表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/89

いざ決勝



「う…ぐは…あ…ああ…。」

『は、速…す…ぎる。

自惚れ…て…いた。

死ぬ…こ…とはねーだ…ろと心のど…こかで思…っていた。

死に…たく…ね…。

こいつ…ヤ…バい…強す…ぎる。』






決勝戦。

タケゾウはその獣人との戦いが

どんな戦いになるか

実は内心ワクワクしながら石畳に上がった。

誰かに期待されるのは

やはり悪い気はしなかったのだ。

ルーナとアレースの速さに

全くついていけなかったが

先手必勝で即間合いを詰め

攻撃を仕掛けようと考えていた。

身長は自分より小さいため

リーチ的には有利だろうと思ったのだ。

黄色く縁取られた黒い瞳に白髪の髪。

そして何と言っても特徴的な翼と手足の鋭い爪。

まさに獣人というか鳥人のような出で立ちだ。

まだ少しあどけないその顔から

タケゾウと同じくらいの歳だろうと推測できる。

少し中性的な顔をしているが

おそらく性別は男の子だろう。





「両者いいか?

では…始め!」





その瞬間だった。

タケゾウの腹部は強烈な痛みに襲われる。

その痛みとともに

後方に飛んだかと思えば背中に強烈な痛みが走る。

くの字に曲がった体は今度は海老反りになり

今度は左右上下から強烈な痛みが体を走り抜ける。

少し宙に浮いたままほぼその場で攻撃を受け続けた。

意識が遠のき

ようやく地面に落ちることができた

と思ったその時には

タケゾウの周り一帯が

タケゾウの血で染められていた。

そして倒れたタケゾウの肩を

その鋭い爪の手で掴み、そのまま持ち上げた。

爪から指までがタケゾウの肩に

思い切り刺さり

さらにタケゾウの体重で奥へ奥へと突き刺さる。

タケゾウは開始数分で

すでに虫の息まで弱っており

突き刺さる爪に痛みすらもう感じることの

できない状態になっていた。

あまりの惨状に会場は静まり返ってしまった。






「タケゾウ!しっかりして!」

「タケゾウさん!」

「タケゾウしっかりしろ!」

たまらずルーナとマルースとステラが席を立ち

石畳の端まで駆け寄ってタケゾウに声をかける。

獣人はそれを見るとタケゾウを

ルーナとマルースとステラの方に投げ

タケゾウは場外となった。





「しょ、勝者……イオ…。」

司会の男が勝者を告げたが会場は

このあまりにも一方的な暴力に未だ静まり返っていた。






「タケゾウ!今すぐ治してあげるから!」

「ルーナさん!私も少しながらできます!!」

「私も出来る!」

「マルース!ステラ!手伝って!」

「はい!」

「わかった!」

ルーナとマルースとステラは必死に再生を施した。

骨は粉々に砕け

そこら中に爪でえぐられたような傷

肩には指の大きさの穴が開いていた。

そして何より大量の血を流してしまったタケゾウ。

死んでいないのが不思議なくらいの重症だ。

だがそこは魔王、ルーナ。

あっという間にその傷を治していった。

一応のところ、死の危険を脱したタケゾウ。

ルーナとマルースとステラもホっと胸を撫で下ろす。

そして抑えていた殺意が膨れ上がる。






『あいつ…武闘会でなければ…。』

『あの人…武闘会でなかったなら…。』

『あの野郎…武闘会でなかったら…。』

さすがに抑えているとはいえ

その三人の強者からの殺意にイオも気付いた。

三人を見た後、少し悲しそうに目を逸らした。





「三人とも…。

気持ちはわかりますがその殺意はしまうです。

一応武闘会です。

これは正々堂々戦った結果なのです。」

「は、はい…。

けれどやりすぎなように感じますよ姉様!」

「あたしもそう思う!」

「そうだよアレース様!

これはいくらなんでもやりすぎだってーの!」

三人はそう言って振り返ってアレースを見た。

「ア、アレース…怒ってるの?」

「姉様も出てますよ…。」

「う、うん。

隠せてすらいないぞ。」

アレースは拳をぎゅっと握りしめ

殺意を抑えてはいたがすでに顔から滲み出ていた。

「かはは。

アレース様も皆と同じ気持ちって

ことだなこりゃ。」

ゼニスが笑い飛ばしたその後に

タケゾウが目を覚ます。





「み、みんな…ごめん…また迷惑…かけちまった。」

「「「「タケゾウ(さん)!」」」」

タケゾウはゆっくりと上半身を起こした。

「無事で本当によかったですー!」

「タケゾウ!ほんとによかった!

死んだらどうしようかと思ったわ!」

「かはは。

思い切りやられたなタケゾウ。」

「タケゾウさん…ほんと…本当によかった。」

「タケゾウ!心配したんだからな!」

皆がタケゾウに一斉に声をかける 。

「ああ。

しかし…ほんと強かった…。

まだまだだな。」

タケゾウは拳を握り、それを眺めながら言った。

何もできなかったことを再確認したようだ。

「タケゾウがまだまだなのは

今に始まったことじゃないよ。」

「確かにそうですね。

タケゾウがまだまだなのは今もですよ?」

「ふ、二人とも少し優しくしてあげたほうが…いいです…。」

「ほんとだよ。

二人とも俺に言い過ぎだ。」

「「「「ぷ」」」」

「「「「あははははははははははっ!」」」」

笑いとともに皆が安堵した。

タケゾウは

本当は死ななくてよかったと安堵もしていた。

死なないだろうと

もし怪我をしてもルーナがいると

自分の中に甘えがあったことに

気付いてしまった。

その情けなさと負けたという不甲斐なさに

怒りを感じたが

皆で話していてそれも少し着いたようだ。






「さぁタケゾウ。

元気になったなら表彰式です。

優勝と準優勝は表彰されるです。」

アレースとマルースがタケゾウに手を差し伸べ

タケゾウは二人の手に掴まり

立ち上がった。

「ありがと。

そうなのか。

わかった。」

「タケゾウさん準優勝もすごいことですよ!

おめでとうございます!」

「そうだぞ。

俺に勝っての準優勝なんだ。

もっと胸張って表彰されてこい。」

ゼニスはタケゾウの胸に拳をトンっと当てた。

「タケゾウ…。

その…悔しいとは思うけど準優勝も立派な結果よ。

ほんとーにおめでとう。」

「そうだよタケゾウ!

ほんとすげーと思う!

おめでとう!」

「みんな…そのありがとな。」

みんなが気を使って

褒めてくれればくれるほど

何もできなかった自分が

不甲斐なく思ってきてしまう

タケゾウだった。

落ち着いた感情が少しずつだが

タケゾウに負けを伝え

皆に背を向け

一人、涙流した。

皆はそれを優しく見守った。





そしてルーナとマルースと

ゼニスとステラは席に戻っていった。

タケゾウはアレースと

一緒に表彰を行う石畳の中央に向かった。

「アレースが表彰してくれんのか?」

「そうです。

ふふ。

タケゾウ。

目が赤いです。

どうしたです?」

アレースはタケゾウを少しからかうように

タケゾウの目の端にまだ残っていた雫を

指でソっと撫でた。

「べ、別に赤くなんてねーだろ!

泣いてねーし!」

タケゾウは恥ずかしさのあまり

目を腕でゴシゴシとこすって顔を

隠した。





「ふふふ。

あの…タケゾウ。

ありがとです。」

「ん?

え?

なんで?

ありがとはこっちのセリフだよ。

どうしたんだ急に?」

「なんでもないです。

タケゾウが頑張ってるのを

見たらわたくしも勇気が持てたです。」

「あ?ああ…。

まあ諦めず頑張ったつもりだから

そう言ってもらえるのは

嬉しいけど…。」

「ふふ。

タケゾウかっこよかったです。」

「あ、ああ。

ありがとな…?」

『アレース…緊張してんのかな?

表彰式だからか?』

アレースの表情は少し緊張しているように見えた。

今からの表彰式は国を代表して

民の前に出るので緊張しないほうがおかしいが少し様子が変である。





「では、表彰式に移りたいと思います。」

司会の男が引き続き、表彰式の司会も進行する。





「準優勝、タケゾウ!」

盛大な拍手とともに首飾りをアレースがタケゾウにかける。

「この度の戦い、誠に素晴らしいものでしたです。

今後もこの結果に満足せず、日々精進することを願うです。

おめでとうございますです。」

『アレース?

やっぱりなんか変だ…。

何かあるのか?』





「そして優勝は…イオ!」

イオにも盛大な拍手が送られた。

イオにはシレーヌスが首飾りをかける。

そして優勝者に手渡される石盤をシレーヌスが渡そうとした。





その時であった。





「なっ!!」

タケゾウはすぐ横で起きた出来事に目を疑った。

イオがその鋭い爪でシレーヌスを攻撃したのである。

そしてその間に割って入ったのが…。




「アレース!!!!」

「姉様!」

「アレース!!!!」

「アレース様!!!」

タケゾウ、ルーナ、マルース、ゼニス、ステラ

の悲鳴にも似た声が会場に響いた。




血飛沫だけがそれに答えるように

夕陽に照らされながら宙を舞った。


読んでいただきありがとうございます。

早く書けましたので

投稿します。

よろしければ評価、ブックマークお願いします。

次回投稿は27日を予定してますが

今日休みなので今日中になんとかもう一話投稿できればな

と思っています。

楽しんで頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ