組合
まあ御約束をやってみました。
ケインの弁護により受付嬢が〔大沼亀討伐〕に許可を出そうとしたその時、横から依頼表を掠め取った奴が現れた。
「大沼亀だぁ?そんなもんこんな餓鬼にやれるわけねぇだろうがぁ。ケインよぉ、嘘も大概にしろよ?こんな細腕で盗賊三人って、悪所の孤児でももうちょいマシな嘘吐くぜ!粘菌でも騙せねぇよ」
『沼亀なら俺ら5人なら何とかなるし金額も良い…こんな良い仕事、新人に譲れるかよ』
溜息一つ。
「ちょっとゲンツその依頼はムツキが受けようとしてたんじゃない!横取りする気?」
「るっせぇ小娘、兄貴と一緒に豚でも狩ってろ!」
顔中傷だらけの冒険者が凄む。
「なぁお嬢ちゃん!新人は分相応に薬草毟ってりゃいいんだ。亀は俺らが貰ってやるよ」
ふ~定番だけどやっぱりムカつくわこういう人種。溜息一つ。
『盗賊の指』を発動させて依頼書を取り返し傷顔に啖呵を切る。
「うっさい老害、傷増やされたくなきゃ小鬼とじゃれあってろ。あと、歯ぐらい磨け息臭いぞ動死体並みに」
お~青筋立ててお怒りだわ。単純すぎでしょ。溜息一つ。
「いい度胸だ糞餓鬼、ちぃっとばかり素早い様だが先輩への礼儀ってモノを知らネェみたいだな。躾けてやるよ。訓練場にツラかせや」
振り返って受付嬢に確認を取る。
「こういう場合、死ななきゃボコっていいんですよね?」
「決闘という形であれば死んでも罪には問われません。ですが止した方が良いかと…」
なんだかねぇ命が軽いよ…。溜息一つ。
「よし、んじゃ決闘しよう。特別に半殺しで勘弁してやるよ先輩」
うわぁ~怒ると血管ってあんなに浮くもんなんだねぇ。決闘前にお亡くなりにならなきゃ良いけど。
訓練場に行くとケインもアリアも付いて来た。どうやら審判役をしてくれるらしい。
傷顔が構えるのは大剣…ぶんぶん振り回していらっしゃる。
こちらが抜刀するより速く思いっきり斬りかかってきやがった。まあ読めてるけど…溜息一つ。
兜割を抜きざまに大剣を枝鉤で受け、梃子を効かせて剣を回転させるようにトンボをきってやる。
人間の手はモノがすっぽ抜けないように掴むのには適しているが、手の中で回転するものを押さえ込むのにはかなりの握力が必要だ。案の定保持しきれずに大剣を取り落とす。
落とした大剣を蹴り寄せてやって拾うまで待ってやる。構えたところに左右から連打を加えて大剣を叩き折る。唖然とした顔に一撃叩き込み傷顔にお似合いな割れ顎に整形してやる。そのまま流れるように右手首と左膝を砕いて溜息一つ。これで良い犠牲になってくれればいいんだけどね。
この世界のギルドはランキング制ではありません。新人でも行きたければドラゴン戦させてもらえます。普通なら受付で止められますが。