表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/89

タケゾウ、デートに誘う



「何と言うかですね…

マルースは最近、よく夜になるといなくなるのです。

昔からそのようなことがたまにありました。

気付いていないだけで、もしかしたらわたくしが思っている以上に多くいなかったのかもしれません。

ここ最近は隠す様子もなく、よくいなくなってしまうのです。

魔族の国ツキヨミに行く前に、一度聞いたことがあるのですが…

『姉様は知らなくていいことですよ。』

と話をしてくれなかったのです。

幼い頃より一緒にいたので変化には少しずつしか気付きませんでしたが

いつの頃からかマルースの表情には影があるといいますか…

とにかく!

心配なんです。

何かやらされているのであれば、それがマルースが嫌なことならば

わたくしは辞めさせたいのです!!」

アレースは不安を、心配を、タケゾウに話した。

それはきっと心にしまいこんでいたものだったんだろう。

吐き出した不安につられて目には涙が浮かんでいた。


「俺も少し気になっていたよ。

森に入る頃からかな?マルースの様子が少しおかしいような気がしてた。

長い付き合いではないけど…何か思いつめているような…そんな感じがした。

昼間、マルースに聞いたんだけど

ヨンヤラには反乱分子がいるんだって?」

アレースの顔が一瞬曇る。

「反乱分子?聞いたことがないです。

タケゾウも気になっていたならやはり早急に聞き出さなくては…。

その反乱分子が原因なのですか?」

「いや、詳しくはわからない。

本人が言ってくれるのが一番なんだけど…

直接的な質問はよくない気がする。

そのこと以外の可能性もあるしね。」

「そうです。

他のことも何かあるかもです。

わたくしも聞いてみます。」

「いや、聞くのは俺一人のがいいよ。

マルースが警戒するかもしれないし。」

「そう…ですか。

わかりました。

けれどタケゾウ。

必ず教えてくださいです!」

「わ、わかった。

とはいえな…どんなタイミングで聞いたらいいか…。

アレースにも教えないことだしな。」

「そうですね…。姉だから話せないことなのかもしれないですよ?」

「確かに身内には話づらいことってのはあるもんだよな…。

明日の特訓のときにでも聞いてみるか…。」

「あ!そうです!明日は月に一回の祭りの日です!

タケゾウ!マルースを誘って祭りで聞くのはどうです?」

「祭り?そんなのが月に一回あるのか?」

「はいです!

ニチカ様が始めたことなのですが、月に一回やるようになったです。

出店なんかが出てとても楽しいですよ!

マルースも好きなのできっとそういう場で気を逸らしつつ聞けば何かわかるかもです!」

「う〜ん。

まあ確かに。

そういう場に行くと少し開放感もあるもんな。

俺も美味いもの見ると高いけどついつい財布の紐が緩くなったりするし。

おし!祭りに誘ってみるよ!」

「はいです!作戦は決まりです!

そうと決まればわたくしは尾行の準備に取り掛かるです!

タケゾウ!明日はよろしくです!」

アレースはそう言うと一目散に部屋に戻っていった。


タケゾウは素振りを再開した。

「さて、どうやって誘って、どうやって聞き出すかな。」

やることが決まって少しスッキリしたタケゾウは素振りに集中し始めた。

マルースがやっていることがなんであれ、明日聞き出して困っているようなら力を貸したいと思ったその素振りには一層の力がこもる。

そうしてタケゾウはいつも以上に集中し、その日の修練を終えた。




翌朝。


「タケゾウさん。

起きてますかー?」

ドアのノックの音とともにマルースの元気な声が部屋にこだまする。


「ああ。起きてるよ。

入っていいよ。」

タケゾウも返事をし、マルースを部屋に招き入れた。

「サリース、おはよう。」

「ぐおん。」

部屋に入りマルースはサリースに挨拶をし頭を優しく撫でた。


「今日も付き合ってくれんのか?」

「はい。

では庭に行きますか?」

「おう。早速始めよう。」

そう言うと二人と一匹は庭に出た。


タケゾウは立ちながら瞑想を始めた。

「タケゾウさん。

きっとできます。

頑張ってください。」

マルースはサリースと座りながらタケゾウを見ている。


数時間過ぎた頃にタケゾウが目を開けるとマルースがサリースに寄り添って眠っていた。


「マルース…昨日寝てないのかな…。」

タケゾウは独り言を言うとその場に座った。

マルースの寝顔をジっと見ている。

『こんな小さな子が反乱分子の調査とか潜入とか現実的に考えたら無いと思うなやっぱり。

そんな危険なことさせるはずないし…。

他に何があるんだろ…。』

そんな可愛い寝顔からはそんな怖い現実が見えてなどこない。

ふと、その寝ているほっぺたをつねってみたタケゾウ。


「んぐ…あ、あれ?私?

あ!眠って…しまった?…タケゾウさん?!」

「ん??どした??」

「あ、あの寝てしまって…ってゆうか何見てたんですか?!」

「マルースの寝顔。

可愛いなーってさ。

なんか特訓の疲れも吹っ飛んだよ。

ありがと、マルース。」

タケゾウはいじわるそうに笑った。

マルースの顔はとてつもなく赤くなる。

まるで真っ赤な夕焼けのようだ。

「そ、そそそんなもの見て…恥ずかしいです!!見ないでください!!」

マルースは顔を腕と手を使って隠す。

「あ、マルース。

よだれ出てたぞ?」

「えぇえぇえ!!先に言ってください!!」

急いでよだれを拭こうとするマルース。

「嘘だよ。」

またもいじわるそうに笑いながら言ったタケゾウ。

「もーーーーう!!!!タケゾウさん嫌いです!!!!」

マルースは照れながら叫んだ。

タケゾウはそれを聞いてケタケタ笑っている。


「ほんとにもう…!信じられない!」

「疲れてるみたいだなマルース。昨日は眠れなかったのか?」

タケゾウがさりげなく聞いてみる。

「き、昨日は…そうですね。

あまり眠れなかったですかね。」

はははと後頭部に手を当て困ったように笑ったマルース。


「眠れなかったのか。

じゃもっとここで寝てていいぞ。

サリースも眠そうだし。

この特訓じゃきっと飽きちゃうしな。」

「そ、そんなことないです。

私も今度は起きてちゃんと見ています。」

「そっか。

まあ、また夜寝れないと困るかもしれないもんな。

昨日の夕飯はどうしたんだ?ちゃんと食ったか?」

「夕飯はあまり食べなかったです…。

その…最近少し太ったので痩せようかなって。」

「マルース。

もっと食った方いいぞ。

そうだ!今夜は一緒に飯食おう。

予定とかあるか?」

「い、いえ。今のところは…。」

「じゃ、決まりだな。

街に行ってみたいしさ。

昨日聞いたんだけど、月に一回の祭りがあるらしいじゃんか。

うまいもん食えるとこ案内してくれよ!」

「わ、わかりました…。

では姉様も誘って…」

「いや二人でいいんじゃないか?

アレースと行くと、きっとゆっくり飯は食えないだろうし。」

「た、確かに。

では二人っきりで…。」

マルースは自分で言って自分で照れてしまっている。

男女が二人っきりで夕食を食べに行く。

しかも祭りに。

どちらの世界でも共通する男女の大きなイベントである。

「おう。二人っきりで行くか。

なんかデートみたいで照れるな。

なんか楽しみだな。

おし!特訓もっと頑張って腹空かしておかないとな!」

さすが残念系。

露骨にデートとという単語を口に出して言ってっしまうあたりが本当に残念である。

そんなことでは意識してくださいと言っているようなものだし

デートならお断りしますなんて言われかねない。

が、今回はこれがタケゾウの作戦でもあった。

祭りでデートということをさらに意識させる作戦だった。

聞きたいことと違うことを意識してもらう作戦だ。

だが、自分とではその作戦もうまくいかず

最悪、断られると思っていたが

目の前の少女を見るにそれは正解のようだった。


『で、でーとなんてわたししたことない…どうしよう…なにきたらいいんだろ…

お、おおおおとこのひととふたりでで、でーと、かみがたとか、ああどうしよう…。』

すでに心がどこかに行ってしまっているマルース。

マルースもしっかりとしているといっても、まだ少女である。

このイベントで緊張しないわけがない。


『うまくいったみたいだな。

断られなくてよかったーー。

あとはこの状況に便乗してうまく聞き出すだけだ。

少しでも、マルースの力になりたいな…。』

タケゾウは特訓にものすごく集中した。

他人のために何かしたい。

タケゾウらしい集中の仕方である。

その時。


「ん?あ、あれ?タケゾウさん!見えます!

魔力です!見えますタケゾウさん!!」


突如、タケゾウの体を覆うように魔力が具現化して現れた。

その魔力は前回とは違い、ゆっくりとタケゾウの周りを漂っているように見える。

「タケゾウさんすごいです!!

やりましたね!!」

「お、おう!ただこの後は…」

と言葉を発した途端、消えてしまった。

「あちゃー。このあとのこと考えてなかったわ。

確か体が一気に軽くなるようなそんな感じになるんだよな。」

「けどすごいです!!初めて見ました。

こんなことできるんですね!」

「マルースのこと考えてたらできたよ。

ありがとなマルース。」

「え?なんで私のこと考えて…」

マルースがそう問いかけてるのを遮りタケゾウが手を挙げる。

その顔は優しく笑っている。

「え?タケゾウさん?」

マルースがわからないでいるとタケゾウがマルースの手を取り

挙げている手にポンっとマルースの掌を当てる。

「俺のいた世界ではなんか成し遂げたときとかこうやってハイタッチってのをやるんだ。

ありがと、マルース。」

マルースはボンっと煙をあげた。

顔は例のごとく真っ赤である。

「い、いえ。

何でお役に立てたかはわかりませんがよ、よよかったです。」

下を向き話すマルース。

声色からとても嬉しいのだろうなと感じることができる。


「おし!!

忘れないうちにもう一回!」

「あ、あのタケゾウさん!

そ、その私のこと考えて瞑想するのは恥ずかしいので違うことで…。」

マルースが少しもじもじしながらタケゾウに言った。

「いや、でも感覚忘れないうちに反復しないとさ。

恥ずかしいのは我慢してくれ。」

「も、もう仕方ないですね…けどけどやっぱり恥ずかしいので今日だけにしといてください!!」

いじわるそうに、子供のように笑っていうタケゾウに

マルースは顔から火が出るような思いで今日のみ限定で了承した。


その後、数度魔力具現化に成功したが体の中にそれを全て取り込むことはできなかった。

マルースはその具現化した魔力からタケゾウの優しさのようなものを感じ

また少し照れくさくなっていた。

この魔力は私を想って具現化しているのだなと考えると

今にもまた爆発しそうになるマルースであった。


そんな二人の珍妙なやり取りをサリースはあくびで一瞥し

また睡眠という流れを繰り返していた。


そうして日が徐々に暮れ始めたので二人と一匹は部屋に戻り

別々に祭りデートの準備を始めたのであった。



「サリースはどうする?行くか?」

部屋でタケゾウがサリースに尋ねたがサリースは動く気配がない。

「そっか。

じゃ一人で行ってくるわ。

執事さんかメイドさんに飯出してくれって言っておくから。」

そんな会話をしているとドアがいきなり開く。


「タケゾウ!どうです?」

アレースが勢いよく部屋に入ってきた。

「あ、ああ。うまく誘えたよ。

それより声でかいだろ。

それとその服装…何で見たんだよそれ…。」

アレースはトレンチコート風の上着にハンチング帽のようなものをかぶっている。

完全に探偵のような格好だ。

「尾行の服装です!これなら目立たないです!」

「いや目立たないわけあるかい!!

祭りに探偵の格好してくるやつがどこにいるんだよ!」

「ここにいるです!」

「そういうことじゃなくてだな…。」

「タケゾウの服も持ってきたです!着てみるです!」

アレースはタケゾウの服を持って来ていた。

靴は茶色の編み込みのグラディエーターサンダル。

ボトムスは黒い裾が裂けていて、かなり広がって見えるパンツ。

トップスは白いロングTシャツとその上に黒いドルマン風の重ね着のスタイル。


「早く着るですタケゾウ!」

「わ、わかったって。」

タケゾウが上を脱いだ。


「………。

外、出てるです…。」

いきなり小さい声になり、勢いをなくしたアレースはぎこちない足取りで部屋の外に出ていった。

『タ、タケゾウ結構、がっちりした体なのです…。』

部屋の外から爆発音が聞こえた。

「な、なんだ?

アレース!着替えた!」

部屋の外の爆発音にびっくりしつつ、タケゾウはアレースに着替えたことを伝えた。

「わ、わかったです。入ります。」

アレースがソっと覗き込み、タケゾウが服を着ていることを確認してから入ってきた。

「これ、裾が…。」

タケゾウは足を少し上げ、裾をアレースはに見せる。

「これはこうするです。」

タケゾウを椅子に座わせ、アレースが裾の裂けているところにある六つの穴に紐を通して行く。

「おお。これで完成か。」

それはサルエルパンツのようなものに早変わりした。

サルエル風のパンツとこのドルマン風のトップスの組みあわせは

元の世界のモード系とでもいうような服装に見えるがこれがびっくりするくらい動きやすい。

タケゾウは部屋で少し体を動かしてみたが普段の服装より格段に動きやすく感じた。


「アレース。これすごい動きやすいな。」

「これは今、ヨンヤラで流行っている服装です。

タケゾウの好きな色で大体揃えましたので気に入っていただけたのなら差し上げます。」

「ありがとなアレース。

こんな動きやすいのが流行っているんだな。」

「はい。

というのもニチカ様が流行らせた決闘という遊びが祭りの時のみ解禁になりますので

祭りには皆動きやすい格好で行くのです。」

「け、決闘?!あいつどんだけ戦うの好きなんだよ…。」

「そうなんです。

男の人が女の人の前で強さを見せる良い遊びとして近年流行ってっしまいまして…。

けが人が後を絶たないので祭りの時のみという規則を設けました。

一応、タケゾウも気をつけてください。

祭りの時の武器の携帯は禁止にしておりますのでベルトだけ身につけて行ってください。」

「そりゃ規則必要になるな…。武器の携帯禁止も納得だな。

決闘で武器使ったら死人出てしまうわ。」

「そうなのです。

龍人は元々戦闘を好む種族でしたので熱くなると歯止めがきかなくなるのです。

あ、もちろん決闘での魔法の使用も禁止ですのでタケゾウも薬を持って行くことをお勧めします。

薬での回復くらいなら多分何か言われる程度で済むと思うです。」

「そ、そうか。

気を付けなきゃならん祭りになりそうだ。

そういや…俺…金が…」

「はい。

そこもぬかりありません。

これを使ってください。」

「い、いいのか?」

「これはわたくしのお給料の一部ですので大丈夫です。

今日一日、我慢せず過ごせるくらい入ってます。

「ほんとすまん。

必ず返すよ。」

『ベル爺にもアレースにも借金か…情けない…今日から仕事も探そう…ギルドに行ってみようかな。』

「いいのです。

妹のために頑張ってくれるのです。

そんなもの、はした金です。」

「マルースはいい姉さんをもったな。

しかし、決闘か…それはなんとか避けたいな。」

「そうですね…

でも考えようによってはいい機会です!

ここでマルースに強さを証明して頼れる存在になればきっと頼りにされるはずです。」

「た、確かに。

修練もたくさんしたしな!

んじゃま、頑張りますか!」

タケゾウは手のひらに拳を当て気合いを入れた。


「では健闘をを祈るです!

タケゾウ。

よろしくです。」

アレースはタケゾウに頭を下げると部屋を後にした。


タケゾウは部屋の前を通ったメイドにサリースのご飯を頼むと

そのまま玄関に向かいマルースを待つことにした。


玄関で待っているとマルースが小走りにやってきた。


「す、すみません。

お待たせしてしまいましたか?」

息を少し切らし、タケゾウに尋ねるマルース。

「い、いや。

俺も…今来たとこだから…。」

言葉と表情が釣り合っていないタケゾウ。

それもそのはず。

マルースの変わりようにびっくりし、その可愛さと美しさの中間にいる少女に見惚れていた。

紺色に薄いピンクの花模様が入った浴衣風の服装に

髪はお団子ではなく、片側に三つ編み風にまとめて下ろしてある。

顔はほんの少し化粧をしており、とても大人びて見える。

その少し潤んだ金色の瞳が整った前髪でより一層美しく見える。

吸い込まれてしまいそうとはまさにこのことである。

また薄い唇は春の桜のようなピンク色をしており少し艶めいている。

少女のようなあどけなさが残りつつ

大人の女性のような色気が出ているというそんな印象を受けたタケゾウ。

心臓が高鳴っているのが手に取るようにわかった。


「へ、変ですか?」

マルースは上目遣いで恐る恐る聞いた。

「い、いや全然変じゃないよ!すごく似合ってる。

じ、じゃ行こっか。」

タケゾウは踵を返し、街の方に進み始めた。


タケゾウの後を少し距離を開けて、マルースが恥じらいながら歩き始めた。

『少しくらいなら…喜んでもいいのかな…。』

そんなことを考えな始めたマルースの表情は少し浮かれたようにも見えたが

徐々に暗くなってしまうのであった。


二人は祭りデートに向かった。

その後を怪しげなトレンチコートの人物がコソコソと尾行し、ついて行った。

読んでいただきありがとうございます。

タイトルを変更、あらすじを短く変更しました。

弱い主人公がたくさん出てくる俺TUEEEE達を倒せるように

と思い変更しました。

コツコツと投稿していければいいなと思っています。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ