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ステラの仕事

アクセスありがとうございます。

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「そろそろなんの依頼か教えてくれても

いいんじゃないかステラ。」

「着いてからでも遅くないって。

何回も説明するのは

めんどうだしさ。」

「そりゃそうだけどさ。」

タケゾウはステラと一緒に街の外に来ていた。





「ここ覚えてる?」

「ん?ああ。

ここはステラに初めて会ったとこだな。」

「そう。

それでさ…その時の依頼が

実はまだ終わってないんだよね。」

「盗賊が出るっていう話のやつか?」

「それ。

それとね…なんか魔物も近くに住み着いたみたいで

それの調査も兼ねて来たってこと。

どう?

タケゾウを誘った理由納得した?」

「あ、はい。

そういうことだったんだな。

あん時は…悪かった。」

「ほんとだよ。

って嘘。

もうなんとも思ってないし。

そんでその盗賊のことが少しわかったから

あとは寝ぐらの場所がどこなのか

調査すればいーってこと。」

「なるほど。

ちなみに住み着いた魔物って

どんな魔物なんだ?」

「そいつは腕が四本あって

体長は様々なんだけど四メートルくらいにはなるかな。

目は一つでツノが一本生えてて

真っ黒な毛が胸以外を覆ってる感じのやつ。」

「そ、それってもしかして…。」

「知ってるの?

名前はモーティアって言うだよね。」

「そ、そうか…。

まあ、逃げるだけならできるだろうし…。」

「そっちは今日はついでだから

気にしなくても大丈夫。

っても盗賊には襲われたらめんどくせーから

なんとか見つからないように探りてーな。」

「わかった。」

そう言いながらさらに草原を進む。






「じゃタケゾウ。

そろそろ気を引き締めろよ。」

その草原をさらに進んだその先に

少し大きな川が流れていた。

それをさらに川沿いに下って

先に進むと岩が増え

その先が池のようになっていた。





「なんか岩が多いな。」

「雨が降るとこの川の水がどんどん増えて

あの山からたくさん岩を運んでくるのさ。

そしてその岩がたまってできたのがあの池。

さっきの草原はここより高い位置にあって

どんどん岩がたまるってこと。」

「なるほど。

確かにかなり下った気もする。

それに少し谷みたいになってるんだな。」

「雨が降るとここは水に沈むからな。」

「なるほど…。

この奥にさらに行くのか?」

「そゆこと。

とは言ってもあの池の先に

おそらく盗賊がいるはずだから

そこまで奥には行かねーかな。」

「わかった。」





タケゾウとステラは息を潜め

池まで歩いた。





「タケゾウ。

そこの岩に隠れて。」

「わかった。」

少し大きめな岩に身を潜め

池のほとりを観察したが

特に人のいる気配はない。

池の大きさはそこまで大きくはなく

横幅百メートルほどだろうか。

その先で川は何本かに別れ

森へと続いている。





「人の気配はないな。」

「そーね。

うーん。

もう移動してんのかもな。

ん?

今なんかあっちで動いた気がする。」

「俺も見えたな。

ってあれもしかして…。」

タケゾウとステラのいる

岩ののちょうど反対側の

池の奥の木々の間を何かが動いた気がして

よく見ると

そこにはモーティアがいた。

どうやら池に水を飲みに来たようだ。




「タケゾウ。

あれだな。

モーティアは確認できたし

とりあえず今日はこれでいっか。」

「いーのか?

もっと奥に行って調べなくて。」

「いーんだよ。

この奥は木が増えて視界も悪くなるから

二人じゃ厳しい状況になるかもしんないし。

あ、ほらな。」

そこにはさらにモーティアが現れた。

その後続々と出て来た。

その数およそ二十。





「あの数に襲われたら

二人じゃ逃げ切れさえしないかも

しんねーだろ?」

「た、確かに。

あいつら群れで行動してんのか。」

「それは様々だな。

一匹でいることもあるし。

じゃタケゾウ。

草原まで戻ろう。」

「わかった。」

タケゾウとステラは足早に

池を後にした。







「ふう。

こんな調査もしかして

一人で行こうとしてたのか?」

「まーね。

こんなんいつものことだよ。

さすがに夜は一人では動かねーけど。」

タケゾウとステラは街が見えるところまで引き返していた。





「夜はさすがにあぶねーもんな。」

「そうそう。

変なやついるからな。」

「う…それはごめんって言ったじゃんか。」

「あはは。

嘘嘘。

少し休憩するか。」

「ああ。」

そう言うと二人は草原に腰を下ろした。




「あ、そういえばステラさ。

髪綺麗になった?」

「い、いや…。

少しは綺麗にしたよ。」

「へぇ。

見せてみろよ。」

「し、しょうがねーな。」

そう言うとステラはローブ自体を脱いだ。




「おお!!

すげーじゃん!

見ただけでサラサラなのがわかるわ。

女がグっと上がったな。」

「う、うるせーな。

でもやってみて悪い気はしてねーよ。」

『やったー。

今日の朝も入念に手入れした甲斐があったー。』

ステラは表情はそのままに

心の中でガッツポーズをした。




そしてタケゾウは目を少し見ていた。

そのことに気付き

ステラは言った。

「この目のことか?」

「ん…いや悪い。

ちょっと見てしまっただけだ。」

「いーよ。

これはさ。

小さい時にできた傷なんだ。

その日は親が夜に出掛けててさ。

私のとこはヘイズ兄と

もう一人兄貴がいてさ。

その日はヘイズ兄と私で留守番してたんだ。」

「うん。」

「それでさ。

いきなりドアが開いたと思ったら

男が入って来てさ。

物盗りだったんだ。

入って来た物盗りにヘイズ兄は

魔法で攻撃して見事命中。

倒したと思ったんだ。

そんで油断したヘイズ兄に突如男が

斬かかってきて

私がその間に入ってこのザマだよ。

そんでヘイズ兄が

その男にまた魔法で攻撃して

応戦してるところでギルドの人が助けに来てくれて

命からがら助かったってわけ。

一命は取り留めたけど

私の目から光は失われましたって

とこかな。

その後は…まぁこの傷で

色々からかわれたり

そんな感じかな。

けど私としては名誉の負傷だから

今は全然気にしてないけどな。」

「そう…だったのか…。」

ステラは笑いながら簡単にタケゾウに傷の経緯を話した。

タケゾウはその話を真剣に聞いていた。





「そんでヘイズ兄は責任感じてさ。

ギルド入るって言って今に至る感じかな。

そんでマスターなってから

魔族の偉い人とかにお願いして

やってみたり

腕自慢の魔族をギルドの伝いに呼んで

やってみたりしたけど

結局治りはしなかった。

でも最初よりはいくらか見た目はマシになった

気もするけどな。」

「ステラのその傷ってさ。」

「うん。」

「その…今は再生とか定期的にやってもらってるのか?

少しは良くなった気もするんだろ?」

「今はもうやってねーよ。

こんだけやって治らなかったんだ。

べ、別に気にしてねーしさ。

傷ついてから

時間が経ち過ぎてたのと

失った視力ってのは

どうしても戻らないんだろ。」

「そう…なのか…。

やっぱり魔法は万能じゃないんだな。」

「そりゃな。

魔法は生活に欠かせないものだけど

なんでも魔法でできるわけじゃないし。」

「そうだよな。

すまん。

変なこと聞いたわ。」

「いやいーよ。

気にしてないってーの。

なんならタケゾウも

挑戦してみる?

私の目治せるか。」

ステラは笑いながら面白半分にタケゾウに言った。

タケゾウはそんなステラに真剣に言った。





「やらせてくれ。」

ステラは驚きながら言った。

「い、いやいいって。

そんな真剣に言うなよ。

冗談だってーの。」

「いや、俺にならもしかしたら

治せるかもしれないだろ。」

「あのね。

魔族の偉い人にもやってもらって

治らないんだからタケゾウに…。」

ステラはタケゾウが自分をジっと

見つめていることに気付き

言葉を止めた。





「ど、どうせできないだろうけど

それで気が済むならやっていいよ。」

「わかった。

準備するから待っててくれ。」

タケゾウはそう言うと

制限解除リミットリリースを使い

さらに魔力の具現化を始めた。






『目の構造がイメージできなかったから

もしかしたら治せないのかもしれない。

確か…カメラみていな構造なはずだ。

水晶体とか結膜とか…あとは網膜とかだったかな…。

どれがどの役割かわかんねーけど

確か目はゼリーみたいなものが大半なはず。

その奥で網膜とかが…。

とりあえず一つずつイメージして…。

絶対治してみせる。』

タケゾウは目を閉じ

イメージを膨らませながら

魔力を具現化させた。

それはどんどん膨れ上がり

タケゾウとステラを覆い尽くすほどになった。





『繊細に…一つずつ…丁寧に…。』

タケゾウは魔力を体内に取り込むと

ステラの目にゆっくりと指を出した。

そこに再生を集中させる。

「なんか…あったかいな…。」

ステラはその目の周りに暖かさを感じ

ゆっくりと目を閉じた。




『表面的な傷は治ってる。

けど…この中のこれは傷がまだある。

それにこれ濁ってるな。

それも治す!』

タケゾウは繊細に意識を集中し

魔法とイメージをリンクさせる。

『もっと一つずつ丁寧に!

あとはどこが…。』

タケゾウはいつしか目を閉じていた。

魔法で目の中を見ている。

そんな感覚を感じていた。






『どこだ。

なんで治らない。

どこを治せばいい。

あれは…もしかしてここもか。

あとは…。』

気付けばタケゾウはすでに一時間程

再生を使い続けていた。

ステラはその暖かさで心地よく

座りながら居眠りをしていた。






「んあ!あぶね!

寝てた。

ってタケゾウまだ…ってあれ?

これ…見えてる…?」

朧げにタケゾウの手のひらが見えたステラ。

今まで光なんかを感じ白かったその世界に

タケゾウの手のひらが映し出された。

「へ、へへ…。

な?やって…見るもんだろ?」

タケゾウは手のひらを下ろした。

ものすごく疲弊しており

魔力が枯渇する手前まで魔力を振り絞って再生を

使ったようだ。

おそらく具現化した量では足りなかったんだろう。

「タケゾウ…タケゾウ…。

ありがとう…。

ひぐっ。

タケゾウ!」

ステラは勢いよくタケゾウに抱きついた。

タケゾウはすでに支えることができず

そのまま二人は倒れた。

ステラは盛大に思い切り泣いた。





「はは…。

失ったって…言うけど…

目はそこにあるんだからさ…。

まだ…どっか傷あったり

治し方が間違ってるんじゃとか

…色んなことやってみた。

知識の…問題だったんだと…思うぞ。

ステラ…水って出せるか?」

「ひぐ!

タケゾウ!ひぐ!

ありがとう!

ひぐ!

水…ひぐ!

出せる!」

「そ、それじゃ…。

そこのくぼみにでも出してくれ…。」

ステラは立ち上がり泣きながら

そのくぼみが埋まるほどの水をゆっくりと出した。

そして…。





「顔の…傷も…ない…。」

「へへ…。

そこの皮膚が無いなら

あるところ…の皮膚を…さらに再生させて

繋げれるんじゃ…と思ってさ。

見たか。

どんなもんだ。」

タケゾウは上半身をゆっくりと起こしながら言うと

そこにまたしても

ステラが飛びついてきた。

タケゾウはその勢いでまた押し倒された。




「ほんとに!ほんとに!

ありがと!タケゾウ!」

ステラはそう言うとまた盛大に泣いた。

泣き止むことなどないのではと言うほどに

ものすごく泣いた。





そうこうしていると空から

どこでどう聞きつけ居場所がわかったのか

ヘイズがやってきた。




「ステラ!

何をしているんだい?」

二人の横に降り立つと

ヘイズは言った。

そしてステラが泣き腫らした顔を上げる。





「ステラ…傷が…それに目が…

もしかして見えているのか?」

ステラは大きく頷いた。

「ああ…なんということなんだ。

こんな日が…こんな日が来るなんて…。

ステラ…。」

ヘイズは溢れ出る涙を隠す様子もなく

ステラをゆっくりと抱き寄せた。

「ひぐ!

ヘイズ兄!

タケゾウが…タケゾウが治してくれたの…。

これで…もう…ヘイズ兄も気にしなくて

いいんだよ。」

「ステラ。

本当に良かった。

本当に…本当に良かった。」

強く抱きしめたその腕は震え

今までのすべてが報われた

その感情は

溢れ出した涙となって流れた。





それを横になったまま見ていた

タケゾウの隣に

ヘイズは座った。

「本当にありがとう…。

どう言ってもこの気持ちは

伝わらないでしょう。」

そうヘイズが言い、地面に額をつけ

深々と頭を下げた。

タケゾウはようやく上半身を起こし

ヘイズの肩をトントンと叩いた。

ヘイズは溢れる涙を止めることなく

頭を下げ続けた。





「タケゾウくん。

お礼がしたいのですが。」

「いらねーよ。

それより頭上げてくれよ。」

ヘイズは顔を上げ

タケゾウに言った。

「それだけは出来ないです。

私の願いを叶えてくれたんだ。

ではタケゾウくんの願いのために

この命と体を使って欲しい。

頼みます。

それ以上は譲歩できそうにありません。」

「おい。

そりゃ…ダメだろ…。

とりあえず日も暮れそうだしさ。

帰ろう。」

タケゾウはフラフラっと立ち上がり

歩こうとしたが

うまく力が入らない。





「わり…肩貸してくれ。」

「そんなことくらい

お安いご用ですよ。」

そう言うとヘイズはタケゾウを背に背負った。

「あ、おい!

何もそこまでしなくてもいいって!」

「ふふふ。

このまま城に戻るとしましょう。

ステラも一緒に来てください。」

「ひぐ!

わかった!」

三人はゆっくりと現実を噛みしめるように

歩いて城に向かった。








城の門の前ではルーナ、マルース、サリースが

タケゾウの帰りを待っていた。






「あ、あれ?タケゾウ?」

ヘイズに背負われているタケゾウをマルースが発見し

ルーナとマルースは走って三人の元に向かった。

サリースはタケゾウの帰りを見届けると

そのまま門の中に戻っていった。






「ステラさんヘイズさん!

タケゾウさんは…?!

あれ!?

それにステラさん目が!」

「ほんとだ!

ステラ!

目…治ったの?」

「うん。

タケゾウが…治してくれた。」

「ステラさん…良かった…良かったですね!」

「ほんとに良かった!!」

そう言うとステラ目掛けて

二人は抱きつき

嬉し泣きしたのであった。






「本当にタケゾウくんには

感謝してもし切れないほどの

恩ができました。」

ヘイズがそう言うと

ステラが続いた。

「私も…。

ほんとタケゾウには感謝してるの。」

「ぐっす。

ほんとによかった。

ステラ…なんか話し方まで少し

治ったみたい…。」

「ひぐ。

確かに。

そこまで治ったんですか?」

「そ、そんなことねーっての!」

ステラが恥ずかしそうに腕を組み

顔をそらした。

三人は気持ちよく笑った。





「ここで立ち話もあれですから

良かったら城に来てください。」

「ありがとうございます。

タケゾウくんが目を覚ましたら

またお礼を言いたいと思っていましたので。」






こうして皆で城に入っていった。











読んでいただきありがとうございます。

明日から激務のため

投稿がまばらとなりますが

お付き合い頂ければ幸いです。

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