ギルド
「へぇ…ここがギルドか。
やっぱり思ったのと違うな。」
ギルドについたタケゾウ。
その見た目はボロボロの木造の家屋で
扉はぎーぎーと音がなりそうな…
という想像を簡単に壊してくれる物だった。
レンガ作りの大きな三階建ての建物で
入り口は綺麗に清掃がされているのがわかるほど
綺麗だった。
窓からは中が見え
おしゃれなカフェのように見える。
そこには男女、様々な種族がおり
テーブルごとに別れ
談笑したり、真剣な話し合いをしているように見えた。
女以外の三人は先に中に入っていった。
「何キョロキョロしてるの?
早く来なさい。」
「へーい。」
ドアを開け中に入ったタケゾウ。
右にカウンターがあり
その横には大きな掲示板のような物があった。
貼られているのはおそらく依頼書だろう。
そして二階まで吹き抜けになっており
二階にもたくさんの席があるようだ。
左にもカウンターが見える。
そこからは料理が運ばれているので飯も食えるようだ。
「こっち!キョロキョロしてないで早く来なさい。」
「へいへい。」
女に連れられてタケゾウは二階へと上がって行く。
どうやら少し注目を集めているようだ。
二階に上がり女は座っていたオレンジ色の髪の男に話しかける。
「マスターはいる?」
「多分部屋にいるんじゃねーか?
下に来たのは見てねーな…。」
オレンジ色の髪の男は話しながら振り返る。
「あ、お前…。」
「お、クソ野郎じゃん。
昨日ぶりだな。」
「いい度胸じゃねーかガキ!
昨日といい今日といいクソ生意気だなこら!!」
いきなり立ち上がりタケゾウに迫ってきたオレンジ髪。
その間に女が入る。
「ギース。
こいつは私が連れてきたんだ。
揉め事にすんな。」
そこにさらに知ってる顔というか髪が二人近づいてくる。
「あれ?昨日のガキじゃねーか?
何してんだ?」
「ほんとだ。
ステラ、そいつ昨日ギースと決闘してギースが負けたガキだぞ。
「えぇ?ギースがこんなガキに負けたの?
あの噂はほんとだったの?
けどあの身のこなしなら確かにギースでも…。
とにかくマスターに会ってくるわ。」
「ということらしいからまたな、失礼三人組。」
「変なあだ名つけんじゃねーわガキ!」
挨拶もそれなりに三階に上がったタケゾウは部屋に通された。
「ここで少し待ってて。
逃げるんじゃないよ。」
「なんで逃げるんだよ。
そしたらもっと早く逃げてるわ。」
「う…それは確かに。
とにかく待ってて。」
女は部屋から出て行く。
『あいつ…なんでローブまだあんな深くかぶってんだ?
建物に入ってまで取らないのも珍しいな。
さっきは暗くてあんまり見えなかったけど…。
どんなやつなんだ?』
そんな考え事をしているとドアが開く。
「やぁ。
こんばんわ。
君がタケゾウくんかな?」
「ああ。
そうだ。」
「そうか。
まあかけてくれ。」
女とともに入ってきた男はやはり背が大きく、二メートルほどあった。
髪は赤紫色の長髪、服装はあの流行りの服装をしていたがどこか気品がある佇まいに見える。
顔はスーっと通った鼻筋に、綺麗な唇。そして何より目が大きい。
とある少年団事務所にいそうな顔立ちである。
そして三人は席についた。
「さて。
単刀直入に聞くがあんなとこで何をしてたんだい?」
「修練をしていた。
今度の武闘会に出るんだ。」
「ふむ。
何やらものすごく強いと聞いているが
ステラを含む四人をいとも簡単に鎮圧したのは本当かい?」
「ああ。」
「ギースに勝ったっていうのも本当かい?」
「ああ。
あれはあいつらが悪い。
マルースが嫌がったからな。」
「マルース様と一緒にいたというのはどうやら本当のようだね。
しかし、ギースが君に負けたというのがどうも納得がいかないね。
彼はうちのギルドで五本の指に入るほどの強者だ。
君は一体何者なんだい?」
「俺はタケゾウだ。
そういえばあんたは誰なんだあ?」
「これは失礼したね。
私はここのギルドでマスターをしているヘイズという者だ。
君が脇に手を入れこちょがしたステラの兄でもある。」
「あ、あれは不可抗力だ。
命を奪わなかっただけありがたいと思ってくれ。」
「ふふ。
そうか。
ステラがもうお嫁にいけないと言っていたぞ。」
「ヘイズ兄!そんなこと言ってないでしょ!」
「ならよかった。
さて、質問は以上かヘイズ?」
「いや、もう一つ。
ギルドに加入しないか?」
「ん?素性も得体も知れない者をギルドに置くのか?」
「だからだよ。
それに強い者はいつでも大歓迎だ。
それかステラのお婿さんでもいいがどちらがいいかな?」
「それならギルドに加入する。
元々いつかは入りたいと思っていたし好都合だ。」
「では下に行って契約をしようか。」
「おい!それならってどういうことだよ!!
そんなに私のお婿さんが嫌なのかよ!!」
「そりゃお前…
顔も名前も知らない奴のお婿さんになんてなるかよ。」
「そ、それは…」
急に勢いをなくしうつむいてしまった女。
「タケゾウくん。許してやってくれるか。
ステラは顔に大きな傷があってね。
あまりそれを見せたくないのだよ。」
「ヘイズ兄!もう私気にして無いもん!
タケゾウ!お望み通り見せてやるよ!」
そういうとステラはローブのフードをとった。
その綺麗な顔には目に縦に大きな傷があった。
その片方の目はおそらく見えていないだろう。
髪はヘイズと同じ赤紫色をしており
肩くらいまであるその髪は
あまり手入れをしていないように見える。
その見えていないだろう瞳は少し曇っているが
もう片方の青い瞳はとても美しくサファイアのようだ。
目鼻立ちもくっきりしており
可愛いというよりは美人というのがよく似合うだろう。
その美人な印象とは異なるほどの凶暴そうな目つきと
傷は男を怯ませるほどである。
身長は百六十センチほどでとてもとてもスレンダーな体型をしている。
「へぇ。
思ったのと違うな。」
「な、何がよ!」
「言葉使いとか態度とかで勝手に想像してたけど
めっちゃ美人じゃんか。」
「へ、へへへ、変なこと言わないで!
どうせからかってるんでしょ!」
「めんどくさい奴だな。
美人に美人って言って何が悪い。
まぁ…そのボッサボサの髪はどうかと思うぞ。
せっかくの美人がもったいねーな。
名前はなんて言うんだ?」
「…………。」
「あ、俺はタケゾウな。
さっきも言ったか。
ん?おい!こら!聞いてんのか?」
「はっ!?
わ、わわ、私はステラ!19歳よ!!」
「歳上なのか。
傷…気にしてるのに見せてくれてありがとな。」
「べ、別にタケゾウのために見せたわけじゃない…。」
「タケゾウくん。
この傷は私のせいでできてしまったものなんだよ。
この傷のせいで妹はかなり苦労をしてね…。」
「そうなのか。
けど俺はいいと思うがな。
なんでこうなったかは知らんが
表にある傷は剣士の誇りだ。
それよりも髪がボサボサすぎるのが気になるわ。
もっと女の子らしくしたらいーのに。」
「ふふふ。
君は変わっているね。
どうだいお婿さんになってくれないか?」
「ヘイズ兄!!やめてよ!!」
「俺も断る。」
「なんでよ!!そこ少しくらい悩んでもいいだろーが!?」
「えー。
髪がボサボサだからなー。」
そう言うとタケゾウはいじわるそうに笑った。
「か、髪くらいすぐ綺麗になるもん!!」
「へいへい。じゃ綺麗にしてみなよ。」
「うぐぐぐぐ…。見てなさい!
次に会うときまでに綺麗になってやる!!」
「ふははは。そだねステラ。
女を磨いてタケゾウくんをギャフンと言わせなきゃね。
それに次また会う約束を
さりげなくするなんて我が妹も中々やるね。」
「ち、ちが!!そんなつもりじゃ…」
そんなとこで勢いよくドアが開く。
「タケゾウ!」
「タケゾウさん!!」
ルーナとマルースである。
「なんで勝手にいなくなるのですか!!」
「そうよ!!
どこかに行くなら一声かけてからにしなさいよ!!
心配…するでしょうがーーーー!!!」
という声とともに腹にはマルースが抱きつき
その後ろからルーナの平手打ちが飛んでくる。
マルースにがっちり掴まれたタケゾウは逃げることができず
しっかりとクリーンヒットしたのであった。
「ご、ごめん…う…痛い…ぐるじい…。」
平手打ちを数発くらい
よろめいてルーナに背を向けると同時にルーナが抱きつき首が締まる。
マルースは依然として腹を締め付けているので
息がまともにできない状態だ。
「お二人とも。
その辺にしておかないと
タケゾウくんが死んでしまいますよ?」
「「はっ!!」」
タケゾウはすでに生死の境にいた。
「タケゾウさんしっかり!」
「タケゾウ!死んじゃダメ!」
そう言って二人が離れ、ようやく呼吸をしたタケゾウ。
まさかの場面で死ぬところであった。
「げほげほげほ!
あーなんか…げほっ…遠くに…げほ…
死んだばあちゃんが見えたわ。」
「「よかったー。」」
二人はほっと胸をなでおろす。
「い、いきなり何あなた達??
というかマルース様に魔族の王ルーナ?
なんでここに??」
「それは私が呼んだんだ。
ギースの話は聞いていたからね。
タケゾウくんの身元をはっきりさせるのに
マルース様達に連絡していたのだよ。」
「い、いつのまに…。」
「ステラが報告に来る前に他の者が報告に来てくれてね。
どうやら同一人物だろうということで
その者に使いを頼んだのだよ。」
「さすがヘイズ兄。
それで身元もしっかりしたわけね。
てかもしかして…
私にまた尾行つけたの?」
「ん?
妹が可愛すぎてのことだからまた許してくれ。
しかし、まさかあの魔族の王まで
来てくれるとは思わなかったがね。」
「まったくもう。
心配性にも程があるってーの!
もう辞めてよね。」
ステラはヘイズを少し睨むとプイっと
顔を逸らした。
「タケゾウが世話になったわね。
えーと…あなたがヘイズさん?」
「ええ。
私はここのギルドを任されているヘイズと申します。
魔族の王、以後お見知り置きを。」
「わかったわ。」
「ヘイズさん。
タケゾウさんがご迷惑お掛けして大変申し訳ありませんでした。」
マルースは深々と頭を下げた。
「マルース様。
私になど頭を下げないでください。
それに迷惑などかけられておりません。」
「本当にありがとうございます。」
「そうだぞ二人とも。
俺はしゅうれ…」
二人に一斉に睨まれるタケゾウ。
すぐさま口を閉じる。
「ところで…。」
「はい。
そうですね。
そこの女性の方は?」
二人はステラに目をやる。
この美人に何かタケゾウがしていないか
心配だという眼差しでステラを見つめた二人。
「この者はステラと言いまして私の妹です。」
「初めまして。
ステラよ。
魔王にマルース様。」
ステラは臆することもなく堂々としているが一つ忘れていることがあった。
「ステラ?お前隠さなくていいのか?」
「あ!?」
急いで隠すステラ。
またうつむいてしまう。
「傷…ですか?」
マルースがおそるおそる聞く。
ステラはびくっとし、少し肩を震わせている。
「す、すいま…」
マルースがすぐさま謝罪をしようとしたとき。
「ちがうちがう。
髪、隠したんだよ。
ボッサボサだからな。」
タケゾウが空気の読めない発言をする。
するとステラが反論する。
「ち、ちがう!!
べ、別に隠したわけじゃねーし!!」
そういうとローブのフードをとって
堂々としようとするもタケゾウとは目を合わせようとしない。
少し頬が赤く見えるステラ。
マルースとルーナは女の感が働きタケゾウに質問をした。
「タケゾウさん…ステラさんに何かしたんですか?」
「まさかとは思うけど…タケゾウ?正直に答えてね…。」
タケゾウは何を言っているんだこの二人といった表情をした。
それを見たヘイズが答える。
「その質問には私がお答えします。
実はステラはタケゾウくんによって
もうお嫁に行けなくなってしまいました。
それで責任を取ってお婿さんに
なってくれることとなりました。」
ステラは反論をしようと口を開こうとしたが…
その場にいる二人からものすごい怒気が放たれたことに気付き
無意識に口を塞いだ。
「こんなに人を心配させておいて…
外で女の子になんてことをしてるのタケゾウ?」
「そうですね。
不潔です。
最低です。」
「い、いや二人とも…なんか間違って伝わってるぞ!
おいヘイズ!どういうつも…」
「問答」
「無用!!」
二人の拳がタケゾウに炸裂し
タケゾウは窓を突き破り、また星となって夜空に輝いた。
その光景にヘイズ、ステラもさすがに唖然としていると
「さて。」
「とです。」
二人がステラに歩み寄る。
「あ、いや、これはヘイズ兄の悪ふざけで…。」
「ヘイズ。
妹は『 友達』として城で
タケゾウがかけた迷惑の『お詫び』をさせてもらいます。」
「え…いや…私は…。」
「そうですね。
いい考えです。
私からもそれを提案させていただきます。
ヘイズさん、よろしいですよね。」
「いや、だから私は…」
「それは光栄なことだ。
ステラ。
行って来なさい。」
「「ありがとう(ございます)。」」
「え!ヘイズ兄!あ、待って!
く、くるな!おい!
落ち着いて、嫌、いやぁあぁあぁあーーー。」
ステラは二人に捕まり
タケゾウが飛んでいった窓から三人で空に舞い、城に飛んでいった。
「ステラ。
友達ができてよかったね。
楽しんで来なさい。」
壊れた窓からステラを見送ったヘイズは
心なしか嬉しそうな表情とほんの少しの安堵の表情を浮かべた。
読んでくださりありがとうございます。
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