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いざ武闘会

アクセスありがとうございます。

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武闘会当日。


タケゾウは朝から軽く一人で修練を行い

今はマルースとサリースとで朝食を取っている。

ルーナとアレースは朝早く会場に向かった。

今日は魚人族の王が来るからである。

ヘイズとステラもやることがあると

いい、『また後で』

と朝早くに帰って行った。




「サリース。

今日はどうする?

見にくるか?」

「ぐおん…ぐおん。」

「そうか。

まあ気が向いたら来てくれよ。」

「タケゾウさん。

サリースはなんて言ってるんですか?」

「ん?

気が向いたらって言ってると思う。

多分だけど

気に入った昼寝場所ができたから

そこで寝るっぽい。」

「な、なるほど…。

というかタケゾウさんよくわかりますね。」

「なんつーか感じるみたいな

雰囲気みたいなそんなとこだよ。

ほんとは行くって

言ってるのかもしれないしな。

ははは。」

「そう、ですか。

ところでタケゾウさん…。

緊張とかしてないんですか?」

「まったくしてないな。

今の所はだけど。

むしろワクワクしてるよ。

寝たら思った以上に

回復してるしさ。

それに俺にはマルース師匠がついてるしな。」

「そ、そんな…。

あの…応援頑張ります私!」

「ああ。

ほんといつもありがとな。」

「い、いえ。

じゃ早く食べて会場に向かいましょう。

サリース。

お昼寝飽きたら来てね。

そしたら一緒に応援しよう。」

「…ぐおん。」

サリースは気のない返事をすると飯を一気に食べて

お気に入りの昼寝場所に向かっていった。

「んじゃま、頑張りますか!」

「はい!」

タケゾウとマルースは準備の後、会場に向かった。

タケゾウの足取りは軽く

昨日のフラフラしていた感じはないようだ。






「す、すげーな。」

「どうしたんですかタケゾウさん?」

「い、いやいつもは活気のある街なのに…

今日はもぬけの殻だ。

もしかしてみんな武闘会見に行ってるのか?」

タケゾウは驚きながら

辺りをキョロキョロと見渡しながら言った。

「はい。

街というかヨンヤラの民の

ほとんどが参りますので

会場はかなりの混雑になりますよ?

しかも今回は魚人族の王まで来ますので

おそらく会場の盛り上がりは例年以上かと思います。」

「そ、そうか。

ようやく緊張して来たわ。」

タケゾウは頭を掻き

胸に手を当て

一呼吸した。

そんなタケゾウを見たマルースは

微笑みながらタケゾウに言った。

「ふふ。

遅いですよタケゾウさん。

緊張しすぎてすぐに負けたりしないでくださいね。」

「わ、わかってるよ。

さ、行こーぜマルース。」

「はい。」

タケゾウとマルースは

いつもと違う活気のない街を抜け、会場を目指した。





「こ、こんなに人が…まじかよ。」

タケゾウの眼前には人、人、人。

そしてさらに驚くべきは会場の広さである。

その人数を全てではないにしろ

収容可能なその会場の広さは

おそらくゴルフ場一つ分はあるだろう。

東京なんとかというドームに例えることもできない程の大きさだ。







「マルース。

ようやく緊張してきた。」

タケゾウはその人の多さに

圧倒されている。

「ふふ。

むしろ遅いです。」

人混みを掻き分けながら

タケゾウとマルースは進むが

一向に会場は近くならない。




「今回の武闘会は本当に混んでますね…。

このままじゃ間に合わないかもしれないのです…。」

「確かに、この、人混みじゃ、

間に合わ、ない、かもね…。

ほんと歩きづらい!」

タケゾウはマルースの前を歩きながら

必死に人混みを割って行く。

マルースはタケゾウの背中の服を

つまみ、それについていった。





人混みがさらに増し

タケゾウは振り返り

マルースに言った。

「マルース…こりゃダメだ。

はぐれないように手を。」

タケゾウは手を差し出す。

マルースはその手を握り

タケゾウはそれを確認すると

また歩き出した。

マルースはタケゾウの少し見える

顔を見て思った。

『なんか…祭りのときみたい…。

タケゾウさん…間に合いたいだろうな…。

手の感じで必死に前に行こうとしてるの…

わかるなー。

私が何とかしたいな。』

繋いだその手から

タケゾウの意思がマルースに伝わった。

マルースは恥ずかしいと少し思ったが

進むタケゾウを見て

何とかしたいと

強く思った。

その気持ちは恥ずかしさを押し退けて

マルースに決断させる。


「タケゾウさん…その…飛びましょう。」

「た、確かに、それは、名案かも!。

これじゃ間に合わないよなきっと。

会場、着い、たら日、が暮れるわ。

マルース頼む!」


「は、はい!

そ、その…どこを掴めばいいでしょうか?」

「んーと…

手掴んでたらマルース疲れちまうかもしれないし

俺がマルースにしがみつくよ。

翼はどこから出すんだ?」

「つ、翼は背中からですので…その後ろだと少し飛びにくいかと思います。」

「そうか。

んー…マルース。

正面から抱きしめるみたいになっちゃうけど…

嫌じゃないか?

嫌だったら他に…。」

「い、嫌じゃないです!

あの、嫌じゃ…ないです…。」

マルースは精一杯の声を出して否定した。

恥ずかしさのあまり下を向いてしまったが

しっかりと肯定した。

心臓は高鳴り

下を向きながら

この後に起こるであろう出来事を想像して

頭からポシュっと気の抜けた煙が上がった。






「マルースが嫌じゃないなら頼む…。

ただ…やっぱ恥ずかしいな。

ははは。」

タケゾウも想像してしまい

マルースから視線を外し、照れ笑いしてしまった。

顔も赤くなっている。

「で、では…。」

そういうとマルースは翼を出した。

「タケゾウさん…いいですよ!」

マルースは覚悟を決め

両手を広げ、目をぎゅっと閉じ

受け入れ態勢を整えた。





「お、おう。」

そしてタケゾウはマルースをぎゅっと抱きしめた。

マルースはそっとタケゾウの背に手を回した。





「おーおーお熱いねお二人さん!」

「羨ましいなーあの男!」

そんな冷やかしの言葉が二人に向けて発せられたが

当の本人達にはまったく聞こえていない。

『ど、どうしよう!どうしよう!

飛ばなきゃ!ああ…き、きんちょうしてもう…』

「マ、マルース。

俺さ…誰かを抱きしめたことなんてないから…

そ、その苦しかったら言ってな。」

マルースの耳元でタケゾウが恥ずかしそうに囁いた。

その囁きはマルースを天に登らせたのであった。

文字通り。






「マルース!お、落ち着いてくれ!」

「え!?ええ!

会場があんなに小さく…あ!私飛びすぎたんですか!?

い、いつの間に…

す、すいません!

今戻りますので。」

「いいよマルース。

そんなことより見てみろよ。」

眼下には雄大な自然と

ものすごい大きな武闘会の会場が少し小さく見えた。

木々は緑に輝き

その間には異世界特有の美しい木々達が輝いていた。

積乱雲が遠くに立ち上って見えている空。

まるで晴れた夏を移し描いた絵画を見ているようだ。

タケゾウの髪とマルースの髪をそんな温かい風が下からソっと吹き上げ

夏の匂いを届けた。

「夏の匂いがした…。

マルース。

俺、こんな綺麗な景色は初めて見たよ。」

「私も初めてこんなに高く飛びました。

すごく綺麗…。」

「…ありがとなマルース。」

「え?何がですか?」

「この綺麗な景色のおかげで緊張がほぐれたよ。

おかげでいい戦いができる気がする。」

「よ、よかったです。

タケゾウさん。

無理しないで…その頑張ってください。」

『落ち着く。

夏の匂いに混じってタケゾウさんの匂いがする。

もっと二人で…ゆっくりしてたいなぁ。

私…タケゾウさんと…これからも一緒に…』

「なんかこんなに落ち着くの久々だ。

このまま二人でずっと見てっか。」

「な、何を言ってるんですか!

あんなに頑張ったのに!

今すぐ会場に向かいます!」

「へへ。

冗談だよ。

マルースならそうやって叱ってくれると思ってたよ。

んじゃま、行こうマルース。

けどゆっくり降りて

もう少し二人でこの景色楽しもうな!」

タケゾウの顔はマルースには見えないが

きっといつものように

笑っているんだと思ったマルース。






「ま、まったくもう!

タケゾウさん私のことからかわないでください!

…じゃちょっとだけですよ…。

ゆっくり降ります。」

『タケゾウさんも少しは同じこと思っててくれたんだ。

…嬉しすぎて…胸が熱い。

けどすごく落ち着くな…。』

二人はしばし空の旅を楽しみながらゆっくりと会場に降りていった。





「タケゾウ達遅いなー。

アレースもそう思わない?」

「そうですね…。

会場が例年より混んでいますので

そのせいかもしれませんです。」

「確かに混雑してるもんねー。」

「タケゾウ。

もしかして間に合わなかったりしてな。」







会場にはすでに関係者席に皆座っており

シレーヌスを含む龍人族、真ん中に魚人族とその王

そしてその間を取り持つようにニチカ、アレースと

魔人族の王ルーナとその関係者数名。

そこにステラも座っている。

ヘイズの姿は見当たらない。

会場はすでに超満員で熱気もかなりのものである。






「さあー出場したいやつはもういないのかー!!

もう締め切るぞー!」

司会者の男が会場を煽るように参加締め切りを告げる。






「もう!

タケゾウ達は何してるのよ!」

「ほんとです…このままじゃ本当に締め切りになってしまうです。」

「ほんとだね…タケちん達遊びに行っちゃったのかなー?」

「このままじゃほんとに間に合わなねーって。」

するとルーナが上空のフラフラと降りてるなにかに気付いた。

「あれ?

あのふわふわ降りてくるの何?

人?」

「あ、ほんとだー。

まさかの敵襲とか?」

「ニチカ様…さすがにこんな猛者ばかりが集まるところに

敵襲なんて敵もどうかしてるです。

…ではなんでしょう?」

会場にいる者達が上空にいる人のような物体を見つけ

ザワつき始めた。






「王、一応お下がりください。」

各国の護衛達が皆前に出て、戦闘態勢を作る。






「おー!!なんだあれは!!

新手の参加者かー!!」

司会者の男もその存在に気付き

さらに会場を煽る。

会場は一気に盛り上がりを見せた。

そしてその人が二人であること

抱き合いながら降りてくるのが

視認できるところまで降りてきた。





「マルース?タケゾウ?…です?」

「あ、あ、あ、あの二人は何してるのー!!!」

「あ、あいつ!

な、何してんのー!!」

「ルーナ!

ステラ!

落ち着くです!!」

「タケちんやるー。

こんな登場…

派手すぎるー。」





そして二人はゆっくりと会場の真ん中

武闘会が行われる石畳でできた場所に降りてきた。

その頃には会場の二人の雰囲気に飲まれ始め

どうなるのか期待を寄せながら静まりかえった。






「タ、タケゾウさん。

着きました。」

「ああ。」

そういうと抱き合っていた手をほどき

タケゾウはマルースの両肩に手を乗せた。

会場全体がごくりと息を飲む。

そしてタケゾウはマルースの肩をぐっと引き寄せた。

「ありがとマルース。

行ってくる。」

タケゾウはマルースの耳元で囁いた。

「は、はい!

私も応援します!」

マルースがそういうと

タケゾウは『おう!』といって親指を上げ、踵を返した。





「遅くなったな。

まだ参加間に合うか?」

「いいねー!!じゃお前で参加者は打ち切りだーーー!!!」

その瞬間会場がドっと沸いた。

おそらく見る席によっては

口付けを交わしたように見えただろう。

そうでなくても

親しいのがわかる登場だ。

そしてまさかの巻き起こったのがマルースコール。

マルースはハっと我に帰り

恥ずかしそうに関係者席に向かった。






「お、遅く…なりました。」

「マルース…。

これはさすがに…やられたです。」

「マルース様もやっぱりそーだったんだな。」

「マルースぅぅぅぅ。

これは一体どういうこと?!

ま、まさか…今日二人が…あんな…。」

ルーナ、アレース、ステラは

珍しく心が折れそうになっていた。

そう。

この席は口付けを交わしたように見えた席だ。

しかもタケゾウから。

だが顔が横にズレたようにも見えたので

半信半疑ではあった。

「あ、いやこれは…その…。」

マルースはドキドキが収まらず

思い返して顔を真っ赤にしてしまい

さらに周りが勘違いする。





そこに選手登録したタケゾウが戻ってきた。

「タケゾウ。

マルースと何を…何をしてたの?」

「そーだよタケゾウ。

わざわざあんな見せつけなくても…。」

「タケゾウ。

もう答え…出たです?」

ルーナ、アレース、ステラは

タケゾウに聞きたくないことを聞いた。






「ん?俺が緊張してさ。

遅れそうってのもあったけど

緊張をほぐすためにすげー高く飛んでくれてさ。

ほんと綺麗だったよ。」

「そ、それもだけど…最後のあれ!

なんで…昨日の…今日で…また…。

しかもタケゾウからなんて…。」

ルーナはタケゾウに言った。




「え?

会場が少しざわざわしてたから

ちゃんと聞こえるように

耳元で話したんだけど

それのことか?」

「そ、そうですよ。

皆さん一体そんな顔をして

どうしたのですか?」

ルーナ、アレース、ステラは

その回答を聞くまで

悲壮感丸出しだったが…。




「そう…だったです…。」

「そーなのか…。」

「……そう。」

『『『よかったーーーーーー。』』』

ものすごい安堵の表情にかわった。

皆がとりあえず背を向け

胸に手を当て

呼吸を整えて振り返る。




「だいたい遅すぎなんだよ!

登場も派手だし!」

「っそーです!

心配したです!」

「ほんとよ!

こんな大切な時に遅くなるなんて

ほんと何考えてるの!!」

三人からタケゾウへ

集中砲火だ。

「い、いや

間にあうように出たんだけど

予想以上に混んでてさ。」

「そ、そうなんです。

な、なので抱き合いながら

その…空から…。

タケゾウさん。

私嫌じゃなかったですよ。

その二人で…あの景色見れて嬉しかったです。」

マルースが火に油を注ぐ一言を言ってしまう。

「「「マルース!!」」」

三人が飛びかかりそうになったその時に

タケゾウが言った。




「俺もだよ。

本当に綺麗だったよな。

みんなはものすごい高く飛んだことあるのか?」

「あたしはあるわよ…。」

「わたくしもあるです。」

「…私はそんな高くはないかな…。」

「ステラはないのか。

すげー綺麗な景色だったぞ。

そうだ!

武闘会が終わったら

みんなでいこう!

すげー綺麗なんだ!

夜景はどんなに見えんのかなー。

あ、みんなが嫌じゃなきゃだけど…。

お、行かなきゃ。

じゃ考えておいてくれよー。」

タケゾウはそう言うと

石畳に走っていった。





「あはは。

ほんとに空気読んだり

しないやつだなータケちん。」

ニチカがそう言ったが

皆は思い思いの世界にいた。





『タケゾウと…あ、あんな風に抱き合って…。

それこそ天にも登っちゃう。

今日の夜必ずあたしが

連れてってあげよう。』

『タケゾウさん。

あんな風に喜んでくれるなんて…。

今日の夜も私が連れてってあげよう。』

『タケゾウは高いとこ好きなんだな。

今日の夜は私が連れていこう。』

三人は頑張るぞというポーズをそれぞれとった。




アレースはタケゾウの背を見つめ

ニチカの隣に座った。

「タケゾウ。

頑張るです!!」

「…そうだね。

タケちん頑張れー。

ほらそこの三人。

始まるよー。」

「「「あ、は、はい!」」」

ニチカに呼ばれ三人は急ぎ席に着いた。







ついに武闘会が開幕する。







読んでいただきありがとうございます。

よろしければ評価お願いします。

次回投稿は24日を予定しています。

よろしくお願いします。

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