。
「このスケルトンの能力ってものあり得るな。」
そう言うとタケゾウは
そのスケルトンの胴体を斬り、先ほどと同様
真っ二つにした。
そして隣で少し待ってみた。
だがスケルトンにはなんの変化もない。
むしろ蘇ったりするんじゃないかと
タケゾウは思っていたが
どうやらあてが外れたようだ。
「ふむ。
となるとスケルトンはスケルトンでも
もう少し違うのがいるのかな?
特別なスケルトン?みたいな?
ま、倒していけばわかるか。」
タケゾウは出てきたスケルトンを数体倒して
観察してみたが、特に変化は見られなかった。
「うーん…。
出てこなくなったな。
ま、いっか。」
タケゾウはまた歩き始めた。
やはり森は終わることなく続いている。
「どうがんばってもこの森から出る…
お!」
タケゾウは即座に距離を詰め
斬って落とした。
あのうさぎを発見したからだ。
「今日は肉にもありつけたな。
ツイてんな。」
タケゾウは早速さばき、焼いた。
「うーめー!!
久しぶりの肉は五臓六腑に染み渡る
うまさだな。
ん?なんかまたモヤが出てきたな…。
そういえば前もそうだった。
このうさぎ食った後…
食った後?
そういえばスケルトンが出たのは
きのこ食った後だな。
まさかな…。」
タケゾウは肉を見ながら考えた。
そして実験をしてみることにした。
「きーのこ。
きーのこ。
お!あったな。」
木の根元に十本ほどのきのこを発見したタケゾウ。
それを全て焼き全て食べた。
すると変化が訪れた。
「お…ってこれはいすぎじゃね?」
あちらこちらからスケルトンが大量に溢れ出て
タケゾウを一周取り囲んだ。
「んじゃま…いきますか。
月炎・三日月!!」
タケゾウはそこら中手当たり次第
月炎・三日月を放った。
その攻撃をかいくぐり
スケルトンが数体
タケゾウに剣を突き立てる。
それを刀で防ぎ押し返すも
数が同時に攻めてきたため防ぎきれず
右太ももを斬られてしまった。
だがタケゾウはそれを瞬時に治した。
「痛いってことは幻とかじゃねーってことか。
墓掘ってるときに出てこなかったことを
考えると、やっぱりあのきのこが原因なのは
間違いなさそうだが…。」
そう言いながら円を使い
魔力を結合させつつ、制限解除
により身体の向上を維持。
そして月炎・三日月により適度な距離で
一体ずつ確実に仕留めていくタケゾウ。
だが、スケルトンは減るどころかどんどん増え
タケゾウを容赦なく攻撃してきた。
「しつけーな。
キリがねーわ。
ま、気分はずっとよくなかったし
この怒りぶつけるにはちょうどいいな。
受け止めてくれよ骸骨達。」
タケゾウは暴れた。
覚えたての月炎・三日月、炎月花を使い
どんどんスケルトンを灰にしていく。
「へへ。
随分減ったな。
あと五体ってとこか。」
タケゾウは数時間に渡り暴れ回り
気付けばスケルトンは五体程度になっていた。
そこでそのうちの一体に変化があった。
なんと、そのスケルトンは亡きルーナへと
姿を変えたのである。
「タケゾウ。
どうして…救ってくれなかった…」
タケゾウはその言葉を最後まで聞くことなく
首を斬って落とした。
「おい…二度とその姿で
俺の前に立つな。
殺すぞ。」
殺意。
そんな言葉では生温いほどの憤怒は
タケゾウの刀となってスケルトンを斬った。
「もういいわお前ら。」
そして残りの四体にその憤怒が向けられた。
スケルトンは今まで感情など出すことは
なかったのだが、全員後ろに
一歩下がった。
そしてタケゾウの刀が
スケルトンを一匹残らず
斬り裂いた。
そしてタケゾウはその場に倒れるように
寝転がった。
「…キイた。
あれは…反則だろ。」
タケゾウは腕で目を隠し
泣きながら笑った。
それはタケゾウがこの数日
あるいは数ヶ月で
自分の体を痛めつけ
忘れようとしたものだった。
悲しい。
辛い。
愛おしい。
タケゾウがまだギリギリ人であるための
その感情。
壊すためには必要のないその感情が
タケゾウに話しかけてきた。
『タケゾウ。
みんなをよろしくね。』
『タケゾー。
泣かないで。
無理しなくていいんだよ』
『タケゾウさん。
タケゾウさんは何も悪くないですよ。』
『タケゾウ。
わたくしもそう思うです。』
『タケしゃん。
今は泣いてもいーよ。』
そんな優しい言葉をタケゾウに
話しかけてきた。
「嘘だ!!!
お前ら死んだんだぞ!!
なんでそんなに笑ってるんだよ!!
俺がいたから…世界がこんなだから!!!
お前達は全員、死ぬ必要なんてなかったんだ!!
そんな言葉を俺に言うな!!」
タケゾウは頭を抱え
丸まった。
そしてまた精神が崩れた。
まるで空気と混ざって消えていくように
ゆっくりと溶け出す。
そして再生でさらに補強、再構築をした。
タケゾウは立ち上がり
笑った。
「ははは。
なんだこれ。
もう痛くもない。
あれ?
さっきまであんなに辛かったのに
むしろ今は気分がいいな。」
そしてタケゾウはおもむろに目の前にあった
きのこを生のまま食べた。
すると今度はスケルトンが二体現われた。
「やっぱきのこが原因か。
にしても最初ではならなかったのは…」
タケゾウが顎に手を当て考えようとしたそのとき
その二体はこともあろにサヤとハルに変身した。
「ああ”!?」
タケゾウの体からほとばしる殺意が放たれる。
「タケしゃん…あいたか…」
「月炎・三日月!!!!」
タケゾウは容赦なく
サヤとハルを斬り裂き、灰にした。
「だから…俺の大切なもんに
勝手になってんじゃねぇええええ!!!!!」
そして今度はタケゾウの耳元に
聞こえるはずのないサヤとハルの声が聞こえ始める。
『タケしゃん…。』
『タケゾー…。』
「うるせぇええ!!!!!」
そしてタケゾウはまたきのこをそのまま口にした。
今度のスケルトンはアレースとマルースの姿と
なって現われた。
タケゾウは躊躇なく、言葉を聞くことすらせず
斬って落とした。
そして耳元ではあの懐かしい声がした。
『タケゾウ…。』
『タケゾウさん…。』
タケゾウは耳を塞ぎ、うずくまった。
そして精神がまた崩壊した。
タケゾウの耳元では声が止むことなく
タケゾウの鼓膜に語りかける。
「う…る…せぇ…うるせえぇぇええ!!!」
精神を再生によってまた再構築し始めるも
声が止まず
それは何度も繰り返した。
『助けてほしかった』『死にたくない』『お前のせい』
『ありがとう』『幸せだった』『出会えてよかった』
数多の恨み言や感謝がタケゾウの精神を壊し続けた。
タケゾウはそれに抵抗するように暴れ始めた。
体の内側から突き上げるような狂気に
必死に抵抗した。
それでも声はタケゾウに聞こえた。
それはまるで脳内に直接響くように
聞こえ続けた。
そのうちにタケゾウのみる世界が回り始め
暗い森はさらにその闇を深くし
タケゾウを飲み込んでいった。
どれほどの時間が過ぎたのか
いつからかようやく声が聞こえなくなったタケゾウ。
暴れ回り倒れていたタケゾウは
ようやく立ち上がりはしたものの
その足つきはおぼつかない。
目の前にあった岩まで辿りつくと
そこに腰を下ろした。
「ああ…。
疲れたな。」
そう言うと座りながら木に月炎・三日月を放った。
傷がついたがそこまでの効果が見えない。
そして燃えることもなかった。
「月炎・天満炎月。」
タケゾウの周りを炎が輪となって囲み
それがものすごい勢いで拡大した。
それは何を燃やすこともなく
広がっていった。
そして少し遠くから
魔物の悲鳴が聞こえた。
タケゾウはそれに向かって
高速で移動した。
そこにはあのうさぎの魔物が
焼かれ、悶え苦しんでいた。
タケゾウはうさぎの魔物を斬り
皮を剥ぎ食らいついた。
そして今回は臓物も全て
食べ尽くした。
「今度は何が…って
霧か…前にもあったな。
あーめんどくせえ。
炎月・天満炎月」
するとまた別の方で魔物の悲鳴が聞こえたので
そちらに向けて移動した。
うさぎの魔物はすでにほぼ灰となってしまっていたが
タケゾウは残った焦げてボロボロになった
どの部位かもわからない物を食べた。
そして霧が一層濃くなった。
タケゾウはその霧が濃くなっていく方へ
歩みを進めた。
「この霧…なぜいきなり出てきた?
なぜも何もないか。
変化であることに変わりはない。
これを確かめればわかることだ。」
そして歩みを進め
その霧から抜け出すと
ついに森の木々から抜け出すことに成功した。
タケゾウの目の前には石の階段が続いていた。
それをゆっくりと登っていくと
そこにはタケゾウのいた世界ではよく見かけていた
神社にあるような立派な鳥居があった。
「なんだあれ?
まるで神社みたいだな。」
そう思っているうちに
階段を登りきり
タケゾウは鳥居をくぐった。
「誰だ!!!」
鳥居をくぐったタケゾウに
大声で声をかけてきた者がいた。
「俺はタケゾウ。
お前こそ誰だよ。」
そこにはおそらく獣人の男が立っていた。
手にはホウキを持ち、さらに服装がまさに神社で
働いている者の格好をしていた。
「一体どうやってここにきた!!」
完全に戦闘態勢の男。
どうやらここに現われたタケゾウに
ものすごい警戒をしているようだ。
「何してるんですか?
騒々しい…って誰!!
どうやって!!
人族?!」
そう言った男も
人族と同じ黒い瞳に黒い髪をしていた。
「ん?
お前もそうじゃないのか?」
タケゾウが呆れながら聞いた。
「え!あ…いやその…。
そうだよね。
うんうん。
てかものすごいボロボロだね。
とりあえずこっちに。」
タケゾウはそう言われ
その男についていくことにした。
読んでいただきありがとうございます。
コツコツ投稿していけたらと思っています。
ブックマーク、評価お願いします。
楽しんでいただければ幸いです。




