武器
知り合いに誘われてアイマスのコンサートに行ってきました。…自分の運動不足を実感しました(身体中が筋肉痛です。)
翌朝、朝食を摂りに階下の食堂に下りると女将さんに礼を言って空桶を返す。
席に着くと出てきたのは固めの黒パンと何かの内臓らしきものの浮いたシチューだった。
一口食べて溜息一つ。
パンはいいがシチューが残念だ。しょうがを多めに利かせてミルク仕立てなのは良いのだが肝心の具の処理が甘い。
恐らく〆(シメ)てすぐ捌いた内臓を洗ってぶつ切りにしてそのまま煮込んである…つまり血抜きや下茹で等の下処理のできていないモツ煮に、臭み消しとしてしょうがとミルクを入れてある。が、消しきれて居ない…地球の食べ物に例えると『ヤギ汁』だろうか?かなり癖がある匂いだ。(好きな人には悪いけど)こっそり『消臭』の呪文をかけて流し込む。うん、お腹には貯まるんだけどな…。
料理も自分で作るか…昨日の串焼きは普通にいけたのにな…もしかしてこの宿がメシマズなのか?
食事もそこそこに宿を出る。まあ『隠れ家』もあるから宿には困らないから良いか。
街を歩きながらすれ違う衛兵や冒険者の装備を観察し武器屋や防具屋なども見て歩く。
(武器の材質は余り良い金属じゃないな…鉄だけど出来が甘いな…防具は基本皮製で要所を金属で保護する場合があるくらいか?)
適当な裏路地で辺りを窺い『隠れ家』に入る。
さてと何かいい武器は置いてあったかな?聖剣だの魔剣だのはアレだし?などと思いながら武器庫を漁る。 刀もありきたりだしな…等と思っていると、よさ気なモノが見つかった。長さは80cm程、形状は打刀の様に湾曲しており断面が打刀よりも重ねをぶ厚くした五角形に近い形状である。また、手元には十手のように枝鉤が付いている。
まあ見てくれでいうとお土産用のあの木刀を金属で造り、その手元の柄と棟の間に湾曲した枝鉤を持った『兜割』という武器だ。
何番目かにいったオリエンタルファンタジーぽい世界で刀だらけで煩わしかったので打ちあげた。材質もその世界で一番頑丈だった覇鋼とかいう素材で造ったのだがヒヒイロカネの神剣『七枝刀』を圧し折れたからまあ強度的問題は無いだろう。
鎧は音が立たない『精霊銀鎖帷子』の上から『隠蔽ローブ』を羽織り見た目を誤魔化す。
ギルドに顔を出すと掲示板に昨日の二人組みの一件が載っていた。ちゃんと自首したらしい、うんうん。
依頼の掲示板に目を通すと『世界基礎知識』と照らし合わせて出来そうな依頼を探す。
なになに…〔竜翼膜の納品〕?あ~こりゃパスだわ価格安めだから他の素材で自分で穴埋めしなきゃだしそも一番傷つきやすい素材じゃんか。(飛んでる獲物は普通、落として討伐するでしょ?)
他には~お?これいいな〔大沼亀退治〕、素材はコッチにもらえるし宿はタダだし〔ゴブリン討伐〕なんてメンドクサイものより判り易い。
依頼用紙を剥がしカウンターに持っていこうとすると声を掛けられた。溜息一つ。
声のほうに目をやると先日の冒険者二人だった。
「やあ、また会ったね。君ほどの腕が唯の旅人じゃないとは思ったよ」
とりあえず会釈だけして通り過ぎようとすると妹が噛み付いてきた。このブラコンめ。溜息一つ。
「兄さんが挨拶してるのに会釈で通り過ぎるって何様なのよあなた!自己紹介くらいしなさいよ!」
「別に仲良くしたいとは思ってないし、気になるならカウンターで聞いたら?」
言い捨ててカウンターに受付にいくと渋い顔をされた。揉め事は困りますとか言われるかと思ったら討伐実績のない者にいきなり〔大沼亀討伐〕は振れないらしい。溜息一つ。やれやれそれじゃあ街の外で小鬼か狼でも狩って来るかと考えていたら後ろからケインが助け舟をくれた。
「大丈夫だよミラさん。彼なら登録前に盗賊三人無傷で倒してる。」
ふむ、受付嬢はミラさんね…。
「ケインさんそれじゃあ護衛のときの助っ人ってムツキさんなんですか?」
…ここで個人情報ばれるし…溜息一つ。一月生まれなので男だろうが女だろうが睦月に両親は決めていたらしい。二月や三月でなくって本当に良かったと思っている。
兜割が浮かばない方はネットで検索してくださると解り易いかもです。主人公の兜割は先は尖っていますので打突系特殊武器になります。