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スイカとなっちゃん

作者: 幻想売りの十夢

「なっちゃん、遠いところまでよく来たねぇ」

おばあちゃんが言いました

なっちゃんは夏休みに一人でおばあちゃんの家に遊びにきました

「暑かったろう?ほら早く中にお入り」

空は晴れ渡り、夏の強い日差しが降り注いでいます

なっちゃんは広い畳の間に座り、帽子を脱ぐと、額の汗を拭きました

家の中は涼しく、吹き抜ける風が心地いい

「疲れたろう?」

「ううん。大丈夫」

「それはよかった。まぁこれでもおあがり」

おばあちゃんは丸い大きな物をまな板に乗せて持ってきました

緑色に黒の縞模様

「これは何?」

「おや?スイカは初めてかい?」

おばあちゃんは包丁でスイカを切り分けました

中身は真っ赤。甘い香りがあたりに広がります

「食べてごらん」

なっちゃんは一口食べました

!!

かわいくフワッとした見た目、シャリシャリした食感、冷たくて、みずみずしくて、とっても甘い

「塩を少しかけてごらん」

少し塩を振ると、より一層甘くなりました

「スイカ、美味しいね」

なっちゃんはスイカが大好きになりました



「おかえり、なっちゃん。おばあちゃんの家はどうだった?」

駅までお母さんが車で迎えにきました

「とっても楽しかったよ。おばあちゃんちで食べたス…スイ…あれっ?なんだっけ?名前忘れちゃった。家に帰ったら絵に描いてあげる。とても美味しいの。また食べたいな」

なっちゃんは家に帰ると早速絵を描き始めました

ところが赤い鉛筆が見当たりません

仕方ないので、なっちゃんは黄色の鉛筆で大きな丸を描き、お母さんに見せました

お母さんは言いました

「あらっ?これは何かしら?あっ分かった。これはお月様ね。なっちゃんはお月見のお団子が食べたいのね」

「違う、違うよ!お団子じゃないよ!ああっ、どうしたらわかってくれるのかなぁ…」

なっちゃんは悲しくて泣きました

わんわん泣きました

「そんなに泣かないで。これでも食べて元気を出してね」

お母さんは台所から丸い大きな物をまな板に乗せて持ってきました

「あっ!!」

それは大きなスイカでした

「とっても美味しいわよ。あっ、スプーンがないわね」

お母さんはスプーンを取りに行きました

なっちゃんは言いました

「お母さん!塩取って、塩!」

「あらっ、スイカに塩だなんて。なっちゃん、少し見ない間に大人になったわね」

ちょっぴり大人に近づいたなっちゃんの夏でした


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