第二章 2-1
新年度が始まって約一週間。
ようやくこのクラス一年A組に馴染めてきた。
監視役の神崎が同じクラスなのはもちろんのこと。
友達がどうかはわからないが、顔見知りと呼べる人間が数人。
「よぉ、終夜。今日も眠そうだな」
朝からテンションがバカ高いこいつは〈風間空牙〉。
頭よりも体が先に動くタイプだがバカではない。
「お前は元気そうだな空牙」
「それだけが取り柄みたいなやつでしょ。おはよ、二人とも」
続いて〈秋本 葉月〉。
一見常識人に見えるが、たまに下ネタをぶっこんでくるので女子というより男友達に近い感覚だ。
「あれ、終夜君。恵ちゃんは一緒じゃないの?」
「何で俺と神崎がセットみたいになってんだよ」
「え?違うの?」
「ちげえよ」
ま、半分は当たってるけどな。
「てか、お前のほうはどうした」
「千歳は今日は日直で今は職員室。手伝おうかって言ったけど断られたの」
一気に秋本のテンションが下がる。
神崎と話に出てきた〈星野 千歳〉が主にツルむメンバーだ。
ちなみに秋本と星野は幼馴染で秋本は重度の星野依存症。
星野に色目を使おうものなら校舎裏。
危害を加えようものなら校舎裏。
自分の命など二の次で星野第一人間だ。
俺と空牙が排除されないのは星野が俺たちを異性と思っていないことが大きい。
「どこ行くんだ終夜?」
「喉乾いたから飲み物買いに行ってくる」
「もう、時間ないよ?」
「そんな時間はかかんねえよ」
神崎は…教室内にいないが、あいつのことだ何かあれば跳んでくるか。
「間に合うように帰って来いよ」
「まぁ、間に合わなかったら上手いことやっておくよ」
「ま、そんときはよろしく」