次の日の朝は
「ん…。
あれ?
寝ちまったのか?」
タケゾウは皆より先に目を覚ました。
食堂には朝日が差し込んでいる。
「う…。
体がいてぇ…。
そうだ。
もう魔法使っていいんだ。
再生…。」
タケゾウは自身の傷と筋肉痛を治した。
「ふう。
治ったけど疲労感はハンパねーな。
しかし…
寝てればみんな可愛くて美人なのにな。
そういやステラの髪は
綺麗になったのかな?」
ステラは昨日から顔をローブで隠しているため
顔が見えていない。
「っても寝てるのに
覗いたら失礼か。」
寝起きでそんなことを
一人でブツブツ言っていると
隣の席で寝ていたルーナが起きた。
「んん…。
あれ?あたし…。」
「おはよルーナ。
よく眠れたか?」
「ひょえ!!」
「しー!」
「あ、ご、ごめん…。
そっか。
昨日食堂でそのまま…。」
「みんな疲れてたんだな。
食べてそのまま寝ちまうなんて。
それに今の声でも起きないし。」
「そ、そうね。
もしかして…見た?」
「ん?何をだ?」
「あたしの…寝顔…。」
「そりゃこっち見て寝てれば
見えるよな。
まあこれが初めてじゃないしさ。」
ルーナは途端に赤くなると
タケゾウをポコポコ叩いた。
「んーーーーー!!!
タケゾウのばか!!」
「いて!いてて!
ルーナやめろって!
みんな起きるだろ!」
「んーーー…。」
「まったくもう。
綺麗な寝顔なんだからいいじゃんか。」
「んーー。
うーーー。」
『あ、あたし…こんな汗臭いのに
タケゾウの横で寝ちゃうなんて…。
あーーもう!!
何やってるのよ!!』
ルーナが照れつつ、自分を責めていると
タケゾウは席を立った。
「ルーナは部屋に行ってまた寝るか?」
「うーー。
どうしよっかな。
結構目冷めたし。
タケゾウは?」
「少し散歩でもしよっかなと
思ってさ。
よかったら一緒に…」
「行く!」
「しー!みんな疲れて寝てるんだからさ!」
「ご、ごめん。」
「じゃ少しぷらぷらするか。」
そう言うと二人は静かに食堂を後にした。
「くぅうー。」
タケゾウは軽く伸びをした。
「やっぱ朝は気持ちいいよな。」
「そ、そうね。」
二人は城の広い庭を散歩し始めた。
日が昇り、鳥がチュンチュンと
朝の始まりを告げている。
『こ、これってもしかして
デート的なやつじゃ…。』
「あのさ…。」
「ひゃい!」
「ど、どうしたんだよさっきから。」
「な、何でもない!
で、どうしたの?」
ルーナは平静を装い、タケゾウに聞き返した。
タケゾウはその場に腰を下ろし
ルーナも隣に腰を下ろした。
「アレースのことなんだけどさ。」
「え、あ、うん。」
「昨日さ…その本気で
お嫁さんになりたいって言われてさ。」
「…うん。」
「それで俺…よくわかんなくて
冗談だろとか言っちまったんだよね。
それでアレースが今度また言うからって
その時に答え教えてって言われたんだ。」
「…へぇ。」
「そんでドッジボールした時に
みんなの本気っていうのを見てさ。
ルーナも俺の友達として
頑張ってくれたじゃん。」
「…はい。」
「強かった。
みんなの強い意志を
見たって感じかな。」
「…ええ。」
「それでさ…その相談なんだけど…。」
「…はい…。」
『もう最悪…あたしは友人としてじゃなくて…。
しかもきっとアレースのことの相談じゃん。
そんなの聞きたくない。』
ルーナはどんどん気分が下がっていった。
「ルーナ。」
「ん?何?」
ルーナはぶっきらぼうに答えた。
「俺に使ったあの反射の魔法を教えてくれ!
頼む。」
タケゾウはあぐらをかきながら
ルーナに深々と頭を下げた。
『…そっちかーーーーーい!!!!
とことん強くなることにしか興味がないのね
この男は…。』
ルーナは驚いたあと、ものすごいため息をついた。
「そういうことね。
まったく…あたしもあたしね…。
わかったわ。
けどタケゾウはまだ全然反射使えないでしょ?」
「ありがとルーナ!
そうなんだよ。
まったく何もできてません。」
「そうよね。
そんな簡単にできるはずないもん。
何であれが知りたいの?」
「俺には守りたいもんがすげーあるんだ。
あの技ができれば
きっともっと守れる。」
「そういうことか。
いいよ。
まずはどれだけイメージを固められるかが
大切だと思う。
みんな昨日の戦いで
自分の魔法に名前をつけていたでしょ?」
「ふむふむ。」
「それは魔法をより鮮明にイメージするために
名前をつけて魔法を使っているの。」
「なるほど!」
「あたしは反射の形状を意識しやすい
名前をつけて使ってるの。
再生にはつけてないけどね。」
「ふむ。
なんで再生にはつけないんだ?」
「どこを再生したいか、治したいかでいちいち
名前を変えていたら
覚えるほうが大変よ。
それよりも使う時どこを治したいか
イメージしたほうが早いからね。
自分の体のことだから
イメージも容易くできるし。
体以外の物のイメージって結構難しいから
あたしは名前をつけて使ってるの。」
「確かに。
いつも使ってる体のことなら
イメージもできるけど
あんまり使わない物なんて
イメージするのが大変だよな。」
「そゆこと。
けど再生も名前をつけて使ってる人も
いるはずよ。
よーはその人がイメージしやすいなら
なんでもいいってこと。」
「なるほどな。
じゃまずは反射を球にするイメージを
固められないといけないんだな。」
「うん。
試しに反射使って作ってみて。」
「わかった。
反射!」
タケゾウが反射を使うと
目の前を明るく照らしている
日の光を一瞬反射して
すぐ元通りに戻った。
「今言った反射っていう言葉で
タケゾウがイメージしたのが
日の光を反射するってことだったみたいね。」
「そ、そうかも。
反射っていうイメージがそもそも
日の光を反射させることを
イメージして出してたから…。
うわ!
なんかすげーわかった気がする!」
「じゃあとはイメージを固めるのが
大事だね。
反射は消費する魔力が多いから
まずはしっかりとイメージを固めるのが
大切だよ。」
「わかった!
ありがとルーナ!
やっぱ持つべきものは友人だよな!」
「そ、そうね…。
タケゾウ!あたしは…」
ルーナがタケゾウに何か言おうとしたその時。
「ルーナさん!なんで一人でタケゾウさんと
いるんですかぁ!!」
「ルーナズルいです!
何してるですか!」
「朝から騒がしいやつらだな。
私も暇だし混ぜろよ。」
そこにアレース、マルース、ステラがやってきた。
「べ、別にいいでしょ!
せっかく二人っきりで
朝の散歩してたのに。」
「一人で抜け駆けなんてズルいです!」
「そうです!
わたくしも散歩するです!」
「散歩かー。
まあたまには悪くないな。」
「みんな疲れてそうだから誘わなかったんだけど
…。
じゃみんなで散歩でもすっか。」
ということで全員で城の庭をぐるっと回り
朝の散歩を終え
ステラは用事があるということで
帰っていった。
タケゾウは部屋に戻り
風呂に入り、サリースを連れ
食堂で皆と朝食を食べた。
「あの…タケゾウさん。
これ良かったら…。」
「ん?
もしかして弁当か?
ありがとマルース。
けどどうしてこれ?
俺、今日初仕事だなんて言ったかな?」
「あ、そそそ、そうなんですか?
修練の時にここに戻ってくるのもあれかなーなんて
思ったので作ったんですが…。」
「そーいうことか!
いつもほんとわりーな。
マルースみたいな大親友がいて
ほんとに嬉しいよ。
いつも俺のこと考えてくれて
ありがとな。」
「い、いえ。
喜んでもらえて良かったです。」
『大親友は…嬉しいけど…。』
「タケゾウ。
良かったです。
マルースは料理がほんとにうまいです。
きっと良い初仕事になるです。
わたくしは今日は会議がありますので
それが終わったら
手伝うです。」
「あ、ああ。
アレース…その…忙しいだろうし
無理しなくていいよ。」
「いえ。
忙しくてもタケゾウと少しでもいたいので
平気です。
タケゾウこそ
昨日の今日なので無理はしてはダメです。」
「あ、うん…。
わかった。
じゃ…その…またあとで。」
タケゾウはアレースの直球に
恥ずかしそうに答えた。
『これは…。』
『この状態は…。』
『『まずい!!!』』
ルーナとマルースはこの決定的に違う
今の自分の立場を理解していた。
わかってはいたものの
ここまで違う反応をされ
危機感が倍増した二人だった。
「じゃ俺行ってくるわ!
マルース。
もしよかったらサリースを頼むな。」
「は、はい。
大丈夫です。」
「よかった。
じゃサリース。
行ってくるよ。」
「ぐぐおん。」
「ルーナも会議頑張れよ。
アレースも…その…頑張ってな。」
「はいです。
タケゾウも頑張ってです。
行ってらっしゃい。」
「うん…。
行ってらっしゃい。」
タケゾウはそう言うと部屋を後にした。
『ぐぬぬぬぬ!
これはほんとにまずい気がする!』
『うむむむむ!
本当にまずい!
どうしよう!』
そんなことを考えながら
二人はアレースを見た。
するとアレースは
「ふふふ。
これが友人とお嫁さん志望の違いです。
二人とも。
いつまでもそこにいるのなら
ライバルですらないです。
ふふふ。」
アレースは勝ち誇ったかのように
ニヤリと笑った。
「ぐぬぬぬぬ。
見てなさいアレース!
絶対負けないんだから!」
「うむむむ。
私も姉様には負けません!」
「ふふふ。
マルースも自分の気持ちを受け入れることができたです?」
「あ、いや…それは…。
まだ出来ていませんが…。
でも負けません!」
「そんなことでは…」
「負けませんから!!」
アレースが否定しようとしたのに対して
マルースは被せるように言った。
アレースの目をぐっとまっすぐ見ながら。
「ふふふ。
マルース。
ゆっくりでいいだなんて
思ってないようですね。
それで良いです。
そうやって自分と向き合い
受け入れていくことが大切です。」
アレースはとても楽しそうに幸せそうに笑った。
その笑顔をルーナとマルースは
力強く睨み
目の前にバチバチと火花が散った。
そんなことを知る由もないタケゾウは
街の西側に向かっていた。
「依頼書に書いてある地図だと
もうすぐ着くはず…。
黄色い屋根は…。」
タケゾウは依頼書の地図を頼りに
黄色い屋根の家を探していた。
さらに道を進んで行くとようやく
黄色い屋根の家を発見した。
「あれかな?
とにかく行ってみるか。」
タケゾウは黄色い屋根の家に着いた。
『ふう。
き、緊張する。
と、とにかくだ。
挨拶をしっかりしないと。』
コンコンとタケゾウはドアをノックした。
少ししてガチャっとドアが開く。
「あ、すいません
ギルドの者です。
草むしりの仕事に来ました。」
「あ、ありがとねぇ。
じゃこの家の裏にきておくれ。」
ドアから出て来たのは
おばあちゃんだった。
腰が曲がり、歩き方もたどたどしい。
「わ、わかりました。」
タケゾウは家の裏に行った。
そこには普通より少し荒れた庭があった。
大きさもそこまで広くなく
一人でも手入れができそうな広さだ。
「すまないねぇ。
こんな仕事より、もっと良い仕事が
あったろうに。」
「い、いえ!
ここの草むしりをすれば良いですか?」
「はい。
よろしくお願いします。
疲れたらやめて構わないからねぇ。
報酬はしっかりと払うからねぇ。」
「頑張ります!」
タケゾウはそう言うと腕まくりをし
草をむしり始めた。
庭の草をむしり始めて約一時間。
半分ほど終わったところで休憩することにした。
「ふぇー。
結構しんどいな。」
「おやまあ。
こんなに綺麗にしてもらって
ありがとうねぇ。
よかったら飲んでください。」
おばあちゃんはタケゾウにお茶を出した。
「あ、ありがたいです。
いただきます。」
タケゾウは出されてたお茶をすすり
庭には長椅子があり
タケゾウはそこに腰を下ろした。
「こんなに綺麗になって。
本当にありがとうねぇ。」
「い、いえ。
まだ、半分残ってますんで。」
「いやいや。
私一人で住んでるんでねぇ。
一人でやったら
終わらなかったよ。」
「お一人なんすね…。
じゃこの庭もっと綺麗に手入れしないとな!」
タケゾウはお茶を飲み干し
また草むしりを始めた。
『一人…か。
俺…こんな大切な仕事にケチつけたのか。
だから弱いんだな。
こんなんじゃダメだ。
もっと綺麗に手入れしよう。』
タケゾウは一心不乱に草むしりをした。
そしてようやく草むしりが終わった。
「すいません終わりましたー。」
「おんやまぁ
本当にありがとうございます。
何かお礼が出来ればねぇ。」
「そんな…。
報酬をもらうのに
それ以上なんて気にしないでばあちゃん。」
「けどねぇ。
こんなに頑張ってもらったのに…。」
「それより
他に困ってることあれば
なんか手伝いします。」
「そんないいのよぉ。」
「そうすか…。
じゃ依頼書に署名お願いします。」
タケゾウは依頼書に署名をもらった。
初仕事をやり遂げた。
タケゾウは帰りの丘で弁当を食い始めた。
『なんか…。
もう少しなんかできた気もする。
…うまい。
マルース…料理うまいな…。』
タケゾウは弁当を食べながら
空を眺めて少し考えた。
初めての仕事は大変だったが
それ以上に自分が本当に役に立てたのか。
なぜ仕事を選んでしまったのか。
罪悪感から何かすることはないかと聞いたのではないのか。
そんなことを考えていた。
「ごちそうさまでしたっと。」
タケゾウは弁当を食べ終わり
ギルドに向かった。
「すんません。
依頼終わりました。」
昨日の男の受付の人にタケゾウは依頼書を手渡した。
「わかりました。
確認出来次第、報酬をお支払いします。
初仕事はどうでしたか?」
「なんか…仕事選んだこと…
後悔しました…。
すいませんでした。」
「あはは。
真面目なんですね。
このことを忘れないでくださいね。」
「わかったっす。
次の依頼書は
また今度来ます。」
タケゾウは男に軽く頭を下げると
ギルドから出た。
ドアを開け外に出ると
そこにはステラだろうローブの人がいた。
「ステラか?」
「あ、あれ?
タケゾウじゃん。
偶然だな。
依頼は終わったのか?」
「ああ。
何かうまくできたかはわからねーけど
一応終わったよ。」
「よかったじゃん。
お疲れ。
な、なぁ。
この後、もし何もないなら
私の依頼に付き合わない?」
「いいよ。
俺で良ければ。」
「本当に?
本当に本当に?」
「ああ。
もう少しなんかしたいって
思ってたし。」
「や、やったね!
じ、じゃ早速行こう!」
タケゾウはステラの依頼を手伝うことにした。
「どんな依頼なんだ?」
「調査依頼。
って言ってもそんな難しいことじゃねーけどさ。
まぁとりあえずついて来て。」
「あ、ああ。
わかった。」
タケゾウはステラの後をついて行った。
ステラは少し浮かれているように
歩いた。
ローブで顔は見えないが
どうやら機嫌はいいようだ。
タケゾウはどんな調査なのか
考えつつ後を着いて行った。
そんな二人の午後が始まった。
読んでくださりありがとうございます。
また遅くなり申し訳ありませんでした。
今後も仕事で投稿が遅れることが
たくさんあると思いますので
二日に一回の投稿を目指したいと思います。
今後もよろしくお願いします。
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