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第二章 2-8
「多少は神崎のレクチャーを受けたが、それ以外は何もしていない」
全員が唖然としている。
それもそうか。
こういうのは事前にきちんと調べて、対策を立てて挑むのが普通だ。
「終夜君がどれほど強いかわかんないけど、その様子じゃ。たぶん、負けるよ」
ジョークと思って一瞬笑いそうになった。危ない、危ない。
俺以外の三人は秋本の言葉に納得しているみたいだし、話を合わせておくか。
「あ、負けたら全裸で逆立ちして校内一周ね」
「は、葉月ちゃん!?」
「だって、そうでしょ。私の代わりに出るんだもの。それぐらいの覚悟で挑んでもらわないと」
負けたら完全に完璧に社会的に抹殺しようとしてるよこいつ。
まぁ、けど
「いいぜ、何なら島一周してやるよ」
「さすが、男の子。話がわかる」
「それと、俺が勝ったら今度昼飯奢れよ」
「うーん。うん。いいよー」
内々で決まった賭けだが、秋本の約束は決して破れない。
血走っている目には『マジ』と書いている。
「すみません、黛選手。スタンバイお願いします」
「了解。そんじゃ後でな」
控え室を出ていく間際、星野が何か言いたげだったな。