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その先にあるものは

「ぐ…。

くそ!

軽率だった。」

タケゾウは深い森の中にいた。





「気味悪いとこだな。

暗い。

夜になっちまったのか?」

タケゾウは上を見上げたが

木々が生い茂り

辺りは薄暗い。





「確か時空扉ゲートとか言ってたな。

となるとどこか別の場所に飛んだか?

何にしても戻るしかないか。」







タケゾウは森を歩き回った。

「くそ。

方角もわからない。

とりあえず目印つけて歩くか。」

タケゾウは目の高さの木の枝を折りながら

目印として進んだ。




それからどのくらいか進み

腹が鳴りだす。

「こんな時でも腹は減るんだな。」

そんなところに都合よく

体調一メートルほどのうさぎのような魔物が現れた。

その白い体毛とは裏腹に

足の筋肉はこれでもかと言わんばかりに発達している。




「ヤバそうだなあの足…。」

タケゾウは刀をゆっくりと抜いた。

そして刀を片手で持つと

火の玉を投げ先に攻撃を仕掛けた。




うさぎの魔物はその火の玉を

ものすごいジャンプ力で交わすと

飛び蹴りのような姿勢で

タケゾウに落下してきた。




タケゾウは高く飛んだうさぎの魔物に

また火の玉を投げると

それを目くらましにして

蹴りを避ける。

そしてうさぎの魔物が着地すると同時に

うさぎの胴体を斬って落とした。





「ふぅ。

高く飛びすぎなんだよ。

まあとりあえず勝ててよかった。

飯にするか。」

タケゾウはうさぎをさばき

木を集め、火を起こした。






「火の魔法って便利だよな。

確かに生活に欠かせないなこれは。

お、焼けたかな?

頂きます。」

タケゾウは焼けた肉を一口食べた。





「んお!

なんだこりゃ。

結構うまい。

もっと筋張って硬いと思ったけど

柔らかいな。」

タケゾウは腹が減っていたのもあり

あっという間に

うさぎの魔物の肉を食べた。

さすがに内蔵などの危険そうな部位は

食べず、地面に埋めた。





「ご馳走様でした。

さて…行くか。

ん?

なんか森が変わったような…?

モヤ…?

いや…気のせいか。」

タケゾウは火を消し、さらに進んだ。

そしてどれだけ進んだかわからぬまま

また木を集め火を起こし

眠りについた。





そして起き上がりまた進む。

どれほど進んでも

森には何の変化もない。




「くそ。

こんな森早く抜けてみんなのところに

行かないといけないのに。」





タケゾウは歩きながらいろんなことを考えた。

だがそれでも森は終わらない。





「くそ。

全然先が見えない。

今が昼なのかも夜なのかもわかんねーし。

何なんだよちきしょう。

…お、湧き水か?」

木が岩を割って

生えている隙間から水が滴り落ちていた。





「少し休憩するか。

水分はさすがに取らないとまずいしな。」

タケゾウは水分を補給し

少し休憩を取った。





「しかし…こんだけ気味悪けりゃもっと魔物とか出そう

だけど…全然生物の気配がしないな。

ここはどんな森なんだ?

水もあるし

気味悪いこと以外は植物も結構あるのに…?」

タケゾウは近くに生えていたきのこのような

小さい植物に目をやった。





「食える…かな。

でもきのこはさすがにまずいか。

何に毒があるかわかんねーしな。

迂闊に口に入れたらヤバそうだ。」

タケゾウはゴクリと唾を飲むと

少し空いた腹を

湧き水で満たした。





「さて。

そろそろ行くか。

うぅ。

少し冷えたな。」

タケゾウは指の先に炎を宿すと

少し温まりながら前に進んだ。






そして体力の続く限り歩き続けた。

やがて睡魔が襲って来たので

そこで睡眠を取ることにした。

少し眠ったところで

物音がしてタケゾウは飛び起き

刀を構えた。





そこにはあのうさぎの魔物が二体

タケゾウを見ていた。





「二体か。

まあ様子見ながら無理なら逃げるか。

っても逃げれるかわかんねーけど。

おし!」

タケゾウは火の玉を二つ作った。

そしてそれを放つと

二体が左右に別れるように避け

一体がその強靭な足で

タケゾウにまっすぐ飛んできた。





「ぐ!速え!!」

タケゾウは刀を構え、その飛び蹴りを

真っ向から斬り裂いた。

いとも簡単いそのうさぎは真っ二つになった。

そしてその隙にもう一体が

タケゾウに飛び蹴りを上空から仕掛ける。

タケゾウは火を体の全面に広げ

後方に飛び、何とかその攻撃をかわした。





「あぶねー。

よし。

今度はこっちから行くぞ!!」

タケゾウは刀を右肩の位置で水平に

構えると、うさぎの魔物に突進した。

うさぎの魔物はその攻撃を

簡単に横にかわし

タケゾウの側面から飛び前蹴りを放った。

タケゾウはその蹴りを

刀を地に突き、受け流すとそのまま飛び

うさぎの魔物の頭上を越え、背後に回った。

そしてそのまま後頭部を斬り裂いた。






「あぶね。

普通の刀ならきっと終わってたな。

さすがだな。」

そういうとタケゾウはそのまま二体のうさぎの

魔物をさばいた。

そして火を起こし

焼いて食べた。






「頂きます。

んんー!うまい。

しかし…保存食作るにもな…。

塩も無いし。

全部食うしかないか。」

そしてタケゾウは魔物を二体食べた。








「さすがに食いすぎだな。

眠い。

さすがに内蔵とかは怖いから食えないけど

ほんとこのうさぎうまいな。

あれ…?なんか森がまた変わったような?

あ!なんか霧が出て来た!

まずいかもな。

視界が悪くなるのは困る。

…そういや木の上に出れば

どんな森かわかるかもな。

よし。

今日はこのでかい木に登って寝よう。

もしかしたらそのほうが安全かもしれないし。」

タケゾウは木に登ることにした。






そして上にどんどん登って行く。

太い木の枝に飛び乗り、上に上に進む。

だが。






「この木…どんだけでかいんだよ。

こんなに上に登ったのに

まだ一番上に着かない。」

横に歩くのも、上に登るのも

タケゾウにはすでに無限に感じられた。

仕方なくそこで眠りにつくことにした。






タケゾウは目覚めると

ゆっくりと下に向かい

様子を確認した。




「まだ少し霧がかってるが

ひどくはないか。

ただ、こんだけ薄暗いと

この霧も厄介だな。」

タケゾウは少し悩むと

火の玉を一つ作り

それを灯の代わりにして

前に進むことにした。





そして薄暗い霧の中を進んだ。





どれだけ進んでも何も変わらない森。

タケゾウは水分補給と睡眠を繰り返し

前に、前に進んだ。

何度寝た頃からか、よく眠れなくなっていた。

焦燥感と怒りが積もり

それは歩く気力を奪っていく。

そして空腹が限界に達した。






「くそ!!

なんでこんな目にあうんだよ!

いつもいつも!

…だめだ。

でもあの時よりはマシだ。

何も失ってないし、死んでもいない。

うんうん。

大丈夫。

…あ。」

タケゾウは独り言を言いながら歩いていた。

そして目に飛び込んできたのは

あのきのこだった。

タケゾウはゴクリと唾を飲み込む。





「焼いて…食えば…大丈夫かな?」

タケゾウは空腹に耐えきれず

そのきのこを食べることにした。

見た目はしいたけのような

きのこだったが

この世界ではタケゾウの世界の食べられそうという

概念は通用しない。

だがタケゾウはあまりの空腹に

すでにその考えが頭から飛んでいた。





「しっかり焼いたし、食ってみよう。」

タケゾウは恐る恐るそれを口にした。






「う、うまい!!!

なんだこれ!!!

美味すぎる!!!

どんだけ肉厚でジューシーなんだよこれ!!」

それはタケゾウが食べたこともないほどの

美味さだった。

タケゾウは早速辺りを見て探し始めた。






「あれ一つしかないのか。

くそ。

もっとたくさんあれば腹が満たせるのに。」

タケゾウは探してはみたものの見つけることができなかった。

「ま、でも一つ食えただけでも

随分と心に余裕が出来たな。

昔の俺ならこんな状況になったら

すぐダメになってたろうけど

今は大丈夫だ。

うん。

大丈夫。

っても…早くみんなに会いてーな。」

そんなことを思いながら

あぐらで両の手を後ろの地面につき

空を見上げた。

空は見えるはずもなく

そこは暗い、森の中だった。

だがタケゾウの前に

希望が歩いてやってきた。

それも複数。





「タケゾウ!!」

「タケゾウさん!!」

「…うう…タケゾウ…です?」

「え!?」

タケゾウはその声を聞くなり飛び上がり

前を見た。

そこにはルーナ、マルース、そしてルーナに背負われて

アレースが立っていた。





「みんな!!!」

タケゾウはすぐさま皆の元に駆け寄った。





「アレース!!

ほんと…よかった…無事で!!」

「タケゾウ!!

生きててよかった!

その感動の再開で悪いんだけど

お願いがあるの!

アレースが怪我をしてて。

あたしが再生をしたんだけど

魔力がもう無くなりそうで

頼める?」

「もちろん!!!」

ルーナは背負ってるアレースを降ろし

タケゾウが再生を始めた。





「アレース。

これで大丈夫だと思う。

どう体の調子は?」

アレースがゆっくりと起き上がる。

「はいです。

大丈夫です。

タケゾウ。

あり…がとです。

お久しぶりです。」

「アレース。

守れなくて…その…ごめ」

タケゾウの言葉を遮るように

ルーナがタケゾウを押した。





「危ない!!」

タケゾウは振り返ると

そこには矢が刺さってしまった

ルーナが立っていた。





「ルーナ!!」

タケゾウは倒れて来たルーナを受け止めた。

「タケ…ゾウ…。」

「しっかりしろ!!

今抜いてやる!!」

タケゾウは矢を折ると

そのまま貫通した側から引き抜いた。

「ルーナ!!再生を使え!!」

「そ…れが…うまく出来ない…の。」

「な、なんで…まさか!」

タケゾウは貫通した部分からの出血を止めようと

手を当て再生を使って気付いた。

まさに心臓だった。

そしてルーナの再生、タケゾウの再生を阻害しているものが

あることにタケゾウも気付いた。

おそらくそれは毒だった。





「くそ!!

なんで!!なんで!!」

タケゾウは必死に再生を使いながら

ルーナの止血を試みるもうまくいかない。

手に伝わる鼓動がゆっくりと動くのをやめていく。





「タケ…ゾウ…。

死に…たくない…よ。

助け…て…。」

その美しい瞳から雫が頬を伝う。

「死なせない!!ルーナ!!

しっかりしろ!!!

ルーナ!!!」

ルーナはソっと手を伸ばしタケゾウの

頬に手を当てると悲しそうに

涙を流しながら

その手は地に落ち

息絶えてしまった。






「ルーナ!!

しっかりしろ!!!

ルーナ!

あぁ…なんで!!

誰が…誰が!!!!!

誰がルーナを!!!!」

タケゾウは矢が飛んできただろう方を

ようやく見た。

そしてそこに立ち、弓を持っていた者を見て驚愕した。






「サヤ…サヤなのか?

なんで…?なんでこんなことしたんだよ。

なあ…サヤ…。

なんで!!なんでぇぇえ!!!」

タケゾウはルーナを抱きながら叫んだ。





「タケゾー。

そいつは悪いやつなんだよ。」

サヤがそういうと

横にいたハルもタケゾウに言った。

「仕方ないことなの。

殺すしか方法がないんだから。」

ハルがそう言った瞬間に

マルースにハルが襲い掛かる。

そこにアレースが炎を作り

ハルを一周、炎で覆った。






「焼け死んでです。

この外道が。」

「あ、熱い!!

嫌!!死にたくない!!

息が…でき…タケ…」

ハルはそう言いながら全身を炎に包まれ

その中に消えていった。





「アレース!!やめてくれ!!

頼む!!」

「は、はいです…。」

アレースが炎を消すと

タケゾウはそこに駆けつける。

じっくりと焼かれた異臭とともに

ハルが無残な姿となっていた。

もはやそれがハルだったかなど

外見では判断できない。






「やめろ…みんなやめてくれぇぇええぇぇええ!!!!!」

タケゾウは三人に向かって叫んだが

すでにもう遅かった。

マルースが炎の玉を放つとサヤは活性を使い

身体の力を上げ、素早くそれをかわすと

アレースの足に矢を放つ。

それをアレースは炎の壁で防いだ。

そこで視界を遮ってしまったアレースは

サヤを見失った。

そしてサヤは背後に回り

アレースに矢を放つ。

本調子ではなかったアレースの背から

無情にも矢は貫通。

それを見たマルースが怒りに任せ

炎の玉を無数に放った。

それは見事、サヤの腕に当たり

あっという間にサヤの腕も燃やしていく。

サヤはその状態のまま

剣を抜き

マルースに突っ込んでいくも

マルースの炎の玉の迎撃により

サヤは灰となって消えていった。






タケゾウが倒れたアレースも元に走り

振り返れば義姉が灰になっていた。

そして腕の中でアレースの命が呆気なく

消えていった。

そこに残ったのはタケゾウとマルースのみだった。

マルースはその場に泣き崩れ

タケゾウは呆然としていた。





そしてマルースが立ち上がり

タケゾウに言った。





「なんで姉様を助けてくれなかったんですか!!!

なんでルーナさんが死ななきゃいけなかったんですか!!」

「マ、マルース…すまん…救えなか…」

「そんな言葉、聞き飽きました!!!

そうやっていつもタケゾウさんが弱いから

姉様もルーナさんも死んでしまうんです!!

お前なんかに出会わなければ…お前のせいで!!」

マルースはそう言うと

腰につけていた短刀を抜き

その短刀に炎を纏った後、タケゾウに斬りかかった。

タケゾウは慌てて避け、刀を構えた。





「お、落ち着いてくれマルース!!」

「お前が…お前が全部悪いんだ!!!」

マルースのその表情からは憎しみ以外感じることが

出来なかった。

タケゾウは必死に避け、刀で身を守り

マルースを説得しようとした。

だが、マルースは聞く耳を持たない。





「はぁはぁ。

こうなったらぁぁああぁぁ!!!」

マルースは無数の炎の玉を作った。

「や、やめろマルース!!!」

タケゾウは必死にマルースに話しかける。

そしてマルースのその無数の炎の玉は

タケゾウに放たれることなく

その場で散ってしまった。




マルースはその場に倒れた。

魔力が枯渇してしまったのだ。

タケゾウは慌てて駆け寄った。





「く、くるな!!!

近寄るな!!!」

マルースは片手に握った短刀を

タケゾウに向け威嚇した。

「マルース!!

ダメだ!!

このままじゃ…マルースまで死んでしまう!!

魔力が無くなったら死んじまうんだぞ!!」

「…お前…なんかの手を借りるくらいなら

死んだ方がマシだ!!!」

マルースはそう言うと短刀で

自身の首を斬り裂いた。

ヒューヒューと息の漏れる音と

ともに、さらに自身の体の周りを

炎で覆った。





「マルース!!やめろ!!

マルース!!!マルース!!!」





「姉様…今…いきま…」

そしてマルースは自身の炎で全身を焼いた。






タケゾウはその場に座り込んだ。

そして辺りを見渡した。






「あ…ああ…あああ…うあぁああぁぁぁあああ!!!!!」






タケゾウは絶叫した。

この日、タケゾウは

理由も

約束も

守りたい物も

取り返したい物も










その全てを失った。

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

コツコツ投稿できたらなと思っています。

ブックマーク、評価お願いします。

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