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墓地

「アレース…。

ここは…お墓か?」

「はいです。

ここには母様が眠っています。」

そこは墓地だった。

広い草原に石板がいくつも建てられている。

石板には名前が彫られている。

そしてそのどれとも変わらず

建っている石板の前に行くとアレースは話始めた。





「母様のが眠っているこのお墓です。

代々わたくしの血族が眠っているです。

民と共に眠りたいということで

民と同じ墓地に埋葬されることになっているです。」

「そうなんだ。

ほんとどれとも変わらずあるんだな。

すげーいいことじゃないか。

やっぱり上に立つからと

偉そうにされるのは嫌だし、そういう王や王族とかなら

信頼できるよ。」

タケゾウは感心しながら言った。

この国では身分の高い人など関係なく

よく頭を下げてくれる印象が

強くタケゾウには残っていた。






「ありがとうですタケゾウ。

私も先祖に恥じないよう

これからもこのヨンヤラのために何かしたい…です。

ここに来るといつもそう思うです。」

「アレースはすでにたくさんのことをしてるじゃんか。

街を歩けば前に進めないほど

声をかけられるし

それが証拠だよ。」

「そうです…ね。

皆、私に声をかけてくれるです。

本当に嬉しいことです。」

「うんうん。

アレースはほんと色んな人に好かれるもんな。」

「それはタケゾウもです。

タケゾウはすぐ周りを引き込んでしまうです。」

「そんなこと…あるか。

確かにこの世界に来てから

自分一人では何もできないし

助けてもらってばかりだし。

いつもありがとって言ってばかりだよ。」

「ふふふ。

良いことです。」

アレースはそう言いながら先祖の墓の前に

しゃがみこんで手を合わせた。

タケゾウもそれを見て

隣にしゃがみ、手を合わせた。





「母様…。

紹介します。

タケゾウです。

タケゾウはわたくしが迷子になっているとき

助けてくれたです。

そしてマルースのことも受け入れてくれて

本当に良い男です。」

「お、おい…。

照れるじゃんアレース。」

「ふふふ。

それでタケゾウはマルースの大親友になってくれたです。

わたくしはそれがとても嬉しいです。」

アレースは母の眠る暮石に少しずつ話し始めた。




「何…話してるのかな?」

「えっと…母様に…私のこと?

を報告しているようです。」

「へぇ…。

ってマルース聞こえるの?」

「唇の動きで何となくはわかります。

あとはタケゾウさんのことを

良い男と言ってるようですね。」

「な!?

これじゃほんとに親に紹介ってことじゃんか!?」

「そ、そうなりますね…。

もう少し近くに行かないとわからないので

もう少し接近しましょう!」

ルーナとマルースは草原にまばらにある木に

身を潜め、尾行していた。

マルースの提案で

ルーナとマルースはたくさんある暮石に身を隠しながら

近づけるだけ近づいた。





「ふぅ。

母様に報告ができたです。」

「そいつは良かった。

っても誤解があるが俺は良い男なんかじゃねーよ。」

「そんなことないです。

良い男です。

歳の差や身分なんか関係なく

その人のことを見るっていう

タケゾウのそういうところ

わたくしは素直に尊敬するです。」

「そんなことねーよ。

偉い人っぽいのにはやっぱ緊張するもん。」

「ふふふ。

偉い人っぽいというのがタケゾウらしいです。

ところでタケゾウは今好きな女性はいるです?」

『『ぶふぇ!!?』

「うえ!?」

「あれ?

今、タケゾウの声に混じって何か聞こえたです?」

「い、いや俺には聞こえなかったな…。」

「聞き間違いです?

ところでいるです?」

アレースがタケゾウに直球な質問すると

タケゾウはまさかの質問に吹き出してしまったが

それ以上に身を潜めている二人も

声にならない声を出した。




「アレース!いきなり何聞いてるのよ!」

「ルーナさん落ち着いて!

タケゾウさんの答えが聞こえないです!」

二人ともヒソヒソ声で会話しているが

叫び出しそうな勢いだ。



「タケゾウ?

どうです?」

「い、いや…。

好きな女性ってのはいないかな。

前にルーナにもそんな質問されたよ。」

「なるほどです。

ルーナのことはどう思ってるですか?」




「な、ななな、なんて質問をするのアレース!」

『ごくりっ…。』

ルーナは耳を塞ごうとしつつ、しっかりと聞き耳を立て

マルースは息を飲んだ。




「ルーナは…

そうだな…。

いつも感謝しきれないくらい感謝してる存在で

大切な友人だよ。

もし、ルーナに出会えていなければ

俺はこんな頑張ってないかもしれない。

ルーナのおかげでこの世界で頑張ることが出来てるよ。」

「ふむです。

ルーナはタケゾウにとって

とても大切な友人なのですね。

マルースのことはどう思うです?」




「ね、ね姉様!

あぁ…ダメだ…聞きたくない!」

「あたしは…友人…ぐぬぬ…嬉しいような

悲しいような…。」




「マルースのことも大切な友人だよ。

できれば守ってやれればと思うほどに。

なんと言っても大親友だからな。

とはいえ、マルースのが強いだろうから

お話にならんけど…。」

「ふふふ。

そう思ってもらってるだけでマルースは幸せです。

ではマルースを守れる程には強くならなきゃですね。」

「ああ。

今は自信ないけどさ…。

強くなるよ、俺。」

「ではタケゾウ。

お願いです。

マルースを…お願いしますです。」

「ん?そんなん言われなくても大親友だからな。

そんなに妹が心配なのか?

あんな出来た妹いないと思うぞ?」

「ふふ…。

でもできれば守ってあげて欲しいです。

いいです?」

アレースはいつものように笑いながら

タケゾウの目を見て言った。

その瞳には何か少し悲しげな様相が

映し出されているような

そんな目をしていた。





「ああ。

そりゃもちろんだって。

任せてくれ。

てかどうしたんだアレース?

なんかあったのか?」

「何もないです。

ただ、マルースとわたくしは今まで

二人で支え合ってきたです。

そこにタケゾウがいてくれたら

マルースも喜ぶです。

今、この世界では何が起こるかわからないです。

戦いになればマルースはきっと

命を懸けて戦うと思うです。

そんな時にわたくしがそばにいれるかは

わからないです。」

「まあ…そりゃそうだ。

わかった!

その約束必ず守るよ!」

「ふふ。

タケゾウならそう言ってくれると

思っていたです。

ありがとうですタケゾウ。」

アレースはタケゾウに微笑むと

踵を返し、歩き始めようとした。

そんなアレースをタケゾウが呼び止める。




「なあ、アレース。」

「ん?何です?」

「俺はアレースのことも大切な

友人だと思ってるよ。

アレースと出会ってから日々が

もっと賑やかになってさ。

それにアレースの前向きなとことか

ほんと尊敬するよ。

面白いくらいお人好しだしさ。

だからアレース。

もし、アレースが辛いときは言ってくれ。

何か力になれるかもしんねーし。

俺弱いから…その戦いとかでは

もしかしたら役に立たないかも

しんねーけど

ルーナもマルースもいる。

フォボス達やセバスもきっと

力貸してくれるよ。

人に言えないことも

立場上あると思うけど…。

おせっかいかもしんねーけどさ。

…。

ここに俺連れてきて

マルース頼むってのはきっと何か

抱えてるんだろ?

あー…まとまんね…。

とにかく!

アレースは一人じゃねーから!

俺や他にも頼れる人たくさんいるから!」

タケゾウはアレースの行動と言動に感じた疑問を

なんとか言葉にして絞り出した。




「お、おい!

アレース?!」

アレースの頬には雫が静かに流れていた。

「あ、あれです?」

アレースはタケゾウに背を向け

その雫を拭った。




「う…ぐす。

ふふふ。

タケゾウはいつでも本当に

まっすぐな人です。

そう言えばまだ

わたくしのことを

聞いてはいなかったですね。

タケゾウ。」

「ああ。

なんでもこい!」

アレースは背を向けたまま

雲っている空を眺め、タケゾウに聞いた。

「わたくしのこと

お嫁さんにしてくれるです?」

「正直、わからん!

アレース美人だし、一緒にいて楽しいし

ほんとならすげー嬉しいと思うけど

本心じゃないだろ?」

「ふふ。

そうですね。

わたくしも男性として

誰かを好きになった経験がないので

わからないです。」

「やっぱりな。

アレースが本気で言ってる時と

冗談言ってる時って

めっちゃ雰囲気違うからな。」

「ふふ。

それはひどいです。

乙女が冗談でも告白したのですから

もう少し真摯に受け止めて欲しいです。

…タケゾウ。

もう一ついいです?」

「ああ。

何個でもいいぞ!」

「わたくしがいなくなってしまっても

…………………………………………




忘れないでいてくれるです?」

アレースは少し考えた後、タケゾウに静かに聞いた。




「当たり前だ。

そもそも勝手にいなくなったら

地の果てまで探しに行くよ。

そんで勝手にいなくなんなって言ってやる。

だから勝手にいなくなっても無駄だぞ?」

タケゾウのその返答に

アレースは涙を堪えきれず

声を殺し、泣いた。




雲の隙間から太陽がアレースを照らす。

まるで草原の墓地に一つだけスポットライトが

当たっているようだ。

その神秘的な光景にタケゾウは

思わず見惚れてしまった。




アレースは涙を拭うと

ふわっと振り返り

その美しい髪と濡れた頬は

太陽に照らされながら美しく輝いた。




「ふふふ。

本当にタケゾウは人たらしです。

欲しい言葉を直球でくれるです。

今度は本気でタケゾウのお嫁さんに

して欲しいって思ったです。」

その美しく輝いた笑顔は

神秘的で


とても


とても


優しいものだった。

その場にいた者全てが癒される

そんな笑顔だ。

その美しく優しい陽だまりのような笑顔は

タケゾウの目を奪っていった。

もし、想像上の神というものがいるのなら

こんな風に笑いかけてくれるのではないだろうか。





「さてとです。

タケゾウに本気でお嫁さん宣言したところで

肉詰めでも食べに行きましょうです。

ここからはしっかりわたくしとも

デートをしてくださいです。」

「……。」

「タケゾウ!

聞いてるです??」

「え?

あ、ああ。

じゃ肉詰めでも…食べに行くか…。」

タケゾウはすでに上の空だった。

それもそうだろう。

初めて本気で言われたその告白が

とその風景と人物が

頭にこびりつき離れなかったのだから。





「あ、でもマルース達から

これ以上のタケゾウを取り上げていると怒るかもです。

ところでタケゾウ。

一応告白したのですが

答えはどうです? 」

「え!?

いや今の話…冗談なんだろ?」

タケゾウは考えがまとまらず

また冗談ということで

茶を濁した。

動揺が一切隠せていない。

初めてのことで

まったく対処できていないようだ。




「本気です。

まったくもうです。

いつかまた

タケゾウに気持ちを伝えるので

その時に答え聞かせて欲しいです。」

アレースは少し頬を膨らますと

タケゾウの顔を見て

ぷぷっとにこやかに笑った。

そんなタケゾウの反応を楽しんだ

アレースはタケゾウに

また提案した。






「やっぱり今日くらいはいいです。

タケゾウ。

デートするです!」

「え、あ、うん。」

「ふふ。

タケゾウがそんなに困ってる今が押しどきです。

わたくしのこと大切な友人から

大切な奥さんにしてみせるです。

行くです、タケゾウ。」

アレースはそういうとタケゾウの手を握り

街の方へタケゾウを引っ張っていった。







「な…あ……。

こ、こんな…急展開なんて…。」

「姉…様…。」

二人は惚けていたので

その二人の流れに乗り遅れ

未だに動けずにいた。




数分後。





「マルース!!!」

「は、はい!!!」

「このままじゃまずいわ!!!

何としてもこのデートを邪魔するしかない!!!」

「で、ですが…

邪魔はしてはいけないのでは…?」

「何を悠長なことを!!!

あのタケゾウに気落ちを伝えてからのデートなんて

まずいに決まってるでしょ!!!

マルースの時とは別なのよ!!!

もしかしたら城に帰ってくる時

すでに夫婦なんてのもありえるのよ!!!」

「それは嫌です!!!

あ、でも姉様が幸せなら…

でも…。」

「その最初に言ったのが答えでしょうが!!!

マルース行くよ!!!」

「あ、は、はい!!!」

ルーナとマルースは疾風迅雷の如く

街に戻ったのであった。




読んでいただきありがとうございます。

更新が遅くなり大変申し訳ありませんでした。

明日は遅れた分まで書ければと思っています。

よろしければブックマーク、評価お願いします。

明日というかもう今日か。

またよろしくお願いします。

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