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黒髪ロング、異世界召喚

月曜日


タケゾウは学校に向かった。

今夜忍び込むための

ルートを確保するためだ。

施錠をされてしまう

玄関からの侵入は

できないとわかっていたからだ。






その方法は前回と一緒。

放課後トイレに隠れて

施錠確認等をやり過ごすというものだった。

鍵を盗むとか

合鍵を作るなど

色々と考えたが危険度が高いなと思い

隠れて誰もいなくなるのを

待っていればいいのでは?と

タケゾウの中で

一番現実的な答えに行き着いた。

とても単純な男である。







夜。

予想外にも先生が残業を

しっかりとしていたせいで

学校に光がなくなったのは

午後十時。

「タケ…

学校の明かりが全部消えて

車が出て行った。

開けてくれ。」

「わかった。

今開ける。

そのまま電話を切らず一周して。」



「こっちだよケンヤさん。」

「ああ。確認した。今向かう。」


「よし、侵入成功。」

「なんか不謹慎にも

ドキドキしちゃったわ。

うふふ。」

タケゾウもドキドキしていた。

がこのドキドキはおそらく

不安からくるものである。

おそらく大の大人二人も

不安でドキドキしているのだろう。

顔には少し引きつっているが

笑みが見える。

だが目には不安の色が見え隠れしている。







三人は階段を登る。

「三階まで上がればあとは

真っ直ぐ歩いて教室だから。」

静かな声で先頭のタケゾウが言う。

「おう。」

それに続くケンヤが

静かな声で返事をする。

その後ろのサエコは小さく頷く。






タンッタンッタンッタン………………………

ツカツカツカツカツカツカツカツカ…………






「着いたよ。」

ガラガラー…

タケゾウが教室のドアを開け入る。

瞬間。

「うわっ!!!」

ピシャっ!!ドン!!!

「タケゾウ!!!」

「タケちゃん!!」

いきなり光に包まれたタケゾウ。

続いて入ろうとした

ケンヤはドアに阻まれてしまう。






「はあー。

別れは済ませてくるよう言ったわよね。」

黒髪ロングがため息まじりに現れた。

無機質無表情は変わってないが

こめかみを抑え

頭痛がするかのような

ポーズをとる。

「一人で来いとは言われていない。

早く二人を中に入れろ!」

「それはできない。

私が送れるのは一人だけよ。」

「そんな……」

実はタケゾウは

この展開を少し予想していた。

言われたことを

考えると簡単に想像はついていたのである。

そこに煽るように黒髪ロングが言う。







「時間がない。

行くのをやめる?

パパとママいないと

行けませーんとか?

ダサすぎね。

どうするの?

早く決めて。」

タケゾウは即決する。

「行く。

二人に説明したい。

一分時間をくれ。」

「いい返事ね。

わかったわ。

一分よ。」






光が薄くなり

元の月明かりの差し込む教室に戻る。

タケゾウは二人の元に行く。

「違う世界には俺一人しか行けない。

二人ともこっちで待っていて。

必ずサヤを連れて帰ってくるから。」

タケゾウは短く説明した。

決意の固い眼差しを

二人に向けながら。







「でも…

一人なんて危険すぎるわ…

あなたまでいなく…う。」

サエコが心配そうに言うのを

ケンヤが手でさえぎる。






「わかった。

行ってこい。

こっちで待っている。」

ケンヤが真剣に

タケゾウの目を見ながら言う。

「!!!?………………。

そうね。

私ったら弱気なことを…。

うん。

タケちゃん。

サヤをお願い。

こっちで待っているわ。」

サエコが笑顔でタケゾウに言う。

不安や悲しみ

けれどそれを跳ね除けるような信頼の笑顔。








「うん。

任された。

行ってきます。

…父さん、母さん。」

「「行ってらっしゃい!!!」」







踵を返し教室の月明かりに目をやると

その瞬間また光に包まれた。







「別れは済んだようね。

時間が惜しいわ。

今からあなたを

こちらの世界に召喚する。」

そう言うと一層光が強くなった。

少し宙に浮くような感覚に襲われる。

「もう少しね。

この間に説明するわ。

少年のお仲間は

こっちの世界に来ている。

おそらく人族に召喚をされたようね。

私は月の…まぁその辺はいいわ。

少年にはこれから来る

こちらの世界で

やってほしいことがあるの。

それはね…!!!

くっ!!!

本格的に時間がないわ。

よく聞いて。

今から私の器を少年に渡す。

それとこちらでも……ように……

少しばかり……けど……餞別……

見つけて………満たすの器を………

待ってい………身勝手……ご………」

黒髪ロングの声が遠くなり

姿はいつの間にか

確認できなくなっていた。

タケゾウは必死に声をかける。

「おい!よく聞こえない!器がどうした!

おい!黒髪ロング!

大丈夫か!おい!黒髪ロング!!!」

………しは………さく…………」







聞き取れない

その言葉のように意識も遠くなり

タケゾウは人生二度目の気絶をする。







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