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つかの間の休日

「じゃまずは俺がやった方法で

二人ともやってみるか。

目を閉じて

肩の力を抜いて。」

タケゾウとネルとダイモスは

キルクルスの修練を始めた。





「この後はどうしたらいいんですか?」

「俺が考えたのは

体の中から湧き上がってくる感じつーか

それを外に出して

周りの魔力を感じるっつーかそんな感じ。

言葉でうまく言えないけど

自分の中にある魔力を

まずは感じて高めるとこからかな。」

「わかりました。」

ネルは立ったまま目を閉じて

瞑想を始めた。

ダイモスは座って

瞑想を始めた。





少し時間が経って

シレーヌスとステラがタケゾウの元にやってきた。





「タケゾウ殿。

これは何の修練をしてるのですかな?」

「俺のキルクルスの修練だよ。」

「なんか二人とも

魔力がすごく体に馴染んでるような気がする。

特に見えはしないけど。」

「私達龍人は制限解除リミットリリース

自然に使うから忘れがちだが

本来、体と魔力の調和が重要な

力なのだ。

これは良い修練だ。

私も参加していいかな?」

「私もやる!

基本をしっかりやんねーと

ダメだもんな!

タケゾウ!

ダメだったらちゃんと言ってよ!」

こうして四人が瞑想しているのを

タケゾウが見るという状況になった。





『俺なんかが見てなくても

みんななんかすげー自然体できてるし。

シレーヌスとか完璧だろ。

俺もなんかしないとな…。

腕立てでもすっか。」

タケゾウは皆を見ながら腕立てを始めた。





『…。

もっと俺もなんかしないと!

腕立てくらいじゃダメだな…。』

「シレーヌス。

その状態で魔力を外に出すってのは

できそう?」

「…その感覚がまったくわからんが

…。

ふむ。

全く想像ができんな。」

「周りの別の魔力って感じるか?」

「周りの?

それは皆からということか?」

「いや、なんつーか周りの空気から

っていうか…植物からとかは

感じないか?」

「…すまない。

感じてるような気もするが…。

よくわからない、」

「タケゾウ殿。

俺もわからないわ。」

「私もです。」

「タケゾウ。

私もだ。

全然わかんねーわ。」

「なるほど。

となるとそこからが問題だと思う。

俺のこの力は周りにある魔力と

自分の魔力を結合することによって

できるみたいな事を言われたから

それができないと

できないかもしれない。」

「そうですか…いえ!

私は諦めません!

続けます!」

「私もまだやる!」

「じゃ俺もやるかな。」

「ははは。

ではタケゾウ殿が退屈してしまっているようだし

手合わせなどいかがかな?」

「いいのか!?

頼むわシレーヌス。

俺も強くなりてーんだ!」

「ははは。

良いことだ。

では少し離れてやろうか。」

タケゾウはシレーヌスからの申し出に

二つ返事で答えた。

ステラ、ダイモス、ネルは

瞑想を続行した。





「じゃよろしく頼む。」

「タケゾウ殿。

武器は使わないのか?」

「持ってきてないからな…。

じゃこの棒切れでも使うかな。」

タケゾウは近くに落ちていた

木の短い棒を持ち、構えた。




「では遠慮なくかかってきなさい。

魔法も使って構わない。」

「わかった!

じゃ行くぞ!」

タケゾウはそう言うと

野球ボールほどの炎の玉を作り

シレーヌスに投げた。

この避難誘導の一週間で

タケゾウは火の魔法を多少使えるように

なっていたのだ。

だが、実戦で使うには相手が悪すぎた。






「ふむ。」

その飛んできた炎の玉を

シレーヌスは手に炎を纏い

タケゾウの投げた炎の玉をふわっと

受け止め、まるで自分の炎に吸収したのでは

というくらいにあっさりと消えた。





「ふはは。

可愛い炎だなタケゾウ殿。

まだまだ足りぬな。」

「そんなことくらい

わかってるよ!」

タケゾウはその隙に

背後に周り

木の棒でシレーヌスの頭部を狙い

一撃を放ったが

それはいとも簡単に

シレーヌスの手に纏った炎で燃やされてしまった。




「ぐ!」

たまらずタケゾウは距離を取った。




「すまんすまん。

つい、燃やしてしまった。」

「手加減されまくりだなおい。

少しくらい本気にさせてやる!」

タケゾウは炎の玉をさらに二つ作り

シレーヌスに投げた。

だが、結果は火を見るより明らかだった。





「タケゾウ殿。

そんな雑な出し方では当たらないぞ。」

「ぐ…。

それなら…。」

タケゾウはキルクルスをさらに高めた。

タケゾウの周りには大きく濃い魔力が具現化。

そして一気にその魔力を取り込む。

そして炎の玉をさらに五つほど作りあげた。

それを一斉に投げ、それに次いで

距離を詰める。





「ははは。

これもまだ雑だなタケゾウ殿。」

シレーヌスは軽々とその炎の玉を

消していく。





「それだけじゃ終わらせない!」

タケゾウは炎の玉をさらに五つ作り

近距離で投げた。

だがそれは見当違いの方向に飛んで行った。





「タケゾウ殿失敗ですかな?

ぐは!せ、背中だと!」

その炎の玉が急に方向転換し

シレーヌスの背中を直撃した。

タケゾウは反射でシレーヌスの背後に壁を作り

全弾跳ね返し命中させたのである。

そしてタケゾウはまた距離を取った。






「へへ。

油断してっからだよ!」

「ははは。

これはやられた。

反射を使えるとは思ってもみなかった。

こういう先入観が戦闘では命取りだったな。

私もまだまだ。

タケゾウ殿。

よろしくお願いします。」

「こちらこそ!」

タケゾウはさらに炎の玉を作っては投げた。

シレーヌスは今度は油断せず

全て綺麗に消していく。





『もう油断してねーな。

くそ。

あとはどうするか…。

やっぱ消せない一撃だな。』

タケゾウはさらに距離を取り

キルクルスをさらに行った。

「んじゃま、いくぞ。」

タケゾウは炎をさらに大きく膨らませた。

「タケゾウ殿。

消せないほどの炎を作る気だな。

ではこちらもしっかりと受け止めよう。」

シレーヌスも手に纏った炎をさらに大きくしていく。





「おいこれ…結構ヤバいんじゃねーか?」

「そうですね…。

シレーヌス様が消せば

問題ないですが…。」

「確かにな。

タケゾウ殿も本気だな。

しかし、こんなでかい炎を作るとは

龍人も真っ青だな。」

「ふふふ。

確かにそうですね。

タケゾウ殿は本当に何者なのですかね?」

「そんな呑気に話してる場合か!

私達逃げなくていーのかよ!」

「そうですね。

あれだけの力が衝突すれば

何らかの衝撃が広がるとは思います。

けれど直撃ではないので

逃げる程にはならないのではないですかね。」






「タケゾウ殿。

三人とも逃げることはしないようだな。

その程度ではダメだということのようだよ。」

『カッチーン。』

「は!まだまだこの程度じゃねーかんな。

見とけシレーヌス!」

タケゾウはそういうとキルクルス

さらに使い、体に取り入れる度にその炎が肥大化していく。

タケゾウは魔力をどんどん

炎の玉に注いでいく。






「ははは。

タケゾウ殿。

それは随分とムキになりましたな。」

「ったりめーだ!

やれる限りやんねーと修練とは

言えないからな!」

タケゾウの作った炎の玉はタケゾウの頭上で

城の庭半分ほどの大きさまで膨れ上がった。






「ネル…さすがにこれはやばくねーか?」

「そうですね…強がってもいれなくなりましたね。

ステラさん。

かなり遠くに逃げましょう。」

「最初にそう言ったじゃねーか!」

三人は城の外壁の上まで飛んで避難した。





「んじゃま、シレーヌス。

しっかり受け止めろよ。」

「ははは。

久しぶりに血が沸くわ。

来なさいタケゾウ殿。」

シレーヌスはさらにもう片方の手に炎を纏い

両手を広げ、そこから二つ火柱が上がった。

そして翼を広げ飛び上がった。

タケゾウはそのシレーヌスめがけ

巨大になりすぎた炎を投げつけた。

その速度は速いとは言い難いものだったが

確実にシレーヌスに向かっていった。





「むぅん!」

シレーヌスはその舞い上がった火柱を

巨大炎を横薙ぎにするように左右からぶつけた。

さらにシレーヌスは連撃を浴びせ

巨大炎を霧散させたのであった。





「さすがシレーヌス様だな。

あんなすげー炎の塊を消してしまうなんてな。」

「そうですね。

さすが我王。」

「ぐ…タケゾウ。

あきらめんなー!!!」

シレーヌスはゆっくりと空から降りてきた。





「タケゾウ殿。

あれはいい運動になったよ。」

「まだ終わってねーぞ!」

タケゾウはその後、奮闘するも

火の魔法ではシレーヌスが何枚も上手で

タケゾウの攻撃は単調で単純なものばかりで

遂にシレーヌスに届くことはなかった。





「タケゾウ殿。

気付けばもうお昼になってしまいましたな。

一旦休憩としましょう。」

「ぐ…はぁはぁ…。

キルクルスしたのに…魔力の量では

勝ってるはずなのに…くそ!」

「タケゾウ!すごかったな!

いつの間に火の魔法使えるようになったんだよ!」

「タケゾウ殿すごいですね。

異世界から来たというのは本当のようですね。」

「タケゾウ殿。

休んでいた兵士達も気付けば城壁に上がり

楽しんで見てたよ。

本当すげーなタケゾウ殿は。」

皆が褒めてくれたが

自分の不甲斐なさ、未熟さに

腹が立っていた。

そんな事を思いつつ

周りを見ると城壁の上にたくさんの兵士が詰め寄っていた。

これだけの兵士が休んでいられるのも

避難が順調でほぼ完了したからなのだろう

とタケゾウは思ったが

またすぐに苛立ちを隠せない様子に

戻ってしまった。







「ということで

昼食としよう。

ダイモス。

兵士達にも声をかけてくれるか?

食堂では無理だろうから

皆で外で食べよう。

ネルとステラは私と昼食を作るのを

手伝ってくれるか?」

「いいよ!」

「承知致しました。」

「承知致しました。」

「タケゾウ殿は休んでいてくださいね。」

「そうだな。

タケゾウ殿は休息を。

こんなことになってしまい

避難を手伝ってもらっているが

客人を働かせるわけにはいかんからな。」

「じゃお言葉に甘えて休んでるよ。」





タケゾウはとりあえず腰を下ろした。

『強すぎんだろシレーヌス。

あんな強者でも、あの一撃には反応出来なかったのか。

不意打ちってのが一番怖いんだな。

それにしてもあの火柱は厄介だ…。

なんであんな簡単に切られたんだ。

切られたっつーか吸収でもしたのかな…。

よくわかんねーな…。」

タケゾウは頭を掻きながらさらに考えた。





「同じ炎のはずなのに…。

あーくそ!

俺は少し丸く出した炎を投げることしか

できてねー。

なんか他にバリエーション作んねーと。

後はやっぱ密度っつーか温度か。

高熱であればあるほどきっと

ダメージを与えやすい。

そういや爆発とかできたら

もっと使いやすいよな。

粉塵爆発とか水蒸気爆発だったかな?

あとはステラの使った火薬みたいなの使うとか

そんなとこか。

やることだらけだな。

あ、刀使ったらどうだ?

確か魔力流すとすげー切れ味だったな。

魔法ならもっと…。

試してみるか!」

タケゾウは部屋に急ぎ刀を取りに戻った。






「おし。

さすがにあの兵士の人みんなの食事作りには

まだまだかかるだろ。

実験開始だな。」

タケゾウはそう一人呟くと

庭に窓から飛び降りて戻った。






「さてと。

まずは…。」

タケゾウは刀を抜き

火の魔法を込めた。

すると刀は炎を帯びた。




「おお!

こりゃすげー!

魔法も使えるのか!」

タケゾウはその刀を一振りしてみた。





「あ、消えた。」

炎はあっさりと消えてしまった。

「ぐ…こりゃやっぱ修練しかねーな…。」

タケゾウは火の魔法を使っては一振り

使っては一振りと

何回も試してみたが

そううまくはいかなかった。





「くそ…。

兵士の人達になんか聞いてみるかな…。

これじゃ使い物にならねーわ。

あ、やべ…少し疲れたな。

キルクルス使っておけばよかった。

失敗したな。

はー。

ほんと強くなるって難しいわ。」

タケゾウはそういうと

尻餅をつくように

庭に座り込んだ。





そして何の気なしに城壁を眺めると

そこには遠目から見ても分かるほど大きな

何かとその周りに複数の人影があった。





「ん?あれは…?」

そしてその大きな何かが奇声を発し

城壁から飛び降りてこっちに向かってきた。





「まさか!あれは!

モーティアか!」

タケゾウは一気に戦闘態勢を整え

その奇声に気付き振り返る兵士達の脇を

タケゾウは魔力を纏いながら駆け抜けた。





そしてモーティアに突進すると一気に斬りかかった。

キンっと鋭い金属音と共にタケゾウの斬撃は

モーティアとの間に入ってきた

者に止められてしまった。

だがその斬撃は

モーティアの突進を止めることに

成功する形となった。

そこに複数の黒いローブを

纏った者達が集まった。




そしてタケゾウの斬撃を止めた

者は、その持っている刀をゆっくりと下ろした。




タケゾウは一旦後ろに飛び、距離を取った。

「お前ら何者だ!」

「…タケゾー…タケゾー!」

斬撃を受け止めた人物が

そのローブを外し

タケゾウの名を呼んだ。

タケゾウはその顔を見ると

驚きが隠せないと言わんばかりに

目を丸く見開いた。




それはタケゾウに取って聞き覚えのある

優しい、陽だまりのような声だった。






読んでいただきありがとうございます。

コツコツ投稿できたらと思っています。

よろしければブックマーク、評価お願いします。

楽しんでいただければ幸いです。

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