旅程
今年は暑過ぎて扇風機が温風を運んできます(泣)
傷顔をボコり終えるとケインが声を掛けてきた。
「ムツキは容赦が無いね。アソコまで容赦ないとゲンツは治療だけで当分、借金生活だね」
「敵になるなら容赦しない。冒険者は足元見られたら馬鹿見るだけだしね。立ち塞がるなら貴族だろうが王だろうが叩きのめすよ?」
「そりゃ物騒だ。それにしても変わった武器だね?見せてもらっても?」
片手でケインに兜割を放ると受け取ったケインが大きくよろける。まあ軽く振ってたからそうは見えないだろうケド兜割は覇鋼の所為もあって重量は20kgぐらい有る。『専有化:重量無視』がなきゃ持つのもしんどい武器だ。ちなみに傷顔の振っていた大剣は3kgぐらいだ。
「これとんでもない武器だねこの重量で剣を振る速さで叩き込まれたら騎士鎧でもひしゃげるんじゃないか?」
「そりゃあ兜割っていうくらいだからな」
「そんなシロモノで関節狙いとか正面から壊す気満々だね」
「まあ死ななかっただけ儲けモノと理解する知恵が顔傷に有ればいいんだけどね」
溜息一つ。
さてウザイ奴を始末もしたし、とっとと依頼に行きますか…。
「…で?何で付いて来る訳?」
後ろを向くと冒険者二名…。溜息一つ。
「兄さんが手伝ってあげるって言ってるのにその態度はなによ!」
「だが断る!っていってるじゃん、分け前も出さないから無駄足だよ?帰りなよ?」
「まあまあムツキ君、いいじゃないかこっちは旅費自分持ちでいいし君に興味があって付いて行くだけなんだから」
(…嘘はついてないのが逆にメンドクサイな…)溜息一つ。
依頼のあった村までは徒歩で三日程、野営はめんどくさいので『土操作魔法』で一人用の土小屋(窓も戸口も無いもの)を造りその中で『隠れ家』を開く。
翌日、〔隠れ家〕からでて土小屋を消すと冒険者二人が狼を五匹ほど解体していた。
ものすごく何か言いたそうなアリア(いや心の声はものすごい聞こえてるけど…)を放って置いて目的地目指して歩き出そうとしたらアリアが切れた。溜息一つ。
「ちょっと待ちなさいよ!」
「待つ理由は?」
「コッチはまだ片付けしてるじゃない!」
「それが僕になんの関係が?」
「……」無いのに気付いたらしい。
ケインとアリアを置いて歩きだすと小一時間程で追いついてきた。ゆっくり歩いていたとはいえ優秀だね。
昼過ぎに兎を見かけたので昼食にすることにした。
『簡易収納』から『ブーメラン』を投擲して狩り、そのまま『簡易収納』に収納して中で『解体』を発動し肉、皮、骨等に分類。
肉だけ取り出して『フライパン』を取り出し『簡易収納』から取り出した『調味料・香辛料』で味付けして『火操作魔法』で調理して『簡易収納』に入れてあった『食パン』(何時買ったやつだっけ?まあ『簡易収納』内は時間が止まるので問題ないけど)に挟んでラビットサンドにして食べる。無駄に『調理』が発動して実に良いお味ですこと。
実に恨めしげに干し肉とビスケットをかじるアリアを無視して…そんな感じを三日繰り返して目的地に到着した。
ボーナスでクーラー…そんなことを考えていた時代が自分にもありました。