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感謝の宴

広い庭に出た二人と一匹。



「ではタケゾウさん。

魔力を見えるようにして見てください。」

「わかった。

制限解除リミットリリース!」

タケゾウは気合いを入れ魔力を高めていった。

はずだった。


「どうだマルース?見えるか?」

タケゾウは踏ん張って顔を真っ赤にしながらマルースに聞いた。

「い、いえ。

全くと言っていいくらい、見えません。」

マルースは必死に目を凝らし、タケゾウを見ているが見えてはこない。

「一応、タケゾウさんの魔力は感じますが…。」

マルースは気を使って言った直後、タケゾウはぶはーっと息を吐いた。

「はぁ、はぁはぁ…。

できない…か…。」

「まだ始めたばかりです。

頑張りましょうタケゾウさん!」

タケゾウがそう言うとマルースは励ましの声をかける。

本当に優しい子だなとタケゾウは思った。


「私も急ぎすぎました。

まずはその当時の状況を思い出して見てください。」

「当時の状況は…

ものすごく負けていた。

それで考えて…瞑想?して…

負けたくないって思って…。」

「それですきっと!

まずは瞑想から始めましょう。」

「ああ!なるほど!

やってみる!

制限解除リミットリリース!」

タケゾウは立ったまま目を閉じ、瞑想を始めた。


「どうですか?」

少し時間が経ちマルースはタケゾウに恐る恐る聞いてみた。

「いや、結構いい感じだと思ったんだけど…。

マルースに聞かれるってことは見えないんだよな?」

「は、……はい。」

タケゾウは目を開け、マルースに聞き返したが思った通りの返答だった。

「う〜ん…。

できたことなんだからできるとは思うんだけどな…。」

「そうですよ。

できたことなんですからきっとできます!

頑張りましょう!」

タケゾウを励ますマルース。

「そうだよな。

おし!もう一回!」

タケゾウはまた瞑想を始めた。

今度は座って目を閉じ、気を落ち着かせる。


「ぐおん。」

何の進展もないのに飽きたのかサリースは一言出すと

近くにあった大きな木の下に寝転がり睡眠を始めた。

「サリース、飽きちゃったのね。

ゆっくり休んでて。」

マルースが優しく声をかける。

タケゾウは依然として集中し、瞑想をしている。


結局この日は成果を得られず日が暮れてしまった。


「タケゾウさん。

一旦夕食にしましょう。」

「ん?あ、ああ。

もう日が暮れたのか…。

付き合ってもらったのに悪かったな。」

「い、いえ。

私は何もできませんでしたから。

すいません。」

「そんなことないよ。

マルースが見ててくれなきゃわからないからな。

ありがとう師匠。」

「し、師匠だなんて…。

私はそんなできる人ではありません。

じゃご飯にしましょう。

サリース!行くよ!」

「ぐー…わおん。」

マルースは少し嬉しそうにタケゾウに言った。

サリースは伸びをして返事をした。


二人と一匹は城に戻った。


「結局、何も掴むことができなかったな…。」

タケゾウは部屋のベットに寝転んだ。

サリースは部屋の隅に陣取り座っている。


『あのときは必死だったからほんとよくもわからずやってたけど…。

さて、どうしたもんかな…。』

タケゾウが考えているとドアをコンコンとノックする音が聞こえた。


「タケゾウ様、お食事の準備が整いました。」

「あ、わかりました。

今行きます。」

ベットから起き上がりガチャっとドアを開ける。

そこにはアレースと執事がいた。


「タケゾウ。

早く行くです。

料理が冷めてしまいますよ。」

「わ、わかったよ。そんな引っ張るなって。」

タケゾウはアレースに服を引っ張られ大きな部屋にやってきた。

そこには長いテーブルと椅子、二十人程の龍人が座っていた。


「うわ!何かあるのか?来るとこ間違えていないかアレース?」

「いえ。合ってるです。

さあタケゾウ。そこに座ってです。」

アレースに案内され、タケゾウは長いテーブルの先に座った。

テーブルを挟んで少し遠目の位置にいかにも王様といった風格漂う男が座っていた。

「タケゾウ殿、よく来てくれた。」

男は立ち上がりタケゾウに言った。

驚くことに身長はざっと二メートルは超えている。

体格はよく、如何にも強いというのが見ただけでわかる。

髪はアレースと同じ色をしている。

鼻と口の間から長いヒゲが左右に一本ずつにまとまって伸びている。

タケゾウはその巨人とも言える男に驚きつつ言った。

「い、いえ。

それよりどうして皆さんお集まりなのでしょう?」

「これは失礼した。

アレースが大変世話になったと聞いている。」

その場にいた者が立ち上がった。

タケゾウは圧迫感で押しつぶされそうになった。

というのも身長、体格ともにほとんどの者が大きかったのである。


「国を代表して礼をいう。

ありがとう、タケゾウ殿。」

男がそう言い頭を下げるとその場の全員が頭を下げた。


「い、いえ。

俺は特に何もしてないので皆さんほんと頭を上げてください。」

タケゾウは慌てながら言った。

「そんなことないです。

タケゾウにはとてもお世話になったです。

タケゾウがいなかったらわたくしどうなってたことか…。」

「娘もそう言っている。

素直に感謝を受け取って欲しい。」

「む、娘?

と言うことはやはり…。」

「これは失礼した。

私は龍人の国、ヨンヤラの王、名をシレーヌスという。」

「やっぱりか。

あ、申し遅れました。

タケゾウです。」

タケゾウは少し緊張気味に言った。

「今日はタケゾウ殿に礼がしたいと思い

勝手ながら食事を用意した。

良ければ存分に食べてくれ。」

「あ、ありがとうございます。

お気遣い感謝します。」

そう言うと続々と料理が運ばれてきた。

まさに豪華絢爛。

テーブルに所狭しと料理が並ぶ。


「では宴としよう。

皆、タケゾウ殿をしっかりともてなすのだぞ。」

一斉に返事とともにいただきますと掛け声が響いた。


目の前にはたくさんの料理が並んでいてどれから食べようかとタケゾウが悩んでいると

「タケゾウ殿、これにこのたれをかけると美味しいですよ。」

まさかの王が直々に皿に盛り付けをして持ってきてくれた。

「あ、すんません。」

タケゾウはその料理を一口食べる。

「うわ!うまい!!」

見た目は生春巻きのような物でそこに黒茶のタレがかかっている一品。

「そうだろう。俺もこの肉詰めが好きでな。ふははは。」

パリパリに上げてある皮の中に肉と野菜がミンチになって詰まっていた。

タレはピリっと辛く酸味があり、さらに一口と食が進む。

「これ、すげーうまいな!」

タケゾウはご飯が欲しくてたまらなくなった。

「タケゾウ殿。これをどうぞ。」

近くにいた大きな背の少し丸い体型の人が器にご飯を取って渡してくれた。

「あ、すんません。

今、まさにこれを食べたかったんすよ!」

と勢いよくご飯を口の中に放る投げるタケゾウ。

渡した丸い人は『おおっ。いい食いっぷりですな。』と言って自分の席に戻った。

その後、こちらも、あちらもとたくさんの人が皿に料理を持ってタケゾウの席に訪れた。


「やべー、もう限界…。」

『ところでなんでマルースはいないんだ?アレースは来てるのに…。』

タケゾウは椅子の背にもたれながらぽっこりと膨れた腹をさすり周りを見渡したが大男に遮られあまり周りが見えない。

とそこに

「これもどうぞ。」

と飲み物が差し出された。

「あ、どうも。

あれ?」

タケゾウは飲み物を差し出してくれた人物を探したが見当たらなかった。

周りには三人ほど男の人がタケゾウを囲むように立っているが

今のは女の人の声に聞こえたタケゾウは周りの男たちを見上げながら

『誰がくれたの?』という疑問の表情を投げかけた。

すると男たちが視線をタケゾウの後ろに注ぐ。

タケゾウは振り返ると、そこには女の人が立っていた。

「あ、ああ。

どうも…。」

ものすごく、大きい。

タケゾウはその谷間を見てそう思った。

慌て顔を逸らし、テーブルに置かれた飲み物を飲む。

「うわ。これはいい。」

柑橘系の透き通った味が喉を潤す。

食後にはぴったりな飲み物だ。


「これすごく美味しいです。」

振り返り、礼をするタケゾウ。

視線を落とさぬよう顔を見て礼をした。

「いえ。

気に入っていただけて何よりです。」

女は笑顔で席に戻っていった。

大きなそれを揺らしながら。


「タケゾウ殿!」

「あ!フォボス!

…とその人は…」

「ダイモスと申します。

この度は本当にありがとうございました。

このバカがアレース様を見失ってしまったせいでご迷惑おかけしました。」

「何を!ダイモスだってわかってんだろうが!」

「それはてめぇに注意力というものが欠如してるからだろうが!」

「あんだと!!」

「二人とも…まったく…タケゾウ殿の前で失礼ですよ。」

「あ、さっきは飲み物ありがとうございました。」

「いえいえ。

このバカ二人がお騒がせしました。

私はネルと申します。」

「な!このバカと一緒にするなネル!失礼にも程がある!」

「おい!ダイモスなんかと一緒にすんなよ!」

「あはは…三人とも仲がいいんだな。

フォボスがそんな柔らかい表情するとは思わなかったよ。

苦労してそうな感じしか見たことなかったからさ。」

「あ、いやこれは…。

それにそこまで苦労なことなど…」

「つーかそんなかしこまらなくていいよ。」

「ではタケゾウ殿に食事をご馳走できましたら

かしこまらないように致します。」

「別に今からでいいのに。

あ、そうだ。

ダイモスもネルさんも一緒に行こうよ。

フォボスの奢りだからさ。」

「いいですね。

是非ご一緒させていただきます。」

「私も是が非でもご一緒させていただきます。

タケゾウ殿。

その際は思う存分食べましょう。」

「おいこら!

タケゾウ殿…この二人はやめておきませんか?」

「え?やだよ。

じゃなきゃ行かないかんな。」

タケゾウはいたずらっ子のように笑った。

「これは…ふふ。

タケゾウ殿がそういうなら仕方ありませんな。

おいそこ二人!

加減して食うんだぞ!」

「偉そうに。

お前の財布は空にしてやるわ。」

「そうね。

それには私も賛成だわ。」

「あはは。

それ、俺も乗った。」

「タケゾウ殿まで…困りましたな…。」

「「「あはははははは」」」

三人はフォボスをからかって笑った。

ネルとダイモスはフォボスと本当に仲が良いのだなとタケゾウは思った。

クラスの皆と話しているようなそんな懐かしい感覚に

タケゾウは少し寂しく、楽しくなった。

「タケゾウ殿、その食事の約束なのですが

今しばらくお待ちいただいてもいいでしょうか?」

「ん?そりゃ今は腹いっぱいだしな。」

「ふふ。

そうですね

フォボスとダイモス、そして私はこの宴の後

少し国を出ますので、帰国した際に皆で食事をしましょう。」

「あ、そういうことか。

フォボス…人族の調査にでも行くのか?」

「いえ。

アレース様に調査するよう言われた場所がありますので

そこの調査に向かう予定です。

あとは…

詳しくは帰国してからお話しますよ。」

「そっか。

みんなは俺より強いだろうから心配ないだろけど…

生きて帰ってこいよ。」

「タケゾウ殿と食事をしてお礼をするまでは死にませんよ。」

「私もフォボスの奢りで食事するまでは死ねないかなぁ。」

「私はフォボスの財布を空にするまでは死ねませんので安心してください。」

「お、おまえらな!」

「「「あはははははは」」」

腹を抱えて笑った三人。

フォボスは怒りながらも楽しげに笑った。

そんなこんなで談笑を終え、三人は席に戻っていった。


「腹いっぱいだし、腹いてー。

ほんとにあの三人仲いいんだな。

しかし…ネルさん…大きい…。」

「タケゾウ殿、いかがでしたかな?」

王が満腹のタケゾウに話しかけにきた。

「うわっ!!

…いやーほんとありがとうございました。

ほんっっっっとに美味かったです。」

「それは良かった。

では皆もあとは好きなようにして良いぞ。」

シレーヌスがそう言うと一人、また一人とタケゾウに挨拶をして部屋を退室して行く。

その後、タケゾウ、シレーヌス、アレースが部屋に残った。


「タケゾウ。

どうだったです?」

ニコニコと笑いながらアレースがタケゾウに聞いた。

「いやーほんと美味かった。

こんな贅沢な食事今までしたことないよ。

俺なんかのためにほんとにありがとな。」

「ふふふ。

喜んでもらえて良かったです。」

「その通りだ。

本当にこの度は、娘が世話になった。

感謝している。」

「いやいや。

俺、特に何もしてないんで。

他にも魔族の国の王とか神とかが助けてくれたんでそっちに礼してやってください。

あ、あとマルースにも。

ところでマルースはどこにいるんだ?」

「ツキヨミの王と神にはしっかりと礼をする予定だ。

マルースは…今はちょっと小用でな。

城から出ている。」

シレーヌスの表情が一瞬曇ったように見えた。

「父様、マルースがよく夜に行く小用とは何なのです?」

どうやらアレースも知らないようだ。

「うむ。国に大切なことをお願いしているのだ。

危険なことではないから安心しなさい。」

「父様がそう言うなら…。

タケゾウはこの後どうするです?」

「あ、ああ。

俺は食った分少し消費するためにも庭で少し体を動かしてくるよ。」

アレースはシレーヌスを信頼しているが、そのアレースも何か気にしているようだ。

少し微妙な空気の中、タケゾウたちはそれぞれ退室した。


タケゾウは一人、庭に出て素振りを始めた。

『う〜ん…。

マルース何、してん、のかな…。

きっと、昼間、話して、くれたこと、なんだろうな…。』

素振りをしながらそのことについて思い返していたタケゾウ。

考え事をしているのでどうも修練に身が入らないようだ。


「タケゾウ。

ちょっといいです?」

そこにアレースがやって来た。

「ああ。もしかしてマルースのことか?」

「はいです。

少し話を聞いて欲しいです。」

「ああ。」

そういうと二人は庭にある木の下に腰かけた。


そしてアレースは話し始めた。


読んでいただきありがとうございます。

コツコツ投稿していければいいなと思っています。

よろしくお願い致します。

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