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第二部 感情

ノンフィクションで描かれた、ナイトストーリー祐介にとっては全てが新鮮で・・・・。輝いて見えたけど・・・


                  

                   第二部 感情

 

 祐介の携帯が鳴る。

まだ寝ぼけている祐介は、面倒くさそうに携帯を開いた。

姫香からのメールだ、面接の場所と時間が記されている・・・ん?SISTER?


 祐介・・・店の名前かな?


昨日姫香に強引に決められたホストクラブの面接が早くも今日だった。乗り気ではなかったものの祐介は、渋々準備を始める。

一応ホストということもあってスーツを持っていない祐介は、それなりの小奇麗な格好をして家を出た。姫香からのメールに記された場所に到着する寸前、携帯が鳴る、電話の主は姫香だった。


 姫香「もしもーし?ちゃんとメール見てくれた?」

 祐介「見たよ、もう着くし」

 姫香「そうなんだーじゃあ終わったら電話頂戴よ?私今日仕事休んだからさ?」

 祐介「わかったよ」

 姫香「じゃーがんばってねー!ツー・ツー」


電話を切ると、すぐにメールに書かれていたSISTER3Fという看板があった。 

初めてのホストクラブだ、祐介は緊張しながら。エレベーターに乗り込む。そしてエレベーターの扉が開くと、入り口のマットを掃除している男の後姿が飛び込んできた。

男はすぐに祐介に気付き振り返る。

 

 真琴「あれー今日面接の子かな?」

 祐介「そうです工藤といいます!」

 真琴「そっかーじゃーとりあえず入ってよ」

 

案内されて、中に入ると壁全体が真っ白で祐介が今まで行ったキャバクラにはない、広さと豪華さだった。さらに緊張した祐介は、真琴の座った向かい側の席に座った。

 

 真琴「一応、これ俺の名詞ね?」

 

名詞を手に取ると、代表取締役の新条 真琴の文字。

 

 祐介「あっ社長さんですか?」

 真琴「んーまー実際にはオーナーがいてその人が社長かな」

 祐介「そうなんですか」

 真琴「早速面接を始めたいんだけどさ?姫香ちゃんの紹介なんだっけ?」

 祐介「そうですよ、そんな感じです」

 真琴「そうなんだ?ちなみにどういう関係?」

 祐介「実際は昨日あったばかりなんです、僕がお客さんとして飲みに行ってそれで・・」

 真琴「ふーんそうなんだ」


真琴は少し笑って見せた。


 真琴「姫香ちゃんはさ、支配人の蓮の客だからうちで働くなら、もう連絡とんないでね?」

 

祐介は驚いた、姫香の紹介なのになぜ?というより、姫香がホストクラブの客だったことにショックを隠しきれなかった、そしてこの店では絶対働きたくない、そう思った。


 真琴「身長は?」

 祐介「182cmです」

 真琴「大きいねー」 

 

そんな話をしていると、続々とスーツ姿の男達が店内に入ってきた。


 ホスト達「おはよーす!!」


元気よく真琴に挨拶をしていく。

真琴は、軽く手を上げて面接を続ける。

 

 真琴「酒は強いの?」

 祐介「いやー普通ですよ」

 真琴「女の子好き?」

 祐介「まー・・好きですね」

 

真琴と祐介の座っているテーブルに、体格の良い男が座って来た。真琴が挨拶している。


 祐介・・・間違いないこの人が社長だ、しかしすごい迫力だな40歳位だろう・・・。


 エージ「はじめまして?祐介君だよね?社長のエージです」

 真琴「祐介!挨拶は!?」

 祐介「あっよっよろしくお願いします」


 祐介・・・あっ!俺何いってんだ?これじゃやる気満々に・・・


 エージ「うん。よろしく!いつから働ける?」

 祐介「まだちょっと」

 エージ、真琴「・・・?」

 祐介「スーツとかないしですね・・・」

 真琴「おーい純!!」

 純「はい?」

 真琴「お前身長いくつだっけ?」

 純「182cmですよ?」

 

 祐介・・・この流れまずい・・・身長ぴったりって・・・

 

 真琴「お前今から帰ってスーツ持って来いよ?」


祐介は割って入った。


 祐介「いや、真琴さん今からはちょっと予定が」

 真琴「じゃあ明日は?」

 祐介「あっはい明日なら!」


 祐介・・・もう俺は何言ってんだ!!


祐介はそんな自分が情けなくて、なんだか泣きたくなってきた。


 エージ「じゃあ明日の2時に来て?うちは0時から8時の営業だからさ?」

 祐介「わかりました」

 エージ「それとお店で使う名前も、源氏名っていうんだけど」

 祐介「了解です、考えてきますね」

 真琴「それと、このマニュアル読んできて」


祐介は10枚位のマニュアルを受け取った。

 

 一人のホストの誕生だ、こうして想いとはウラハラに時間が闇が祐介を変えていく・・・。


面接が終わると、送るという真琴の誘いを断り、店を出た。

祐介は姫香に電話をかけた。


 姫香「もしもし?どうだった?」

 祐介「・・・」

 姫香「ん?どうしたの?」

 祐介「やることになったよ、ホスト」

 姫香「そうなると思ったよー、なんかうれしいなー!」


祐介は腹が立ってきた。裏切られたような気持ちだった。


 祐介「それと、姫香、客だったんだね、支配人の」

 姫香「あっもう聞いたんだ?」

 祐介「だからもう連絡取るなって言われたよ・・・」

 姫香「そっか爆弾になっちゃうもんね・・・」

 祐介「爆弾?」

 姫香「そうだよ、あの店は永久指名っていって一度指名したら変えられないし、他のホスト君とも連絡取っちゃいけないんだよ。そういうのを爆弾っていうの」

 祐介「姫香それ知ってて俺をSISTERに紹介させたんだね」

 姫香「ごめんね、じゃあこうしない?隠れて連絡取ろうよ?」

 祐介「えっそれは、まずいよ。さっき言われたばっかりだし」

 姫香「大丈夫だってお互い気をつければ」


実際、祐介は出来る事ならそうしたい。


 祐介「んーわかったよ、今日は会えない?」

 姫香「ごめん。今日は大事な用事があって」

 祐介「そっかわかった」 

 

祐介はコンビニで夕食を買って、帰宅した。


 祐介・・・ふーんこれがマニュアルか。


真琴にもらった10枚の紙を手にとってみる。


マニュアル・・・接客1.背筋を張って姿勢良く。

          2.担当以外は隣に座らない。

          3.灰皿は一本交換。

          4.お客様とベタベタしない・・・・・・・・・・・

          

そんなことが記されていた、マニュアルを読み進めると、祐介の目線が止まった。


禁止事項・・・爆弾、担当のいるお客様(指名の決まっているお客様)と連絡を取ったり、会ったりすること。また担当の不利益になるような情報などをお客様に告げること。この行為を行った場合

罰金   1、000、000円


 祐介・・・え?100万円?


祐介は驚いた、100万円という金額は祐介が手にしたことのない金額だったからだ。

姫香の顔が脳裏に浮かぶ・・・

一通り目を通して、明かりを消したが眠れない祐介は、冷蔵庫の発泡酒に手を伸ばす。


 祐介・・・支配人の蓮さんか、どんな人なんだろう。姫香が指名するなんて。やっぱり姫香のこと良く知ってんのかなー。


祐介は昨日の夜を思い出さずにはいられなかった。

姫香の声を感触を知っているであろう自分以外の人間に明日会わなければならないのだ。祐介が眠れたのは、それから6時間後の昼過ぎだった・・・。


祐介は言われた時間より少し早く店に行って見た。

すると、明らかにサイズの合っていないスーツを来た男が三人立っている。


 真琴「おはよう!祐介」

 祐介「あっおはようございます」

 真琴「こいつらも今日からの新人だから」

 祐介「はいよろしくお願いします」

 3人「よろしくねー」

 真琴「とりあえず着替えちゃってよ」


祐介は、真琴に渡された黒いストライプがうっすら入ったスリーピースのスーツに着替えた。


 祐介・・・純って人のスーツかな・・・それにしても新しいな


スーツに着替えると3人が寄ってきた。


 ケン「よろしくね俺ケンっていうんだ」

 トシ「俺はトシだよ!!」

 ミツル「ミツルです。よろしくお願いします。」

 祐介「よろしく!!」

 ケン「それにしても新しくないそのスーツ?」

 祐介「うん勿体無いよね新人の俺にさ」

 真琴「バーカお前それ新品だよ」


真琴が急に入ってきた。 


 祐介「えっでも?どうして?」

 真琴「開店してしてすぐに姫香ちゃん来てなー、祐介にはもう連絡取れないって言われたし、紹介した責任とお祝いなんだってよ!そのスーツは」


 祐介・・・連絡はもう取らないって事か?でも昨日は・・・


 祐介「そうですか・・・わかりました。」

 真琴「しかし、偉いなお前」

 祐介「え?どうしてですか?」

 真琴「実際いるんだよ隠れて連絡とって罰金払わされて半殺しにされる馬鹿者がさ、絶対ばれるのにな」

 祐介「俺は大丈夫ですよ」


祐介は、真琴に見透かされているような気がしてならなかった。


 真琴「じゃあ祐介以外は掃除してて?」

 祐介「?」

 真琴「お前は5番のテーブルに着かせてもらいな、あそこにいるのは和也っていってNO4の男だよ」

 祐介「でも俺名前決めてないんですけど」

 真琴「祐介でいいんじゃないの?地元じゃないんだし」

 祐介「わかりました」

 

祐介はマニュアルを思い出し、5番テーブルへ向かった。

5番テーブルには少し太った色白の女性が和也の隣に座っている。


 祐介「お話中すいません、ご一緒に・・・」

 和也「お話中ってわかってんなら終わってから入れよ新人!!」

 祐介「あっすいません!」

 あゆみ「いいよー和也!いじめないであげてよ、どうぞー」

 祐介「失礼します」

 和也「悪かったね?こいつともめててイライラしててさ」

 祐介「いやー全然大丈夫ですよ」

 あゆみ「和也?あゆみが悪いって言うの?」

 和也「はいはい俺が悪かったよー、それより新人?早く酒つくりなよ?」

 あゆみ「祐介君は何が好きなのー?」

 祐介「ビールですかね、あんまり高い酒飲んだことなくて」

 あゆみ「聞いた?和也もたまにはこういう可愛いこと言ってみたら?」

 和也「・・・うるせーなー」

 祐介「はは・・・」

 あゆみ「じゃーメニュー頂戴?」

 祐介「はい!」


祐介は席を立ち真琴にメニューの置いてある場所を聞いた。


 真琴「ところで何でいきなりメニューなんだ?」

 祐介「俺が何飲みたいか聞かれて、あんまり高い酒飲んだことないって言ったらあゆみさんが」

 真琴「良いんだよそれで」

 祐介「?」

 真琴「まず名前を覚えてもらって可愛がられるんだ、それが担当にとってもお前にとってもプラスになる。まあ今にわかるさ。」

 祐介「わかりました」

 真琴「とりあえず急げ!」

 

言われたとおりに急いで5番テーブルに戻る。


 祐介「お待たせしました」

 あゆみ「ありがと!んーどれが良いかなー?」

 和也「これでいいんじゃない?」


和也がメニューを指差す。

 

 あゆみ「わかったよ、じゃあ祐介君、パリ持って来て?」 

 祐介「はい・・・」


祐介は席を立って5番テーブルから離れてからメニュー見直した。

 

 祐介・・・パリなんて書いてないじゃん???


様子に気付いた真琴が祐介に近寄ってきた。


 真琴「祐介、カフェ・ド・パリの事だよ?俺も一緒に付くから俺の後をついてきて見ててくれ」


そう言うと流れるように、5番テーブルまでそのお酒を運んだ。同時にシャンパングラスもテーブルに並んでいる。


 真琴「おはよう、あゆみちゃんーどうしたの?急にー?」

 

真琴の表情が一変する。さわやか過ぎる笑顔だった。


 祐介・・・すごい・・・俳優みたいだ。


 あゆみ「えー?祐介君の入店祝いかなー?ねー!祐介君?」

 祐介「ありがとうございます!」

 真琴「それじゃ開けちゃっていい?」

 あゆみ「どうぞー」

 

真琴がカウントする。3・・・2・・1・ポン!!

次々とグラスに注いでいく。

祐介は真琴の素早い動きについていけない。あっという間にあとは乾杯をするだけの状態になった。


 あゆみ「じゃあ入店おめでとー乾杯ー!!」

 4人「乾杯!!」

 和也「新人良かったなー」

 祐介「ありがとうございます!和也さん」


 祐介・・・なかなか名前覚えてくれないな・・・。


祐介は少し新人と呼ばれることに違和感を感じてきた。


 祐介の携帯が鳴る。相手は啓太だった、それに気付いた祐介が真琴に断って席を立った。


 祐介「もしもし?」

 啓太「おー祐介?何してんだー?」

 祐介「別に何も?」

 啓太「仕事中なんだろ?」

 祐介「はい、でも何で?」

 啓太「今なぁLOVE FINEで飲んでるんだよ」

 祐介「えっそうなんですか?」

 啓太「んで姫香ちゃんに聞いたわけよ!もうすぐここ終わりだから今からSISTERだっけ?行こうと思ってさ、もちろん姫香ちゃんも誘ってな!」


啓太は姫香が蓮の客であることも、2人は連絡を取っては、まずいことも、祐介の出勤前に姫香がスーツを届けたことも気付いていない。

 

 祐介「でも・・・」

 啓太「じゃあ3人分席取っとけよ?」


 祐介・・・ホント話聞かないな、来てくれるのは心強いけど。


祐介は急いで真琴にこのことを伝えた。


 真琴「わかった3人な」

 祐介「はい」

 真琴「あっそれと・・・姫香ちゃんも来るんだろ?」

 祐介「はい」

 真琴「うちは永久指名だから蓮が姫香ちゃんにつくことになるけど大丈夫か?」

 祐介「何が大丈夫かなんですか!?」


祐介は本音を突かれたような気がして過剰に反応した。


 真琴「ならいいんだけど」

              

しばらくして3人は来店した。真琴が3番に通す。


 真琴「初めまして、指名はどういたしますか?」

 啓太「もちろん祐介でお願いします!」

 真琴「かしこまりました!!祐介指名だぞー??」

 祐介「失礼します・・・・」

 啓太「プッ!!はははははは!!!」

 祐介「笑わないでくださいよー!」

 啓太「悪い悪いしかし、お前がホストになるとはねー」

 

 従業員「いらっしゃいませー!!!」


ホストが女性を連れて来店してきた。そのまま一つだけ空いている4番の席に座った。とても綺麗な女性客だ。

しかし一緒に座った男もかなり綺麗な顔立ちをしている。

するとその男が席を立って祐介の方に歩いてきた。


 蓮「初めまして蓮です!」

 啓太「ああここのホストさんなんだ?」

 蓮「はい、よろしくお願いします」

 啓太「まー、一緒に飲もうよ?」

 蓮「喜んで!」

 

 祐介・・・この人が蓮か・・・悔しいけどいい男だな・・・


 啓太「祐介!せっかくなんだから姫香ちゃんの隣に座れよ?」

 祐介「いやそれは・・・」


祐介が姫香に目をやると、姫香は少し困った顔をして目を逸らした。   


 啓太「何やってんだよ?早く座れよー」

 

祐介は、このとき蓮が見下した顔をしたのを見逃さなかった。


 蓮「祐介君だっけ?座ったら?」


蓮は、まるで出来るものならやってみろといった表情だ。

真琴が空気を感じてフォローに入ろうとしたそのときだった・・・


 姫香「ちょっと蓮、性格悪すぎ!!」

 

啓太は驚いている。

姫香が怒鳴りつけた。


 姫香「啓太さんは知らないだろうから私が説明してあげる!!私は蓮を指名してて、この店では蓮以外私の隣に座れないのよ!!それを知ってて蓮は祐介を困らせてろの!!いったい何がしたいわけ!?」


 蓮「誤解だよー姫香の知り合いだから良かれと思って俺は・・・」


周りの従業員も3番テーブルを見ている。祐介にとっても最悪な状況だ。

するといつの間にか出勤していたエージが席についた。


 エージ「まあまあ姫香ちゃん、怒んないでよ?蓮も悪気はなかったんだし」

 蓮「社長すいませんお手数おかけして」

 

エージが上手くこの場をまとめてこの日の営業が終了した・・・。

客も全員帰り、店内の掃除も終わって、ほとんどの従業員は帰った。


 蓮「おい祐介!!」


蓮はこのときを待っていたかのように祐介を呼びつける。


 祐介「はい?」

 蓮「お前、姫香に惚れてんだろ?」

 祐介「いやそんなこと」

 蓮「やめとけよあんな馬鹿女」

 祐介「そんな言い方」

 蓮「しつこいから一回抱いたらさー、今度は付き合ってだぜ?困るんだよなー、ああいうの」

 祐介「・・・」

祐介は今にも殴りかかりそうだ。


 蓮「まあ仕方ねーから色カノにしてやったけどさ」


色カノにする。とは営業方法の一つで、本気ではないが、自分を彼女だと思わせて、店に通わせる手段だ。


 蓮「それで祐介くんは、もうやったのかな?」


蓮は馬鹿にした様子だ。その時だった。


 真琴「蓮!!くだらない事言ってないでもう帰れ!!」

 蓮「いやー明美が向かえ来るの待ってんすよー」

 真琴「じゃあ鍵はここ置いとくから、店を閉めて帰れよ?」

 蓮「はーい」


蓮はかなり酔っ払っている。


 真琴「祐介行くぞ!!」


言われるままに、祐介は真琴の後を追う。


 祐介「真琴さんどこ行くんですか?」

 真琴「飯、付き合えよ?」

 

さっきまでとは打って変わっていつものやさしい真琴に戻っている。

祐介は安心した。そして2人は古ぼけた居酒屋に着いた。看板には尚ちゃんと書かれている。


 祐介「あれ?居酒屋じゃないですか?こんな時間にやってます?」

 真琴「やってないよ、でもやってるんだよなぁー」


中に入るとカウンターしか席はない。店員はいない様子だ。


 真琴「尚輝さん!!!尚輝さん!!!」

 祐介「真琴さん誰もいないんじゃ・・・」

 

すると誰もいないはずのカウンターから男が顔を出した。


 尚輝「また真琴かー何回言ったらわかるんだよ?うちは松屋じゃねーんだ、24時間営業じゃねーんだぞ?」

 真琴「なんだかんだ言っても旨い飯出してくれるじゃないですか!」

 尚輝「調子いいやつだ、まったく。で隣のぼっちゃんは?」

 真琴「今日1日目が終わった新人の祐介ですよ!祐介、挨拶は?」

 祐介「あっ祐介ですよろしくお願いします。」

 尚輝「挨拶なんていーよ、この時間だ疲れてんだろ楽にしなよ!」

 祐介「はい、ありがとうございます」

 真琴「祐介、尚輝さんは俺の先輩だったんだSISTERは今の社長と尚輝さんの2人で出した店なんだよ」

 尚輝「そんな話はいいから、何食うんだよ?」

 真琴「瓶ビールください!!」

 尚輝「なんだお前が仕事以外で飲むなんてめずらしいじゃねーか?」

 真琴「いやー俺じゃなくてこいつに飲ませようと思って」

 祐介「えっ何でですか?」

 真琴「いいからほら?ぐいーっと飲んじゃえよ!」

 祐介「ごくごく・・・」

 真琴「よーし今日、起きたこと思ったことを全部尚輝さんに話せ、全部だぞ?」

 祐介「え・・・」

 真琴「早くほら!」

 

尚輝がじっと祐介を見ている。


 祐介「はい・・・」


祐介は今日起こったことの一部始終を尚輝に話した。


 尚輝「それでお前はどう思ったんだよ?」

 祐介「悔しかったです」

 尚輝「だろうな・・で、お前はその姫香って子に惚れてんのか?」

 祐介「はい、多分」

 尚輝「忘れなきゃいけないのがホストだ、例えどんなに担当ホストが酷いやつだったとしてもなぁ?」

 祐介「・・・ですよね」

 尚輝「まあ昔の俺ならこう言っただろう、でも今はこう思うんだ、ホストが感情なんて持っちゃいけないって決めたのは誰なんだってな!」

 祐介「でもそれじゃ」

 尚輝「そう。決まりは決まり、でも人の心は決まりだけじゃぁどうにもならねー。もちろん爆弾なんてした日にはあの店だ、あいつらがお前をただでおくわけがねー。あとは自分で考えてみるんだな・・・」


 祐介・・・何が言いたいんだろう、俺はどうすれば・・・。


 真琴「よし帰るか!!」

 祐介「真琴さん飯は?」

 真琴「忘れてた、家で嫁が作って待ってんだよ!!」

 

 祐介・・・きっと真琴さんは、俺に気を使ってくれたんだな。

 

真琴は足早に帰っていった。祐介も帰ろうと歩き出した・・・。



携帯が鳴っている。


 姫香からだった・・・・。

 

迷ったあげく祐介は電話に出た。


 姫香「はあ はあ 祐介助けて・・・・」


そして祐介は・・・。

  







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