序章
初投稿作品です!
拙い文章ではありますが、切ない恋のお話を書きました。
また遅筆なので完結まで時間がかかるとは思いますが、気長に待って頂ければ幸いです。
これは僕がした小さな恋のお話。
彼女に言わせれば何処にでもあるような、ありふれたつまらない恋のお話。
でも僕にとってはたった一つの物語。
どうか最後まで聞いてほしい。
このありふれた恋の物語を。
彼女と僕の生きた証を──。
* * * * *
彼女と初めて出会った日は、真夏のこれ以上ないっていうくらい暑い暑い日のことだった。
ただそこにいるだけで汗が垂れてくるような猛暑日、僕は巨木の下で暑さを何とか凌ごうとしていた。
そこへ一人の少女がやって来た。
「そんなところで何をしているの」
そういきなり僕に尋ねてきたのは、太陽の光を浴びてキラキラと輝く金色の髪にアッシュグレーの瞳をした可愛らしい少女だった。
白い襟つきの袖のないワンピースを着ていて、襟元には青いリボンをつけている。
綺麗な子ではあるけれど、何だかどこか傲慢さが滲み出ている。
「何って、日陰で涼んでるに決まってるじゃないか」
僕がいるのは大きな老木の下だ。
天へと大きく伸びた枝がちょうどよく地面に日陰を作っている。
そこで僕は寝そべっていた。
薄汚れたシャツとズボンといった格好の僕と少女ではまるで月とすっぽんだ。
僕はもうすでに汗だくでいるのに関わらず、少女はまるで涼しげな表情をしていて汗一つかいている様子はない。
いかにもお嬢様といった感じのこの少女は一体僕に何の用があるというのか。
「せっかく良いお天気なのにどうしてそんなところにいるの?」
そう言って少女は小首を傾げる。
天気は良くてもこの暑い日に誰が太陽の下にいたいと思うんだ。
「もっとお日様の光を浴びなきゃもったいないと私は思うわ」
そこでその場で手を大きく広げてくるりと一回転して見せる。
すると世界が一瞬明るくなったように感じた。
まさか。そんなわけないだろう。単なる目の錯覚に過ぎない。
回り終えて少女は言う。
「こうすると、この世界は光で満ち溢れているんだって感じることが出来ると思わない」
そうして蠱惑的に微笑んで見せる少女。
何それ。
意味わかんない。
僕の少女に対する第一印象。
それは。
頭の可笑しな女。
「今、私のこと頭が可笑しい奴って思ったでしょ」




