第二章 2-6
「あなたは一体何を考えてるんですか!」
だいぶ、溜まっていたのだろう。
屋上に着くやいなや神崎の怒号が響き渡る。
「あなたは自分がどういう立場か、本当にわかっているんですか!?」
「そうは言っても今回のことを決めたのはほぼ学園長で俺じゃねえ」
「聞けば、相手の神経を逆なでしたそうじゃないですか。日々の言動に気を付けていればこういう事態にならないはずです」
何とも無茶なことを言ってくれる。
日々の言動に気を付けるだと?そんなモン天地がひっくり返ってもあり得ないし、直す気もない。
「あーはいはい。気を付けますよ。てか、その情報どこで知ったんだ?」
「仲裁に入った方のことをもう忘れたんですか」
やっぱりこいつと学園長は繋がっているってことか。
それなら納得だ。
「決まったことにこれ以上とやかく言うつもりはありません。ですが、これだけは守ってください」
切り替えが早いのはこいつのいいところだ。
どんな状況にも対応できる柔軟な思考性と俺に振り回されてもめげない精神力は称賛に価する。
「いいですか。決して能力を使ってはいけませんよ」
「んなもん、使わねえよ」
「さっきは使ったクセに信じられません」
「じゃんけん、提案したのはお前だろうが」
理不尽だ。
ま、確かに使っていいとは一言も言ってなかったから正論っちゃ正論だな。
「それに使わなくてもどうせ勝てるだろ」
「その様子じゃ対戦相手のこと何も知らないようですね」
「何だ。そんなに強いのか?」
「藤堂 陸斗。藤堂家の長男で、学内では電光の陸斗の異名を持つ同学年でも指折りの実力者です。洗練された槍術と雷を自在に操り、能力を合わせた破壊力は学内随一だと噂されるほどです」
神崎の説明を反芻し吟味する。
検索結果 どこにも俺が負ける要素は見当たらなかった。